第1話
【紬の日記】
○月×日
札幌滞在は、二泊三日の予定。札幌駅に着くと、駅構内に可愛い花屋があって、小さなブーケを買った。
ヒロの部屋に、自分が帰った後も残るお土産にしたかった。
ヒロはまだ仕事中の時間だったが、部屋の鍵の隠し場所を聞いていたので、ヒロの部屋で帰りを待った。
ヒロの部屋には花瓶が無かった。空のペットボトルを切って花瓶代わりにした。
帰って来てそれを見たヒロは「こういうのイイね。」と言って、よく見える机の上に置いてくれた。
ヒロが誕生日祝いに、ネックレスをプレゼントしてくれた。「ずっとこうしたかった。はずさないで付けていてね。」と言って、私の後ろに周り首に付けてくれた。ドキドキした。
○月△日
二日目。この日もヒロは仕事だった。ヒロを送り出した後、嘘みたいにネックレスのチェーンが切れた。
二人の縁まで切れてしまいそうな気がして、ヒロには内緒で修理することにした。まず百均ショップを探した。百均ショップで切れたネックチェーンをつなぐ部品と、先の細いペンチを買った。
何とか、ヒロが帰る前に繋がったネックレスを自分で首につけると、ホッとした。でも、はずさない約束を破ってしまった罪悪感と、秘密を作ってしまった後悔が残った。
札幌滞在最後の夜、二人で夜景を観に行った。駐車場に車を停めて、ちょっと小高い丘の階段を登ると、見事な夜景が広がっていた。思わず息を呑んだ。
二人並んでしばらくたたずむと、
「支えて欲しい。」と、ヒロの言葉。
一瞬息を飲み沈黙が広がる。
ずっと言いたかった言葉がやっと言えた。「二人で支え合おうね。」。
○月□日
三日目。帰りの飛行機の中で思った。
ヒロにもらったネックレスは、私の首につけてある。はずさないでの約束は壊れてしまったけれど、この修理したネックレスは、二人で支え合おうねと言った自分との約束。
二人の関係がもし壊れそうになった時は、必ず壊れてしまわないように修理する。
忘れない様に、身に付けておこう。
遠距離恋愛。二人の距離はスマホで超えて。 wit☆ @wit_star
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