本作は、小手先のテクニックや営業活動の心得に背を向け、ただひたすらに愚直に熱い創作について大事な芯の部分である、『お前は何を書きたいのか? そのための覚悟はあるのか?』という問いををこちらに投げかけてくる創作論です。
書籍化作家の端くれである自分が内心では創作において大事だと思っているんだけれど、デリケートな部分ゆえに外部に示す勇気がなかった中、よくぞここまで真正面から核心部分を書いてくれたと、作者様の勇気に感心し敬意を示したいです。
これから小説家になろうとしている者には前線へ自分を信じて突撃させる勇気を与え、すでに商業作家としてより苛烈な戦場に身を置く者たちにも、自身が突撃歩兵であったがむしゃらだった時代を思い出させ血をたぎらせてくれる本作。
しかし、たしかに本作の論は作者が言う通り劇薬でもあります。
この創作論を信じて突撃しても、ほとんどの者は名もなき歩兵として吹っ飛ぶでしょう。
でも、この劇薬を信じた誰かの切っ先が相手の喉元に届いた時、敵地に向かって前のめりに地面に倒れ伏した者達は、きっと我がことのように嬉しく、そして己を誇りに思う事でしょう。
そんな希望のある未来を感じさせてくれる魂の創作論です。