1-7.異世界の神様来襲!?

 コリー街道を半日進んだ先に宿場町があった。今日は初日だし、孫たちにムリをさせるわけにはいかないでしょ。早めに宿に入ってのんびりしようか。



「リオ、ここの宿場町で1泊しようか?」


「そうだなー。いきなり飛ばすとしんどいからなー」


「あたしも久しぶりに歩いたわ〜。足腰疲れちゃった」


「···ナナはいつも長距離は飛んでたからね」


「おれはまだまだいけるぞー!」


「フーも!どんとこーい!」


「あたしは疲れちゃったわ〜」


「あたいも···。しっかりたいりょくつけないとひっさつわざが···」


「ははは!ちびっこたち。気づかないうちにムリしてるぞ。急にやっても伸びないからな。毎日の積み重ねで強くなっていくんだからな」


「はい!レオししょう!」


「レオししょう、かっこい~!」


「あせっちゃダメってことね。あたしもがんばるわ!」


「ひーろーもまいにちくんれんしてたからな!あたいもがんばるぜ!」



 ははは。レオの励まし方は上手だなぁ〜。でも、モンドくんとフーちゃんは日頃から鍛えてるからかなりタフだ。神狼族っていう事を除いてもね。一方のルメちゃんとアトラちゃんはドラゴン族でもまだ幼いからちょっと体力面でつらい部分があるね。ルメちゃんとアトラちゃんはあり余る魔力で身体強化を最大まで高めてカバーしていたようだけどね。


 さて、宿場町に着いたのでまずは宿の確保だね!ここもボルタニア大陸と一緒で酒場と宿が併設されている。勝手はほぼ同じだろうね。



「すいませ〜ん。9人1泊なんですけど、部屋は空いてますか〜?」


「おう、いらっしゃい!2家族っぽいからファミリータイプの部屋が空いてるぞ。ただ、4人分しかベッドがないから1人はエクストラベッドになっちまうが、それでいいか?」


「いいですよ。お願いできますか?」


「ありがとよ!ちょっと準備しなきゃいけないから、酒場で待っててくれるか?」


「わかりました。終わったら呼んで下さいね」


「そんな時間は取らせねえからな」



 そして待つこと15分。



「待たせたな!カギはこれだ。ゆっくりくつろいでくれ。酒場は午後6時、朝は午前7時からだぜ」


「ありがとうございました」



 部屋に入るとツインベッドのある部屋が2つ、リビングのソファがエクストラベッドとして準備されてたよ。ちょっと狭いけど、1泊なら十分だね。



「モンドくん、フーちゃん、お疲れさま。ゆっくりして疲れを癒してね」


「じーちゃん!おれはまだまだうごけるぞー!ちょっとけんとやりのすぶりしてくるぜ!」


「フーもかるくたんれんする〜!モンドくん!いっしょにいこう!」


「二人とも遠くまで行っちゃダメだからね〜」


「「は〜い!!」」


「ははは。孫たちは元気だね〜」


「···アキがおじいさんくさいだけ」


「うぐぅっ!まだアラサーなんだけどなぁ···」


「ははは!アキとハルはホント、いい夫婦だなぁ〜」


「もう!茶化さないでよ、レオ!」


「悪い悪い!でも、あれぐらい元気な方がいいさ。体力は必要だからな。魔力はトランスでなんとでもなるしな」


「そうだね。まぁ、そこまで強敵なんてそうそういないだろうけどね」



 ···しまった。自分からフラグ立てちゃったか!?まぁ、その時・・・に臨機応変に対応できればいいかな?



 ところが、その時・・・が来たのは夕方だった!



 酒場が開く時間になったので、ボクたちは夕食にすることにしたんだ。


 夕食直前までモンドくんとフーちゃんは休憩なしで鍛練していたよ。幼いころのフユとナツより体力があるかもね。


 さっそく酒場で夕食を注文した。リオはまたまたたくさん注文して酒場のおっちゃんを困らせてしまっていた。ボクが気づいてすぐに止めに入ったけどね。


 今日はちょっと飲みたい気分だから、酒を飲んじゃおう!孫たち以外全員分頼んだよ。孫たちはジュースで乾杯しよう!



