第7話

どうして"付き合ってる"とはっきり言わなかったのか。


瞬からそれを問いただすことはなかった。


でも瞬がはっきりと付き合ってると答えてくれたことに、私は少し安心した。


ただ、それだけで不安がゼロになくなるわけではない。





今日は下宿先へ帰る日。


瞬も今日は部活が休みだった。


「ただいまー」


月に何度かこうして帰ってくる。


下宿にいた頃と何も変わらず、違和感もない。


ここは私の帰る場所でもあるのだ。



「あれ?みんないないね」


「買い物行ってんじゃね」



いつもならおじさんとおばさんが出迎えてくれる。


匡哉君と優子さんとハルさんもいない。


今は私と瞬の2人だけだ。


こんなの今までだって何度もあったのに昨日の今日で急に意識してしまう。



「お!」


私は緊張を取り払うかのように咄嗟に口を開く。


テレビのリモコンを付けた瞬が「お?」とこっちへ顔を向けた。


「お茶!そう!お茶!お茶いれてくる!」


キョトンとした瞬が「何回お茶言うんだよ」と、プッと笑った。


「ちょっと待ってて!」


ターッと私は台所へ駆け出した。

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