第26話 東京に行こう! 突発【はいしん】


 「よし、東京にいくぞ!」


 ギルドでの配信が終わった次の日、早速俺たちは東京行きの準備をしていた。目的は、俺の両親の墓参りとカエデちゃんの里帰りだ。


 「準備はもうできてますので、そろそろ新大阪駅に向かいましょう。」


 「そうだな。ちょっと早い目に行って、何か食べていくか。」


 『私はたこ焼きが食べたいわ!』


 「朝からたこ焼きか…。まあ、ルーシーは未だ食べたことなかったし、金ダコにでも行ってみるか。」


 『やったー!』




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 現在、俺たちはたこ焼きを食べながら、突発的に【はいしん】をしていた。



 :突然配信始まったと思ったら、たこ焼き食べてる?

 :ルーシーちゃんだけたこ焼きの量多すぎんか?

 :朝からたこ焼きは草

 :【悲報】ルーシーちゃん食いしん坊

 :【朗報】ルーシーちゃん食いしん坊

 :↑どっちやねん。


 「皆さんおはようございまーす。探索者のカエデです。今日は、ルーシーちゃんが【はいしん】の練習をしているところでーす。」


 :我らがアイドルカエデちゃんや

 :エルフちゃんとどういう関係?

 :確かダンジョンでカエデちゃんが助けてもらったんじゃなかったっけ?

 :だから一緒にいるのか


 「はい。ダンジョンで助けてもらってから、一緒に行動させてもらってます!そして、色々あって3人でパーティーを組むことになりました!」


 :カエデちゃんソロじゃなくなるのか…。

 :このパーティー見た目の偏差値高杉

 :初回の配信でもかなり相性よかったかもんな

 :この3人ならもしかしたらダンジョン完全攻略も行けるんじゃね?


 「という訳で、このチャンネルでは声ありの配信は初めてなので、改めてお二人に自己紹介をしてもらいます。」


 「え~っと、そうだな。私は大和だ。ダンジョン内の事故でダークエルフになってしまった。ちなみに、ルーシーとカエデと出会うまでは、長い間ダンジョンに潜り続けていた。」


 :あれ。なんか公式チャンネルの時と口調が違くね?

 :でも、今の方がカッコよくていいわ。

 :なるほど、長期間潜り続けてたから強いんか

 :潜り続けてたからってここまで強くなるか?どんだけ潜ればいいんだよ。


 「えーっと、潜った期間ははっきり覚えていないんだが、大体20年以上は潜っていたかなと思う。」


 :20年⁉

 :えっ、それにしては若くないか?

 :エルフにとって20年はうんたらかんたら…。

 :たしか、ダンジョンに潜ると老いが遅くなるんじゃなかった?

 :それ聞いたことある。地底人のニュースだろ?


 「まあ、私のことはこれぐらいにしておいて、次はルーシーだな。」


 『それじゃあ、私の番ね。もうヤマトに言われちゃったけど、私はルーシー。放出系の魔法が得意よ。よろしくね…。こんな感じでいいかしら?』


 :お姉さん口調のませロリエルフちゃんキターーーーーー

 :ませロリってw

 :背伸びした感じが非常に可愛い。

 :食いしん坊ませロリエルフ…。

 :属性多すぎんよ。

 :属性ならヤマトちゃんも負けてないで。

 :カッコいい口調の刀持ち長身クール系ダークエルフ…。

 :↑確かにどっちも属性多いな。

 :まともなのはカエデちゃんだけか…。


 『ませてるって何よ!これでも私は3人の中でも最年長なんだから! それに、属性魔法ならどれも使えるわ!』


 :のじゃ要素キター!

 :いや、「のじゃ」とは言ってないから、のじゃロリとは言えないんじゃないか?

 :属性魔法全部使えんの?それマジならすごくね?

 :普通は多くても3属性くらいだもんな。

 :そういえば、エルフちゃんって口の動きとしゃべってる内容が合ってないよな?

 :ルーシーちゃん、語尾に「のじゃ」ってつけると年上に見て貰えるよ。

 :↑あっ、これ本当だよルーシーちゃん。


 『のじゃを語尾に? これでいいのじゃ?』


 「ぶふぉっ!w」


 『ぶふぁ!』


 そのとき、笑いをこらえきれなかったカエデが口からジュースを吹き出し、ルーシーの顔に吹きかけてしまった。


 :のじゃロリルーシーたんキター!

 :カエデちゃん笑いすぎワロタ

 :ルーシーちゃんがジュースまみれや。

 :【悲報】ルーシーちゃん、ちょろい


 「ご、ごめんなさいルーシーちゃん。片付けないといけないので、配信はここまでです!それと、しばらくはダンジョンに潜らないので、情報はSNSを確認してください! それじゃ!」


 プチッ



 「ふー。ごめんなさい。ルーシーちゃん。つい笑っちゃって。」


 『とりあえず、コメントでからかわれただけだってことは理解したわ。もうこれからは、のじゃって言わないようにする。』


 「のじゃって言った方が可愛いので、私たち3人だけでなら大丈夫ですよ!」


 『カエデには騙されないわよ!』


 「まあ、のじゃって語尾に着けるのはおじいさんが多いから、年上に見られるって言うのは間違ってないんだよな。」


 『もう!ヤマトまでそんなこと言って!早く片付けてシンカンセンに乗るわよ!』



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 その後、周りから注目されながらもなんとか新幹線乗り場にたどり着いた。


 『え~っと、シンカンセンって言うのは、魔動列車と同じような物なのよね。』


 「まどーれっしゃ?そうですね、列車と同じようなものですかね?」


 「おっ、そろそろやって来るぞ。」


 『あれかしら?すごく大きいのね…。それに、凄くとがってる…。』


 「それだけじゃないぞ。新幹線はとっても速く走るんだ。大体、車の6倍くらいだったかな?」


 『クルマの6倍⁉ そんな乗り物聞いたことないわ⁉』


 「これに乗って、東京まで2時間半くらいかかるらしいから、ゆっくりしていこう。」


 「はーい。ルーシーちゃんのためにも駅弁買ってますよー。」


 『ありがとう!カエデ!』


 「どういたしまして!」

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