日常から湧き上がる疑問Ⅰ
地下室
第1話
「…」
美奈子はただ呆然と、その様子を見ていた。
何をかと言えば――…
『カシャン…!! カチャカチャ…。カシャン!』
『シャー…クルクル…カシャン…』
「…」
(なんで、こんなに全部の扱いに慣れてんだろう…この人たち。)
ヒロの案内した反乱軍の元隠れ家には彼女の言うとおり、銃器類が山ほど保管されていた。たった今、到着し…自室の分担をされ…コーヒーを入れようとする彼女を止めたのはリーダーのヒビキだった。
『先に…確認したい。ヒロ…武器庫ドコ?』
その問いに、少し美奈子を見て肩を竦めたヒロが「地下よ…」と案内し、着いたのがここだ。きな臭い匂いと油と鉄の匂いに美奈子はむせてしまいそうで、口と鼻を手で覆って後を付いてきたのだが…実際、来なければよかったかもしれない…。
「…」
絶句も通り越し、恐怖の域だったかもしれない。表情1つ変えず銃を組み立て続けるメンバーの姿を見て嫌悪していたのかもしれない。
『ガシャン…カチャッ…』
ケンの顔までもが鋭くなっていた。
「なかなか…いいの使ってたみたいだね…」
ケンの言葉にヒビキは「あぁ。」と一言だけ零す。それ以上は何もなかった。緊迫した雰囲気に美奈子は耐えられず…口を開いた。
「あっ!あのっ!! 私…上でお茶を用意していますねっ!!」
メンバーの…ヒビキの…ケンの…アキラの…チカの…凪の様子が怖くて美奈子はそういった。すると…
「頼むわ。俺…ブラックで。」
とヒビキが笑って返してきた。
「あっ…。はいっ!」
それが嬉しくて、軽快な足取りで地下室を出た。何も変わっていないと思えた…。そんな瞬間を作れるヒビキはやはり凄いなぁー…と思わずにはいられなかった。
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