第10話

殺風景なリビング。対面式キッチンの前にシルバーチェアが三つ並んでる。



大きなガラステーブルを囲むように存在するレザーのソファー。それと大きな液晶テレビ。



入口からリビングに来るまでの間にドアは三つあって、その中の一つに香月さんがネクタイを緩めながら入って行った。



「よいしょ」



そしてさっきから部屋のはじで何かを探してた千秋が救急箱を持って、ソファーに座るあたしの足元に座った。



「あー、超痛そうだし。もしかして極連のやつにやられた?」



『………』



何も言わずに苦笑したあたしにつられて苦笑しながら、千秋は勢いよくあたしの擦りむけた膝小僧に消毒液を吹き掛けた。



『痛っっ!』



「千秋。丁寧に治療してあげなきゃ駄目だろ。女の子なんだから」



部屋から出て来た香月さんが、テーブルの上に絆創膏を置いてくれた。



『あ、ありがとうございます…』



その絆創膏に手を延ばそうとした時―――




ガチャ……




玄関のドアが開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る