第12話「闇組織との決戦前」
「はぁ、車椅子に乗った昏睡状態の女の子が転校して来た? お姉ちゃんの学校にすごい人が来たね」
「眠理ちゃんって言うんだけど。いやー、お嬢様が来た時は焦ったけど、話したら盛り上がってしまってさー。私達のバンドも楽しんでくれたし、文化祭は一緒に回ろうって約束できたよ!」
「そうなんだ。僕もお姉ちゃんの文化祭には行く予定だから。お姉ちゃんの演奏楽しみだな」
♡♤♧♢
「と、言うわけで、西海寺 眠理こと、告死蝶No.6『
残り一週間、姉さんの文化祭までの期間で、僕達で何かできないか、秤蜘蛛と相談していた。
もちろん、ビデオ通話で。
『なるほど、順調のようですね。こちらも
「なに? どこの組織だ?」
『えぇ、表向きはPMC(民間軍事企業)ですが、裏では人身売買をしている連中です。しかもアメリカで骸蝿と戦ったせいで黒翡翠病の存在がバレました』
「……予想してた事だが、やはりバレたか」
『骸蝿は最強の戦士ですが、諜報戦に向いてるわけではないですし。しかし妙なのが、連中はアメリカを離れて日本に来たそうです』
「何の為に?」
『ふむ、骸蝿に手酷くやられたのでしょう。アメリカで稼ぐ事ができなくなった彼等は日本に一時的に避難したのです。しかも、運悪く彼等の日本支部が星音様の近くにあります。表向きは運送会社だと偽ってますが』
「はぁ、骸蝿一人なら最強だが、相手は組織だからな。トカゲの尻尾みたいに逃げて来たんだろう」
『ええ、しかも幹部が三人とボスが一人が日本に居ます。彼等は犬のコードネームを持ってますが、犬なだけあって黒翡翠病患者の匂いを覚えられてしまいました。まだ月音様が黒翡翠病患者だとバレてませんが、いずれ三人の幹部とボスが月音様の学校に攻めてくるかもしれません』
「特に文化祭みたいに不特定多数の人間が来るイベントは厄介だな」
『はい、この情報は国連と共同で入手したものです。国連も彼等を最重要逮捕対象と認定しました。つまり、文化祭で彼等と戦う事になるのは必然かと』
「分かった。幹部が三人とボスが一人だな。文化祭当日には僕と眠葉虫、酔蜚蠊、灼熱蜂の四人で対応する。君は引き続き連中の同行を監視してくれ」
『分かりました。では、ご武運を星音様』
僕は通話を切った後に目を閉じた。
相手はプロの傭兵。僕が告死蝶のボスになってから、色んな犯罪者と戦ってきたが、本物の傭兵と戦うのは初めてだ。
正直、騙蛾としての能力もまだ十分に使いこなせてない状態だ。
卑怯かもしれないが、使える手は全て使うつもりだ。僕のような子供が勝つには、それしか方法がない。
♡♤♧♢
そして、文化祭当日。
「おほー! 生の星音くんだー! 私は美咲だよー!」
「は、初めまして、美咲お姉ちゃん」
「くぅ、男の娘にお姉ちゃんって言われるの最高だー!」
ほぅほぅ、いつも通り銀髪ツンツン頭の星音だが、今日は気合いが違うな。
ゴスロリだけど、少し動きやすい格好をしている。
文化祭みたいに不特定多数の人が来るから、少しでも動きやすくしたのだろうか?
「わぁ、本当に車椅子に乗ってる!」
『初めまして星音ちゃん。私は眠理と申します……あの、私の事もお姉ちゃんと呼んで良いですよ?』
ふむふむ、私達のバンド演奏は午後からだから、午前中は私と星音、美咲、眠理ちゃんの四人で校内を歩くのか。
いやー、どんな事が起こるのか楽しみだなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます