第18話 魔法使いを探して
「さて、アニスさんのパーティーメンバーをお探しという話でしたね」
ギルド一階の個人面談室。扉は閉められている。その中で、マキバは確認するようにシエルとアニスの二人に問いかけた。
マキバの言葉に、シエルは大きくうなずき、アニスは不満そうな顔で頷き返す。アニスは小声で、シエルさえいてくれればいいのに、と呟いた。
「そして、アニスさんは剣士。一応、シエルさんの希望としては、アニスさんのパーティーに魔法使いのパーティーメンバーは必須っと」
「そうです」
シエルが返答する。まあ、妥当ですね、とマキバがメモを取りながら返す。
その様子にアニスは不思議そうな顔で、
「ねえ、なんで
とシエルに疑問を返した。
「ダンジョン内のモンスターには物理攻撃が効きづらいやつらもいる。そういうやつは基本的に魔法攻撃に弱いんだ」
だから、物理攻撃職は魔法攻撃職とパーティーを組むことが冒険者の中では、半ば常識となっている、とシエルはアニスに語った。
へー、と納得したように頷くアニス。そして、マキバが確認するようにアニスに聞いた。
「アニスさんはダンジョン攻略初心者ですよね。ギルド登録は済ませていますか?」
「うん。昨日ギルドで登録したよ」
ほら、と首から下げるギルド証を胸の前で掲げるアニス。首から掛けるギルド証は特殊な魔法がかけれらた金属製で作られており、それぞれ持ち主の名前が書かれている。
ダンジョンにおいて死体の回収は困難を極める。死に方によっては、死者の特定すらかなわない。そのため、ギルドで身元を登録し、ギルド証を交付し冒険者がそれを身に付けることは、ダンジョン内において死んだ場合のなによりの身元証明になるのだ。
──『青の結束』のパーティーメンバーもこのギルド証と髪束しか、
シエルがギルド証しか地上に帰ってこなかった仲間との過去のことをぼんやりと思い出しているうちに、アニスとマキバは話を進めていた。
「ありがとうございます。それでは何人か紹介させていただくので、少々お待ちを」
そう言って、マキバはパタパタと個人面談室から出ていった。おそらく、パーティーメンバーを募集している人の書類を取りに行くのだろう。
個人面談室には、シエルとアニスが取り残される。アニスがシエルに、ねぇ、と話しかけようとした、その時。
「話は聞かせてもらったわ。アナタ、あたしとパーティーを組まない?」
二人しかいないはずの個人面談室に見知らぬ女の声が響いた。
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