第3話

私はもう一度、小さく頷き返した。



「嘘でしょ!?」


「えー!!なんで!?」


2人の質問攻めに「わかんないよ」と頼りなく返す。


「それほんとに付き合ってんの!?」


「…多分」


「多分てなに!!」


「でも修学旅行の時キスしたんでしょ!?」


「あれは付き合う前だもん」


「それもそれでおかしーじゃん!」


「付き合ったらキスするでしょ!!」



まるで責められてるように感じた私は「わかんないよー…」と吐露する。



瞬と想いが通じ合ってから3ヶ月。


私も2人の言うような事に悩まされていた。


でもこんな話、相談できるわけがなかった。



私の様子を見かねた千佳と弥生は、「いー雰囲気とかにはなったりしなかったの?」と遠慮がちに尋ねてきた。


「いー雰囲気…」



復唱しながら記憶を手繰り寄せる。




あれは確か、信長と秀吉の散歩の時だった。



瞬も部活で忙しく、家に帰っても下宿先のみんながいるわけで。


中々2人になれる時間がなかった。


ただその時は、ランニングへ行こうとする瞬へ優子さんが「菜緒ちゃんも一緒に散歩がてら行ってきなよ!」と気を利かしてくれた。

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