第34話 基地へ攻撃開始
「浜辺まで来たな。巡回の車両が来ない内に上陸して、1発打ち込んで港の倉庫辺りにダッシュして潜むか…」
「ここからじゃ航空機が見えないし、ヒロシ君は猛スピードで走れるかもだけど私は?」
「狙って撃つのはさっきレイカが言っていたレーダードームでも良いだろう。それからレイカは潜水艇で待機してくれ。最低2回は違うポイントから攻撃を仕掛けて、その後に一緒に基地に侵入しよう」
「うん…良いけど…ヒロシ君、前回はグプ人を容赦無く攻撃出来たかもしれないけど、兵士達に攻撃は出来る?」
「大丈夫だ。無駄な死人を出す気は無いけど、こちらを殺しに来る連中には容赦しないよ。島で一緒に戦ったし、F県で追手の兵士を倒しただろ?」
「…そうだね。2人が降りた後、モニターでずっと見てる。ちゃんと戻って来てね?」
「ああ。始めよう」
上陸した潜水艇からヒロシは素早く降りて、木陰に身を隠したと同時にサウスは銃にスコープをグニャッと追加した。
「ヒロシ、スコープを覗いて自分のタイミングで撃て」
「了解だサウス………ッ…」
ヒロシがレーダードームに照準を合わせ、サウスが気持ちを読み取ってドオォォンッ!と放たれた球体は高速で飛び、レーダードームに命中。カッ!と光り、バッグオォォンッ!と火柱を上げ爆発した。
「おー凄い威力だな。ヒロシ、ダッシュ!」
サウスに促されて急いで港の倉庫に向けて走ったが、心地良い耳鳴りがしなかったのでヒロシは不満だった。
(撃たれる様な危機が無いと、やはり使用は出来ないか…)
「ヒロシ落ち込むなよ?充分速かった。常人より身体能力があるのも忘れるな」
「何でもお見通しだな相棒。大丈夫だ」
「そりゃ相棒だからな…来たぞ…!」
ヒロシが200メートル程離れた倉庫の窓からソッ覗くと砂浜横の道路には5台の四輪駆動車が止まり、20人の兵士が小銃を構えて戦闘態勢に入った。
「車4台を吹っ飛ばして、兵士達には死にたくなければ武装解除して逃げろってか?」
「考えを読むなよ。でも、それで行く」
「それをやるならレイカに手伝って貰った方が良かったんじゃ無いのか?またここに戻って基地を攻撃するんだぞ?…ああ、戦闘経験な…」
「そういう事だ。レイカに何でも頼り切りはよろしくない」
「…レイカはお前に惚れてるぞ?」
「だったら尚更だろ?」
「カッコ良いよ相棒。ヤルぞ!」
ヒロシが倉庫から飛び出すと、構えたサウスからドドドドンッ!と連射で球体が放たれてズンッ!ドゴォッ!バキャッ!ミキャッ!と四輪駆動車に命中して、その内2台が衝撃と爆風でバフォッ!と宙を舞った。ゴジャンッ!カヂャンッ!と落ちて来た車両の下敷きになった。
猛ダッシュでヒロシは阿鼻叫喚の現場に駆け付け、サウスを構えて叫ぶ。
「死にたくなければ完全に武装解除して、遠くへ逃げろ!抵抗するなら容赦無く殺す!」
実力差を読めなかった、またはパニックで現状把握が出来なった4人の兵士がヒロシに銃口を向けた時、キーンと心地良い耳鳴りが発動。横っ飛びをするとサウスからド・ド・ド・ドウゥゥゥゥンッと球体が放たれ、4人の兵士の上半身が焼け溶け吹き飛んだ。
「つーぎーにーしーにーたーいーやーつは誰だッ!?」
サウスが喋っているのと同僚が惨たらしく死んだのを理解して、生き残った兵士達はイソイソと小銃や拳銃を弾帯毎捨てて砂浜を我先にとヒロシと反対方向に逃げた。
兵士の逃亡を見届けたヒロシは小銃や拳銃をポイポイと海に投げ入れ、弾倉は破壊を免れた四輪駆動車に投げ込みキーを外し、ドアをロックしてダッシュで倉庫に走った。
「弾はレイカへの土産か?デキる男は違うな!?」
「揶揄うなよ!ドゥメルクを手に入れるまでは心置き無く、弾丸を使えた方が良いだろ?」
「倉庫に着いたな…速い事で。屋根に登ればあの銀色の航空機に当てれそうじゃないか?試してみようぜ、ヒロシ君?」
「茶化すなよ相棒……屋根への梯子があるな………うん、当たりそうだな。どの部分か分からんが、機体の一部が見えるな。狙うぞ?……ッ…」
ドオォォンッ!と放たれた球体は航空機に命中。またもやバッグオォォンッ!と火柱を上げ爆発。銀の破片が宙を舞っている最中にヒロシは屋根から飛び降りて全力で走り、四輪駆動車の高い車高の下に隠れた。
「さぁ、どう出る?」
数分間、車の下にヒロシとサウスは隠れていたが国防軍に動きは無かった。それを見ていたのか潜水艇が砂浜に上陸してレイカが降りて来た。ヒロシはスイッチを押して潜水艇を海に隠し、車の下から這い出た。
「見てたよヒロシ君。メチャクチャ速かったね!後、弾の確保もありがとう!」
「どういたしましてレイカ。見ての通り、敵の攻撃が止んだ。車を確保したから近付いてみるか?」
「うん行こう!弾がいっぱいあるから、私が警戒するよ。運転してくれる?」
「ああ。行こう」
一般道から丘の基地へと入る検問所は無人になっていた。
「兵士が居ない…逃げたのか?」
「このまま登ってみようよ。兵士より早く撃てるから安心して運転して!」
「了解だレイカ」
曲がりくねった道を走り抜けると、金網フェンスがスライドして開く門の前に到着した。左右の兵士詰所と中央の物見台は無人で、レーダードームと航空機の爆発の熱気だけが伝わって来た。
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