第6話
その時、屋上の扉が静かに開く音がした。沙織が顔を出し、二人の姿を目にした瞬間、彼女の表情が凍りついた。真由美と僕が手を繋ぎ、穏やかな笑顔を交わしている光景は、沙織にとって予想外のものだった。
「健太…」 沙織の声は震えていた。彼女の目には驚きと戸惑いが浮かんでいる。真由美はその声に気づき、驚いたように振り返った。僕も心臓がドキリとした。まさか、こんなタイミングで沙織が来るなんて。
「沙羅、これは…」 言葉が出てこない。どう説明すればいいのか、頭の中が混乱していた。真由美は少し後ろに下がり、沙織の視線を避けるようにした。
「どういうこと?健太、真由美と…」 沙織の声は少し高くなり、感情が溢れ出しているのがわかった。彼女の目には涙が浮かんでいる。僕は彼女の気持ちを考えると、胸が締め付けられる思いだった。
「沙織、これは…」 再び言葉を探すが、何も出てこない。真由美は僕の手を優しく握り返し、彼女の目にも不安が浮かんでいた。
「私たち、これからお互いの気持ちを大切にしようって…」 真由美が言葉を続けようとしたが、沙織の表情が一層険しくなった。
「それがどういう意味か、私にはわからない。健太、私たちの関係はどうなるの?」沙織の声は震え、彼女の心の中の葛藤が見えた。
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