第46話 高沢と話す

 高沢のアジトに戻った。そこで暮らす事になった女性や子供の名前や年齢、経歴等の聞き取りをヒロシとレイカも手伝った。その後、皆で夕食を作って食べたり寝床を準備したりすると、あっという間に深夜になった。


 ヒロシ達と高沢と誠一、南田はリビングに集まった。


「君達のお陰で娘と孫が戻って来た。本当にありがとう。色々話したい事はあるが、もう夜も遅いどころが深夜だ。君達も予定があるだろうが、情報交換や出来る限りお礼をしたい。もう何日かはここにいてくれないだろうか?」


「はい構いませんよ、高沢さん」


「ありがとう。それと、今回の功労者をテントに眠って貰う事になって済まないな」


「これからここに住んで、生活して行く人が優先だよ。気にしないで高沢さん。食事やお風呂を提供は素直に有り難いよ!」


「そう言って貰えるとこちらも助かる。ではまた明日な。おやすみ…」


「おやすみなさい高沢さん。誠一さん、南田さんも失礼します」


「ああ、おやすみ!」


「おやすみなさい皆さん。また明日!」


 ログハウスを出てテントに入り、少し大きめの寝袋の中にヒロシとレイカが入ると瞬時に眠った。それを見届けて、サウスとレディは管を伸ばして周囲を監視した。


 朝、高沢のアジトに身を寄せた女性や子供達を含めて皆で朝食を食べた。食後に誠一は女性を引き連れて農作業へ、南田は子供達と離れの小屋に向かい勉強や遊びを学びに行った。ヒロシ達は高沢とログハウスのリビングで話す事にした。


「田中君と榮倉さん、それにサウスやレディの事を話せる範囲でここに来るまでの経緯を含めて聞かせてくれないか?」


「高沢さん達にはサウスを見せてますし、あまり隠す事は無いんですが…では俺から話をしますね」


 ヒロシは高沢にサウスと会った事から語り、学校でのグプ人の戦い、旗艦を沈没させた事やレイカに偶然会えた事を話した。ここからレイカも自分の事を交えながらヒロシと語り、C県での港から島での出来事、K県で見た事、F県での強化や戦闘、O県での出来事とレディが仲間になった事、H県で高沢に会った事を昼近くまでハーブティーを時折り口にしながら、黙って話を聞く高沢に2人は語った。


「……濃い人生だ。君達の前で歳上をでいる事がこれ程恥ずかしいとはな。しかし、グプ人の上位存在がいるとは…地球自体の心配をしなければならないが、ワシはそんな事をする権力も力も無い。生き抜く事だけを考える事しか出来ないか…国防軍かボサツのどちらが主体となっているか分からないが、国民超人化計画を続行しようとしている事と洗脳が解けたグプ人が逃亡していたのも気になるな。とは言え、ワシは娘と孫、避難民を君達に力を貸して貰って救い、その生活を維持出来るかどうかの人間だ。だが、恩知らずでは無い。君達が旅路の中で行くであろう国防軍の基地やボサツの施設を網羅したデータをノートPCで譲るよ。国防軍の基地の中に関しては助言が出来るかもしれないから、気軽に無線で連絡して欲しい。後は、再びH県を訪れる時はここを羽を休める場として是非立ち寄ってくれ…何だか別れの挨拶ぽくなってしまっが、受けた恩は返すつもりだ」


「ありがとうございます高沢さん。お心遣いに感謝します」


「ああ…ノートPCの準備や榮倉さんが持つ無線機のバッテリー交換なんかで、もう1日滞在して欲しいが構わないか?」


「お願いします。高沢さん、質問があるんだけど良いかな?」


「何だろう榮倉さん?」


「H県の海岸から潜水艇で上陸した時、水際で国防軍がグプ人と戦った後を見たんだけど、この辺の国防軍は異星人の侵略を知っていたのかな?」


「……完全な推測になるが侵略を知っていた雨宮大将が盾脇中将を動かして、国防軍が何処までグプ人に対抗出来るかを試したかった

…と思われる。堀端中尉の言動から、雨宮大将は国民超人化計画をやろうとしているからグプ人の事を何らか知っていても不思議では無い…あくまで推測だが…」


「ありそうな話だね…ありがとう高沢さん!H県に来た時から気になってたんだよね!」


「榮倉さん、推測だからな?まぁ君のモヤモヤした物が取れたなら良いか…ああ、それと昨日君達が見た遠藤には是非明日あって欲しい。彼はああ見えて国防大学を卒業した機械いじりの天才でノートPCや無線機のバッテリーの準備は彼がやる。しかも土いじりも精通していて、ここや彼がリーダーをしている避難所で育つ農作物は彼の力が大きい。食品加工にも詳しく、君達に何らかのプレゼントがあるだろう。楽しみにしといてくれ!」


「親父、まだヒロシ達と喋っていたのか!?もう昼もとっくに過ぎているぞ!」


 女性達と農作業から帰って来た誠一は呆れた。


「それは…済まん。途轍も無く濃い話を聞いたものでな。時間を忘れて話してしまった」


「はぁ…俺がサッと何か作ってやるよ」


「誠一さん料理出来るんだ…」


「まぁなレイカ。遠藤曰く、料理男子はモテるらしいからヒロシ手伝えよ?」


「ええ喜んで」


「料理経験は俺達の糧になるぜレディ?」


「サウスの言う通りね。レイカ、やるわよ」


 誠一とヒロシ達でクッキーを焼き、戻って来た南田と子供達を交えて賑やかなオヤツ時間となった。





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ヒロシは地獄でも楽しく生きたい マロッシマロッシ @maro5963

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