「それじゃあ、今日もお疲れさま!かんぱ」


「ちょっと待ったーーっす!!」



 ···乾杯を邪魔されたよ。誰だ?こんな無粋なマネするヤツは?



「貴様だな?『期間別空家リフォーム完成数トップ』は?」



 ···その言葉が出てくるって事は神様関係か。言葉を聞いたとたんにレオがボクの前に入ってきたよ。



「お前ら、何者だ?」


「あなたに用はないわ。あるのは···、そこのよ」


「···ボクは男ですけど?」


「···え?」


「だからボクは男です!!···久しぶりだよ。間違えられたのは」


「じーちゃんってさいしょにみたらほんとうにおんなのこだったなぁ〜」


「フーもじーじにはわるいけどそうおもっちゃった!」


「二人とも···。そ、そんな事よりあなたたちはどちら様です?神様関係っぽいですけど?」



 そう尋ねると、3人はいきなりヘンテコなポーズを取った!···某特戦隊のマネか?



「ワシはダイブ!世界名ハッサンの神!」


「オレっちはナブラ!世界名エンザンの神っす!」


「私はローテ。世界名カイテンの神よ」


「そうですか。で?ご用件は?ボクを襲って『ワールド・エクリプス』を発動させようって魂胆ですか?」


「その前にアンタも名乗るっす!こっちは名乗ってるっすよ!?」


「···はぁ〜。悪神に名乗りたくないんだけどなぁ〜。ボクはアキ。世界名キトニアとかたくさんの世界の神をやらされてました・・・・・・・・けど」


「嘘だな!数多くの世界を完成させることなど本来は不可能だ!それをやらされてただと!?思ってた以上にふざけた輩だな!」


「御託はいいよ。もう1回聞くけど、そっちの目的は?ボクをここで襲って『ワールド・エクリプス』?」


「そうよ。創るのめんどいから完成品をいただこうと思ってね〜」



 やっぱりそうかい。でも、レオが警戒してるし、他のみんなも戦闘態勢に入ってるよ。もちろん、実際に起こったら迷惑だから外に連れ出すけどね。


 レオが3人に警告した。



「そうならないようにオレがいるんだが?あと、アキ以外のみんなもそれなりの腕だ。···無事に帰れると思うなよ」


「ちょっと待つっす!オレっちたちはこの世界に入るために力を失ってるっす!武力で奪おうとは思ってないっすよ!」


「···はぁ?じゃあ、どうするんです?」


「飲み比べ勝負といこうじゃないか!!」



 ···呆れた。そんな勝負で賭けるのが『世界』だなんて···。でも、それなら···



「よし、その勝負受けて立とう」


「アキ!?本気か!?まともにやり合う必要はないだろ!?」


「レオ、こういう奪い方もあるんだね。平和的だけど、ボクが負ける事ない・・・・・・から安心して」


「しかし···」


「レオー。アキの言う通りにしとけー。間違いなく勝つ・・・・・・・からなー」


「そうか···。アキ、ムリするなよ?」


「当然。じゃあ、注文するね。ボクが負けたら神の力の核を1人1個ずつ渡すよ。キミたちが負けたら···、ここでの飲食代全部払ってもらおうか」


「アキ!?賭けるものが不釣り合い過ぎるぞ!?こいつらも神の力の核を賭けさせないと!」


「レオ、大丈夫。さあ、どうする?」


「ははは!いいぞ。ワシが負けるわけないからな!」


「そうっすよ〜。今のうちに降参した方がいいっすよ〜」


「っていうか、ここに来るまでに変なオッサン・・・・・・に絡まれて有り金全部取られちゃったから、勝たないといけないのよね···」



 ···なんじゃそりゃ?神様が襲われるってどういう事?まぁ、いいか。さあ、全力全開で完膚なきまでやってやる。



「···よろしい。ならば戦争クリークだ」

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