スーパーヒーロー登場
青山美芸大の近くの
ローソンとセブンが並んでるとこ…?
どこだよそれ!!
RRRRR RRRRR RRRRR
くそ!真田なにやってんだ!
真田に鬼電しながらとりあえずタクシーに飛び乗った。
RRRRR RR
『んだよ、もう寝てたし』
出た!
「彼女は?!お前沖縄?!こっち?!彼女は?!」
『はぁ?マドカなら寝てるけど』
「起こせ!早く!」
青山周辺に何個コンビニあると思ってんだ!
『は~いzzz』
「大学の近くで
ローソンとセブンが並んでるとこってどこ?!」
『はぁ?ローソンとセブン…
あぁ北門出たとこよ、表参道側のほう…』
「わかった!
運転手さん!北門の方です!」
『は?え、なにしてんの?』
「事情はその内気が向いたら話す、じゃ」
何分経った?!
頼む…無事でいてくれ!
『助けて…!』
なんで別れろって言わなかったんだ。
あの誕生日の日、事実を話してやればこんなことにならなかったかもしれない。
『お友達がいるのにね…美来くん…キスして
服…服をね…お友達もね…』
泣きながら、聞き取るのも難しいほどの小さな声で助けを求めた。
トイレにでもいくふりして、藁にもすがる思いで電話してきたんだろう。
「事故でもあったかな~」
車は動かなくなった。
「もうそこなんだけどね」
「ここでいいです!」
ちまちまとペイペイで払ってる場合じゃない。
財布から紙的な物を出してタクシーを降りた。
「おつり!」
あ、どうも~ってお釣りもらってる時間もいらない。
「お兄さんそっちにもう少しだから!」
「はい!ありがとうございます!」
走って走って走りまくって
「ここか…」ハァハァ
大学の門のすぐ近くにローソンとセブンは並んでいた。
「そこからまっすぐ行って…」
ハァハァ
「自販機…これか」
ハァハァ
「茶色と白の2階建てのアパート」
ハァハァ
「スーたん…」
鉄板の階段を駆け上がると、革靴の底がカンカンと音をたてた。
「突き当たり…」
ピンポンピンポンピンポン
早く開けろ
ドンドンドンドン
「スーたん!」
ピンポンピンポン
「ヒモ太郎開けろ!」
ガチャガチャ
「スーたん!」
ガチャ
スッと隙間の空いたドア
思わずそこに足を突っ込んだ。
ガッと挟まれ痛みが走った。
「誰だよ」
「いってぇな…」
力一杯ドアノブを引いてやがる。
その隙間からのぞいた顔が不審そうに睨みつけてきた。
「誰だよ、警察呼ぶぞ」
「呼べよ」
「足、折れるぜ」
「スーたん!スーたんいる?!」
ドアの隙間から奥に向かって呼ぶと、ガタガタとあきらか何かが暴れた音と
「んーーー!」
「何してんだよ…」
口を封じられてるような叫び声が
俺に助けてと言う。
怒りで手が震えてきた。
「手、離せ」
ヒモ太郎がドアから手を離した。
大きく開いたドアの向こうでスーたんは、男に口を塞がれ押さえつけられていた。
「何してんだ!」
カッと頭に血が上った。
だけどスーたんの怯えた顔が
「……」
俺を冷静にした。
「えーー!意味わかりませんけど~!
何で不法侵入者に殴られそうになったん俺!」
「頭わいてんな~この人」
キャハハハハ
「離せよ…」
「なんで?俺の彼女だもん
なにしても俺の自由じゃん
てか、不法侵入で捕まりますよ~」
こっちがヒモ太郎か。
「今から盛り上がるんで
邪魔しないでもらっていいですか?」
何が面白くて笑ってるんだ。
やっぱり頭おかしかったのかこいつ。
「てかスズ、こいつ誰?なんでここに来るの?
俺以外の男と連絡とっちゃダメだよね?」
「美来、警察呼ぼうぜ~」
「だな」
「おいヒモ太郎」
「はぁ?誰に言ってんの?」
「大層な名前付けてもらってんな
何がミライだヒモ太郎のくせに
いや、ヒモの方がマシだけどな」
「はぁ?」
「ここまで腐ってると思わなかったわ」
「陽平110番
こいつマジわいてるわ、やべぇ」
「ミッキーの袋の金はお前が使ったんだろ?」
「俺がスズの金使って何が悪いんだよ」
「美来、スマホから110番ってどうやんの?」
「知んねぇ」
「他人の金を勝手に使えば盗みだな」
「はぁ?」
「嫌がってる女の子を押さえつけてるこの状況
わかってんのお前ら」
「なんだよ」
「監禁と暴行だ」
「は?だからなんだよ」
「110番してやるよ、俺が」
スマホを取り出すと、ビビったのか抑える力が緩んだ。
ヒモ太郎の腕を振り払って
「神田さん…!」
俺に飛び込んできた。
震える小さな肩
泣きじゃくる声
「ごめんねスーたん」
俺がもっと早くごちゃごちゃ考えずにやってたら
「おい、二度とこの子に関わるなよ」
「ま…待てよ!」
「なんだよ」
「スズ…こっちに来てよ
俺寂しいじゃん」
「嫌…!」
「…んだよ、お前なんかATMだっつうの」
「スーたん行こう」
「おっさん、別にくれてやるけどさ
そいつマジで濡れねえから、不感症
やってもおもしろくねぇよ」キャハハハ
「お前最低だな」
抱きかかえるように玄関に向かう足がぴたっと止まった。
「私…美来くんのキス気持ち悪かった」
「はぁ?んだと」
「でも…美来くんの絵は」
「大好きだったよ」
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