第5詩 ドローンSE-229BR

 機体諸元

 

 最大上昇速度 七メーター パー セコンド

 ホバリング精度 水平垂直 ゼロコンマ一メーター

 運用限界高度 三〇〇〇メーター

 ペイロード 一二キログラム

 

 フルダイレクションの障害物検知がもたらす高度な安全性を

 超精細カメラによるシネマティックな映像を

 新世代ジャイロの卓越した飛行体験を

 

 さてさて 

 このたび我が加能商事が納入するSE-229BR 


 SE-229BR


 末尾のBRは死の符号

 かのアルファベットは銃器アタッチメントを意味する

  

 SE-229BRは武装ドローンなり










/////////////

誠に申し訳ありません。「詩ではないのではないか、カタログ読んでいるだけじゃん」というお叱りは甘んじてお受けします。前段はドローンの仕様を読み上げているだけです。

だいぶ前の文学フリーマケットで詩の朗読というのがありまして、そちらで清涼飲料水の成分表示を情感たっぷりに詠唱するという方がいらっしゃったとお聞きしたのがネタです。

会社でドローンの納入をめぐり、コンプライアンス的にNGな武装ドローンを主人公のライバルたちが受注しようとします。それを阻止しようとするシーンで主人公の雨森は詩に力を借りて告発するのです。

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