1-4.ケンのお店を発見したよ!
「リオ!朝だよ!もう起きなって!」
「んんーー?···えー?アキー?もう朝かー?」
「もう午前9時だよ···。またリオは今日朝食ないよ」
「···えーーー!?また朝食食べ損ねたぞーー!」
「アンタね···。時差があるからアクロだと午後2時よ!どんだけ寝る気よ!?」
「おー、ナナ。いつもよりも
「まぁ、大陸横断飛行したから疲れてるってのもあったんだろうけどね。今日はマグの街を見てみようってみんなと話をしてたんだよ」
「そうかー!でも、最初はどこかメシが食べれるところがいいなー!」
「そう言うと思ったよ···」
ボクたちは午前3時には目が覚めちゃって、無理やり5時半まで寝てたんだよね。朝食はレストランがオープンと同時に入って食べちゃったよ。
そりゃ、アクロだったら正午だもん。朝食抜きでいきなり昼食感覚だから、みんないっぱい食べちゃったね。おなか空いてたからなぁ~。
そう、この時差。スマホの時間はボルタニア大陸の時間なので、いちいち計算しないと非常に面倒だ。ボクも元の世界では時差対応の腕時計をして、飛行機に乗った直後に現地時間にセットしていたよ。元の世界で海外旅行とか行って多少は時差に慣れてるボクですら頭がこんがらがるんだ。ボク以外は大混乱になってしまうんだよ。
そこで、昨日夜にナビモードになったレオからエレさんのところのナビさんに連絡してもらい、スマホの表示時間を時差に対応してもらうようにお願いしておいた。
『あいあいさー!その程度はお安い御用だよ~!できればエレくんとボクにお土産買っておいてもらえると助かるよ~!』って事だった。まぁ、その程度はね。
こうしてスマホの画面には『(EST)9:30』という表示とその下に小さく『VST14:30』と表示にアップデートされていたよ。
『EST』とは『ウェーバー大陸
ちなみに日本の標準時は『JST』で、兵庫県の明石市立天文科学館を通る東経135度の時間なんだよ。ロンドンにある協定世界時『UTC』より9時間早いんだよね~。
さて、マグの街を散策しようか!昨日は魚市場と冒険者協会に行ったね。今日は港とかに行ってみようかな~?あとは買い物もしたいね!どこかに商店街とかはないかな?
今は夏なんだけど、ここは海が近いのに湿気が非常に少ないんだ。だから暑くてもそこまで汗ばむこともなく快適だね~!日本の夏は湿気が多くて気温高いから、冷房がないと辛かったよ~。
まずは港にやってきた。やっぱり大陸間航海用に大きな船だよ。アイム島に行った時の船の倍以上はあるなぁ~。そうじゃないと嵐とかに巻き込まれたら大変だもんね。
ちょうど荷役中の船があったよ。台車を転がして人力で船の中から貨物を出して積み込みしていたね!元の世界のようにトレーラーシャーシやコンテナを積み込むのとはケタ違いに手間がかかるのは仕方ないところだ。
孫たちも荷役の様子をじーっと見ていたね。まぁ、アトラちゃん以外は海が近くにないからこういった物を見たことないからなおさらだろうね~。
「でっかいなぁ~!あたいのすんでるしまのふねよりおおきなふねってあるんだなぁ~」
「そうだね。ここに来る途中は長いこと海だったから、大きな船じゃないと船員さんの食料もなくなっちゃうしね」
「なるほどな!アキじーちゃんのいうことはべんきょうになるってパパがいってたとおりだぜ!」
ははは···。まぁ、これもいい社会勉強だよ。このお仕事の一部をケンが担っているんだからね。空輸という形だけどね。
そんな事を考えてふと建物のほうを見ると、海運会社がたくさん入っている中に『青竜高速特急便マグ支店』の看板があった!
