企画部木本奈月

ー翌日。

(言われるままに作ってきてしまったけど…)

12時5分。夢は提げたランチトートにチラリと目をやると、廊下の手すりから下のフロアを覗き見た。

13階から下を見下ろすと、昼時でたくさんの社員が廊下を行き来するのが見える。

だが、夢が探している人物はその中に見当たらなかった。

(こんなことならちゃんと待ち合わせするんだった。企画部は８階だから、そこまで降りてみようかな……いや、それともからかわれただけなのかな…)

だんだん不安になってきて、手すりに背を向けて歩き出そうとすると、

「せんぱーい！」

忘れもしないその声に心臓が飛び上がり、振り返る。

キョロキョロと見渡すと、３～４階下のフロアで大きく手を振る彼が見えた。

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