第9話 魔人のテロ集団。
『邪教団ゼノ』は、この世界の裏に潜む闇の秘密結社。
簡単に言えば『徒党を組んだ魔人のテロ集団』である。
『魔人が虐げられているこの世界』を憂い、『この世界の支配者である龍神族や十七眷属』に反旗を翻した、魔人の魔人によるド根性イカレテロ集団。
「特に、ゼノのトップである『カドヒト・イッツガイ』は、必ず殺してもらう。カドヒトを生かしておくことは百害あって一利なし。なんせ、やつには、十七眷属を二人も殺されているからな」
邪教団ゼノのリーダー『カドヒト・イッツガイ』の実力は『龍神族に匹敵する』と言われている。
それは、ただの弱者による『希望的観測上のウワサ』ではない。
証拠として、過去に、十七眷属が、二人、キッチリと殺されている。
……ちなみに、これは、秘密だが、
『カドヒト(門人(かどひと ))・イッツガイ(壱(いっ)番(つがい))』の正体は、存在値100に調整されている『センの分身(オーラドール )』である。
『表に出ず、密かに、裏から、クロッカを支援しつつ、この世界の支配構造を破壊しろ』
という命令一つで運用されている『自律型』であるため、センも、ゼノの詳しい内情とか経緯とかは一切知らない。
存在値100に設定したのは、あくまでも、クロッカの支援をさせるためであり、オーラドールが全部を解決してしまったら、オーラドールに世界が依存してしまうから。
センは、あくまでも、クロッカを頂点に立たせる気でいる。
自分が動くと決めた今も、クロッカを革命の女王にすると言うプランに変更はない。
……ちなみに、完全自律型にしたのは、オーラドールの精度を上げる修行の一環。
どんな時でも鍛錬を惜しまない。
それが、センエースの在り方。
「……私の最初の命令を伝える。カドヒトを殺せ。君ならできる」
と、パルカから命令を受けたセン。
言うまでもなく、カドヒトを殺すことなどセンからすれば容易。
なんだったら、『消えろ』と念じるだけで消えるだろう。
……だが、もちろん、そんなことを、バカ正直に伝える気は一切ない。
センは、すべての状況を利用していく。
「カドヒトは大変な相手ですよ。もし、あれを倒せた時には……『ただ魔人を俺の下につけるだけ』ではなく、もっと大きなボーナスをいただきたい」
「……強欲なやつだな、君は。しかし、『十七眷属を二人も倒してしまったカドヒト』が相手となれば、その要求も当然か。いいだろう。もし、カドヒトを倒せたときは、『君の下に魔人をつける』という報酬以外のボーナスもつけよう」
「ありがたき幸せ」
「ちなみにセン、君は、カドヒトと会ったことはあるか?」
会った事があるどころか、自分の分身なのだが、
しかし、センは、スローなテンポで首を横に振って、
「いっやぁ、ないっすねぇ」
と、全力ですっとぼけていく。
今回のスットボケは、『小ボケの冗談』ではなく、
『本気のごまかし』なので、嘘の丁寧さがダンチ。
まるで、本当に、一度も会ったことがないようなツラで、
「会ったことは一度も無いっすけど、しかし、噂は聞いていますよ。とてつもなく強い魔人だと」
「ああ、あれは本物だ。昔、一度、殺し合ったことがあるのだが……この僕が仕留めきれなかった。逃げ足がハンパじゃなかった」
「ほう。やりあったことがあるんすか」
ちなみに、これに関しては、マジで知らなかった。
なぜなら、完全自律型で運用しているから。
オーラドールが具体的にどういうムーブで何をしているか、そんな細かいことは知らない。
流石に、十七眷属を二人殺したという、世界を震撼させたビッグニュースぐらいは耳にしているが。
ちなみに、『龍神族のパルカがカドヒトと戦い、殺しきれずに逃がした』というのは、
ニュースの度合で言えば、トントンなのだが、それは広まっていない。
なぜなら、『カドヒトを取り逃がした』ということを世間に知らしめたくなかったパルカが情報を統制したからである。
「パルカ様が仕留めきれないとは、なかなかの傑物ですねぇ。たぶん、すげぇイケメンで、シュっとしていて、女にモテモテなんだろうなぁ……」
「いや、醜いブサイクだった。ヘドが出るツラをしている」
「……」
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