自分で向き合わないと
「はあああぁっ!?」
直也が素っ頓狂な声をあげた。
「イケメン連れてくって、お前、バカか!?」
直也が更に勇次に詰め寄る。
鉄男は黙って勇次を見つめていた。
「あの人に話があるんです。行かせてください」
勇次は言った。
「話ってなんだよ!?」
直也が返す。
「あの人が俺に指示を出して身代金を
奪わせた事ー」
勇次は島川を見据えー
「この人と賢君の家を襲撃してお母さんを
傷つけた事を自白してもらいます」
「そ、そんなのこいつシメてりゃ、あいつを自白させる事なんて出来るだろうが!」
直也は島川の首根っこを掴んで言った。
「これは俺が向き合わなきゃいけないんです。
自分が責任をとって向き合わないとー」
「?向き合わないとなんだよ?」
勇次はその後を言わずー
「それに、もうこの人は十分でしょう?」
血だらけボロボロの島川に目をやった。
「足りねえくらいだ。こっちの優位をわざわざ
放棄する事ねえだろうが!」
「・・・・へっ。こいつの言う通りに した方が
いいんじゃねえの?」
島川が力なく、呟く様に言った。
「あ?」
直也が島川を睨む。いつでも殴れる様に
拳を握りながら。
「よ、ヨシはやるって言ったらやるんだ・・・・ お前らに優位なんてない・・・・ 俺を自由に
しなきゃ、ヨシは金を絶対に捨てるぞ。 そうさ。ヨシは金なんかより俺を。俺を選ぶさ」
「た、大した自信じゃねえかよ」
ちょっとたじろぎ乍ら直也が言うとー
「おい!何ゴタゴタやってんだ!? 早くしねぇか!!」
遠目で筧が吼えた。
「ど、どうする?」
直也は兄を窺った。
「・・・・行け」
鉄男は勇次を見て言った。
勇次はそれに応え頷く。
つい先ほど直也に答えなかった事を
頭の中で反芻した。
自分で向き合わないと
ー勇次の脳裏に美波が撃たれた姿、
泣きじゃくる賢の顔が浮かぶ。ー
二度と賢君たちと向き合えない。
そして、これからの自分自身にも。
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