第7話
『……、…っ!』
声も出せない程の痛みに額を押さえて暴れるあたしを見て「ひゃはは!」と笑う千秋。
「シートベルトしてね」
そして「今更?」って言いたくなる程のタイミングで助言をしてくる千秋さん。
「…にしてもしつこいな。」
凄い早さで走ってる筈なのに、バイクはまだ後ろから来ていた。
バックミラー越しにそれを確認した香月さんが面倒臭そうに溜息をつく。
「この車目立つからな。俺らの存在がバレてんだよ」
それとは対象的に悠長に煙草を口に銜えて火を付けてる千秋が気になる事を呟いた。
『…あなたたちってバレたら追われる存在なの…?』
「まぁね。ていうかキミが極連を連れて来ちゃったから追われてるんだよ」
自分たちの事を多く語らないまま、責任があたしにある事を気付かせる香月さん。
『あ、あたしも追われててっ…』
「なんでキミみたいな子が極連に追われんの?」
『…え……っと……』
「まぁいいや。千秋」
「はい?」
「その子が吹っ飛ばないようにちゃんと支えてて。そろそろ本気出す」
「了解」
相当な早さで走ってた筈なのに、今までは本気じゃなかったんだ。
そう言ったと同時に香月さんは車と車の間をぬうような危険で無敵なハンドル捌きを披露してくれた。
『キャア!』
吹っ飛びそうになるあたしの体の上に覆いかぶさるように千秋が支えてくれる。
「やべぇって香月!揺れすぎ!」
そんな千秋の言葉も無視の香月さん。
あたしは千秋の広い肩にしがみついて、必死に自分の体を支えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます