第16話

「ホントですか?やったぁ!」



奈月はパッと顔を上げると、小さく拳を握って喜んだ。



そしてすぐに立ち上がり、夢の手を促し立ち上がらせると、



「じゃあ小野寺先輩、また明日。」



そう言って去っていってしまった。



残された夢は呆けたように彼の華奢な背中を見送っていた。



一度に色んなことがあったような、夢の中の出来事だったような…彼自身が幻だったような気がして、いつまでもその場から動けずにいた。

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