「ナナ、ここにケンの会社の支店があるよ!」
「あら、ホントだわ~!こんなところにもあるのね~」
「多分、税関の絡みだろうね。離発着は別の場所だろうけどね。ちょっと寄っていく?」
「そうね~。知り合いがいるかもね~」
というわけでみんなで支店に入ってみた。···そんなに大きくない一室に一人だけ青竜のドラゴン族がいたよ。
「あら!ダイナじゃないの!?こんなところにいるのね!?」
「誰だ?···って姫じゃないですかい!?姫こそどうしてここに!?」
「あ~···、もういい加減『姫』呼ばわりはやめてほしいんだけどなぁ~。ちょっと家族旅行でこっちに飛んで来たのよ。港を見に来たらケンの会社があったから覗いただけよ」
「そうでしたか!王子は非常にうまくやっていますよ~!ここの支店は売上が非常に好調ですしね!」
「そうなのね。まぁ、無理せずやってちょうだいね」
「王子の顔に泥を塗るようなマネはしませんぜ!ご安心を!」
やっぱり大陸間はドル箱だろうなぁ~。元の世界の空輸と同様にそんなに重量や体積は運べないけど、
ちなみにダイナさんに聞いたところ、ここから発送される荷物は珍味の高級乾物やかさばらない手紙や重要書簡、貴重品などがほとんどで、なんとここのマグの新聞も運んでいたんだよ!ボルタニア大陸の玄関先はピムエム皇国だし、パスさんはウェーバー大陸の情報を知りたいからだろうね。
そうそう、元の世界でもかつて新聞は航空会社では生鮮品同様の『鮮度がある生もの』として扱われてたらしいから、同様の考えなんだね。···おそらくサキちゃんの入れ知恵だろうなぁ~。サキちゃんはボクの元の世界を体験しちゃってるからなぁ~。
支店を出て次に行こうと考えてると、リオが若干不機嫌になってきた。
「なー?そろそろ腹ごしらえしようぜー!朝抜きだからおなかすいたぞー!」
「まだ午前11時前だけど?飲食店開いてないよ?」
「アンタね?自分が寝坊したんだから文句言う筋合いないわよ!?時差でみんな早起きできてるのにアンタだけ寝坊したからこうなってるのよ!」
「それはわかってるんだけどなー···。おなかすいてもう動けないぞー」
う~ん···。このあたりって昨日食べた魚市場ぐらいしかないんだけどなぁ~。せっかくだし別のレストランで食べたいんだけどなぁ~。そう思っていたらルメちゃんとアトラちゃんからこんな提案があった。
「じゃあリオじーちゃん!うごけないならあたいがとぶからぶらさがってたらいいぞー!」
「あたしもとぶわ!あたしとアトラで飛んでじーじをぶらさげたらじーじはうごかなくてもだいじょうぶよ!」
「えっ!?ルメ、アトラ!?ちょ、ちょっとーー!?」
「「せーの!!」」
「うわーー!って···、あー、まー楽なんだけどなー」
ルメちゃんとアトラちゃんがリオの両脇をそれぞれ持って飛び上がったんだ。確かにリオは動かずに楽はできるんだろうけど···。
「え?大人が子どもに吊り上げられてるぞ?何かあったのか?」
「あの吊られてる人、大丈夫かしら?なにか急病かしらね?」
「吊っている子は健気だなぁ~。困ってる大人を助けてあげてるね~」
周囲の注目を集めちゃってるね···。まぁ、ドラゴン族っていうだけで珍しいってのもあるんだけどね。そして注目の的となったご本人のリオは···
「も、もういいぞー!ちゃんと歩くからなー!二人ともー!下ろしてくれー!」
「じーじ、だいじょうぶ?」
「じーちゃん、ムリするなよ~。まごにあまえるのもだいじだぜ!」
そう言って近くにあるレストランまで護送されてたよ。レストランでは言うまでもなくリオはたらふく食べていたよ···。
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