第2話 秘密





キーンコーンカーンコーン


...わ、また寝てた。


少年の名は、つよし。



「今日は、ヨダレ垂らしてなかったかー?」


そうニヤニヤしながら話しかけてきたのは

つよしの友達、けんじだ。



今日も丁寧にセットされた髪型に

どことなく陽の雰囲気が漂っている。



少年つよしはと言えば、寝癖はそのまま、今朝鏡見てきた?と言われかねないぼやっとした空気をまとっていた。




けんじとは、正反対だからこそ馬が合うのだろう、新入式で初めて話したときからずっと友達だ。


だが、友達の多いけんじとは違って、つよしは1人でいることが多かった。



「、、、まぶしっ」


友達の輪の中でお喋りするBの背中にちょうど後ろから太陽の光が差し、後光が差して見えた。


「大仏かよ、、、」


つよしは机だけが聞こえる声でそう呟いた。





けんじに比べて、つよしは自分には何もないと思うことがあったが、実はそうではない秘密がある。


今日もそこに向かう足取りはステップを踏みそうなほどに軽い。


ーーーそう、図書室だ。




この図書室のことはなんでも知っている。


どのジャンルの本がどこにあるか、

有名な作家の本であれば種類と番号まで把握済みだ。


「はぁ、、、落ち着く。」


今日はどの本の世界に浸るか、そう思った時、


「つよしくん?」


いつも誰もいない図書室に、女子の声がした。


「あ、やっぱり、つよしくんだ!何してるの?」

声の先を見ると、同じクラスメイトのみのりが立っていた。


「ぇあ、、、?な何も、、、。」


こっちが聞きたい、と返しそうな言葉を飲み込んでやっと出てきた言葉だった。


「もしかして、どの本読もうかなー?」って思ってた?


心の中を見透かしたような眼差しにつよしは思わず目を逸らした。


「そうだね、そんなところ。」

動揺が悟られないように、ぶっきらぼうに答えた。





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る