第5話 ストーキング
「うんめぇ!うんめぇよおっちゃん!」
「アンタ………若いのに苦労してるねぇ」
俺は帰り道が分からないのでホームレスに飯をたかって飢えを凌いでた。………とりあえずこれからどうしよう。
◆
「確か、お、ここだな」
俺は記憶を頼りにソフィアの家まで辿り着けた。どうだお前らすごいだろ。
俺はドアをノックする前に少し考える。……今何時だ?
ホームレスに飯をたかって談笑して、焚き火の周りでホークダンスしてたからアレから何時間たってるのか分からない。もし12時を過ぎてたら夜遅くにくる変質者じゃないか!
しかも用が、「帰り道教えてくれ」だという意味の分からん理由だ。それならホームレスに飯をたかる前に来れば良かっただろと言う話し………確かにそうやん。なんで最初からここに来なかったんだろ。
今更考えても遅い忘れよう。いま俺がすべき行動、それは!朝ソフィアが学校に向かうタイミングに合わせて後から付ける事。ふふ、こうすればソフィアに迷惑をかけずに道を知れる!俺天才か?
こうして一人のストーカーが産まれた。
◆
――ガチャ
俺は音が聞こえたタイミングで目を覚まし、咄嗟に身を隠す。………ビンゴ。ソフィア本人が出てきた。
けど何故だ?大きな荷物に顔隠すようなフードを被ってる。それにまだ日も上ってないし明らかに学校に行く格好じゃない………とりあえず後をつけてから考えよう。
それから俺は電車を何回か乗り、いつの間にか港まで来ていた。
ソフィアは港の近くのコンテナにもたれかかり周りを警戒している。ちなみに石とか投げてて物音立てると
ビック!?――キョロキョロ
と反応するのでクソ面白い。先ほどから数回それで遊んで暇を潰ししてる。ん?俺はどこにいるかって?適当にゴミ捨て場に寝転がってる。
暗いから夜目が効かないと殆どゴミと人間区別出来ないんだよね〜。あとは自分の目の前に人がいるわけ無いっていう心理学も利用してる。いま理由考えたけど。
俺がソフィアを見れる理由は簡単、視力が5.0だからだ!( *¯ ꒳¯*)ドヤァ
しらばらく待っていると黒装束の男がやって来て、ソフィアと何か話した後、ソフィアの鞄を受け取って去っていった。逆にソフィアはお札が入ってそうな袋を受け取った。
………うん。これ闇バイトだね。あー、だんだんと思い出してきた。ソフィアはこんな危ない連中と関わりまくったせいで弱味握られ、脅されて色々と犯罪に加担するようになるのだ。
で、物語の主人公はそれに気付きなんやかんやあって犯罪者を鉄拳制裁、そしてソフィアを匿う為一緒に暮らすんだ………。マジかよ主人公、お前暴力で解決しすぎじゃね?
ま、というわけで俺はソフィアでは無く黒装束の男の後を付けた。
◆
黒装束の男は、途中で服を着替え普通の街にある一つビルに入っていった。〇〇運輸株式会社か。
恐らく犯罪を隠す為の表向きの会社だろう。犯罪者は一見普通の人に見えるってのも納得だ。
俺はそのままビルに入り男を追った。エレベーターまで一緒に乗ったら不審な目を向けられるが別に気にしない。あ、ちゃんと学校が分からないように上は下着姿だぜ!安心しな。
※ツッコミ不在
「おい、お前誰だ?」
流石に同じ部屋まで入って行ったら怪しまれた。けど粗暴な態度はありがたい。こちらも楽になる。
「アポは取ってるはずだが?」
俺は引き続き高圧的な態度を取る。それにより相手は気圧され「自分が間違ってるかも」と思い腰が低くなる。
「え、あ、今確認にしてくる……ます」
「いらん、さっさと川口に合わせろ」
前世の記憶で確かそんな名前だった気がする知らんけど。
「え、誰?」
「あ?お前らんとこのボスの名前だろ」
「川崎ですけど………」
おっと名前間違えたぜテヘペロ。けど別にいいや
「あー、そんなだったか?とりあえず合わせろ」
「は、はいっす」
さて、ヤバくなったら逃げよ。大丈夫だろ、この主人公強いし、俺も強いに決まってる………多分。
「あ、どこのどいつだテメェは?」
おっと身長2メートルくらいのデブが出てきたんだけどか、帰りてぇー!!超怖いなにコイツ?絶対人殺してるよ。ダース単位で殺してるよ。
「なにコイツめっちゃ怖いんだけど。絶対素手で人殺してるよ」
「あ、素手で殺した事ねぇよ」
あ、やっべ声に出てた。て言うか殺した事は否定しないのね………。
「とりあえずこの金の髪と青い瞳で察しがつくだろ」
俺はうろ覚えの原作知識を頼りに今行動している。確かコイツらは麻薬とか薬物の違法取引をしてる奴だ。で、取引先はもちろん海外のギャングとかそこら辺だろ。
で、俺は金髪碧眼のこの見た目を利用して取引先から視察に来たって設定を通す。違法取引する奴らが視察するか知らんけど。
「………アメリカから視察に来たのか?」
NICE、勝手に理由付けして辻褄合わせしてくれてよ!テメーらの犯罪の現場の情報全て暴いてやる!
「そうだ!さっさと案内しやがれ」
だが、川山はニヤリと口角をあげて言った。
「………おいお前ら!コイツを捕まえろ!」
「は?いっ!?たぁっ!」
俺はそのまま二人がかりで地面に押さえ付けられ身動きが取れなくなる。
「なんで?」
俺のその質問を聞き、馬鹿を見るような目をした川島が答える。
「俺らの取引先は中国だ」
………うん!現実って全く思い通りに行かないよな!ってこれ物語の世界じゃん!俺主人公なのになんでぇぇぇぇ!!!!!!!!!
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