第17話VSナナシの英雄

 あれから。

 

 霧島がドラゴンに

「まったくお前ってやつは!聞いてるのかレグ!まだプロでもない子供にムキになって何をやっているんだ!?」

 

 ガミガミと声を荒げていう霧島も初めて見たが、それ以上に、その話を寝っ転がって不貞腐れたように聞くドラゴンも初めて見た。

 

 はいはい悪かった悪かった、みたいな感じで手をひらひらとさせて説教を受け流すドラゴンは、中学生の思春期の子供と母親の喧嘩を見せられているようで、陽太はなんだか化かされた思いだった。

 

 さっきの格好良さとか、絶望感とかは果たして虚像だったのか。今のドラゴンにはその面影すら見当たらず、もしかしたら幻だったのかもしれない。

 むしろいっそ幻であれ。

 

 そんなことを疑うくらいには、目の前の光景とさっきの戦いのギャップがありすぎて、陽太もシロもなんなら他の生徒達もポカンとしていた。

 ひとしきり怒ったのか、霧島がこちらに近づいてくる。

 

「陽太くん、シロくん、今回は本当にうちのバカが熱くなりすぎたみたいで本当に申し訳ない!言い訳のしようもない」


 ええ、本当に。熱くて焦げるかと思いましたよ。

 と、本来なら嫌味も込めて言ってやりたかったが、相手はお世話になっている霧島である。霧島を貶めるつもりは、陽太にはなかった。

 

「いえいえ、貴重な機会を貰ったので。こんな場を設けて頂いただけでもいい経験になりましたよ」

 

 この言葉に嘘はなく、嵐達との訓練を含め素晴らしい経験をさせてもらった。この程度のトラブルはお釣りが来るレベルだとも本当に思っている。

 

「他の生徒の皆んなにもなんと説明していいのやら……」

 

 霧島が肩を落とし、頭を抱えている。ここはどこかしらに落とし所を作らなければいけないと陽太は感じていた。

霧島も他の生徒も納得する落とし所。

 いや、生徒が納得すれば霧島も容認出来るだろう。

 それが何かと言われれば、陽太に思いつくのは一つしかない。

 それを見せてもらえれば、全員歓喜に包まれ、今の微妙な空気も吹き飛ぶどころか忘れ去るだろう。

 

 陽太も是非とも見たかったものでもある。

 

「じゃあ先生。仕切り直しでもう一戦やりませんか?」


 キョトンとした霧島に陽太は続け様に言う。

 

「鎧化して」

 

 霧島は手を顎に当てて周りを見渡してから長い時間長考した。

 あれ、まずい事言ったか?と陽太が心配になるくらい長い沈黙だった。

 あまりに長いため、やっぱりダメですよねと自分から否定しようとした陽太は、その前に霧島の了承を得ることに成功した。

 

 しかし、霧島の顔付きに真剣さが、剣呑さが増したように見える。

 目付きの鋭さが、増したように陽太には見えた。


♦︎♢♦︎♢


 コホン、と一つ咳払い霧島が言う。

 

「少々お見苦しい所を見せてしまったね。お詫びと言ってはなんだが、滅多にはお見せしないがこの子の鎧化の姿をお見せしよう」

 

 その言葉だけでうぉーっと、歓声が上がる。

 アーマー種と言う人気のある種族の、鎧化。

 その身を固い金属に変換し主人を覆い守る。アーマー種にだけ許された特殊技能。

 

 古来から子供に愛されてきた、某変身するライダー的な奴のリアルバージョン。

 

 攻防に優れ、安定感があり、そして何より格好が良い。

 しかも、の鎧化。

 

 霧島の言う通り、滅多に見られるものではない。むしろ二度と見る機会はないかもしれない。

 陽太も含め興奮冷めやらぬ生徒達は、霧島を期待の目で見つめる。

 

「せっかくだから、陽太くんの視界を皆んなにも共有してもらおう。目の前に迫るアーマー種の攻撃を皆んなにも見てもらいたい。陽太くん頼めるかい?」

「わかりました」

 

 陽太はNWを操作し、ここにいる生徒達と視界を同調を許可した。これで今ここにいる生徒全員は、陽太の視界が反映させることが出来る。

 

「出来たかい?」

 

 全員の同調が終わった後、霧島の確認の声にそれぞれ返事をする。よしよしと言った後、霧島は陽太に向かって喋りだす。

 

「では、本当の実戦というのもお見せしよう。君たちは予定通り学問を修めていけば、“魔石狩り”となり命のやり取りをする日常生活を送ることになる。本来なら僕はいつも講義の最後の授業でやるのだけど、今日は色々と状況が揃っているから都合が良い。本気の命のやり取りの一端をその目に焼き付けて欲しい」

 

 霧島の声の温度が急に下がったかのように感じる。

 まるでスイッチが切り替わったかのように、霧島の雰囲気が一気に変わる。生徒がざわつき、陽太も訝しげに霧島を窺う。

 

「さて、陽太くん。シロくんもクロくんも出していいから、好きにかかって来なさい」

「え?」

「僕もレグも手加減が苦手だからね。一分間、守るのではなく、逃げ切るかもしくは攻撃してやり過ごしなさい。君の思った通りに行動するするといい」

 

 霧島の纏う雰囲気が完全に変わったことに、陽太も生徒達もはっきりと気付いた。

 

「一分後陽太くんが立っていたら君の勝ちだ」

 

 普段飄々とした態度からは想像ができないほどのプレッシャーを霧島は放っていた。

 その隣でドラゴンは、意気揚々と嬉しそうに声を上げており、これから霧島と共に戦えることを喜んでいるように見える。

 

「来い!クロ!」

  

 霧島の様子からただ事じゃないと悟った陽太は、慌ててクロを呼び出す。

 

「よし。準備はいいね?遠慮は無用だし、僕も手加減はしない。本気で来なさい」

 

 現れたクロに、陽太は慌てて飛び乗る。クロも状況を把握しているのか、身を低くして陽太をその背に乗せる。

 

「行こうか、レグ」

「ガァ!」

「それじゃあ、陽太くん」

 

 霧島は上着をバサッと脱ぎ捨てて、ネクタイを緩める。

 とてもリラックスした風体でありながら、その動作には一切の隙がない。微笑んでいるように見えるが、その目はあまりにも真剣だ。

 

ろうか」

 

 ドラゴンが差し出した手に、霧島は手を重ねる。

 

「“鎧化アーマーチェンジ”」

 

 カッと赤い光がその身を包むと、赤い鎧を纏った霧島が現れる。

 


 “ナナシ”の英雄が陽太の前に現れた。


♦︎♢♦︎♢


 尖った角。

 鋭い5本の鉤爪。

 鉄のように硬そうな見た目でありながら、柔軟にはためく両翼。

 ゴツゴツと角ばった腕よりも長い刺々しい尻尾。

 全身に真紅に染まった鱗のような鎧を身に纏い、霧島は陽太の前に現れた。

 

 ドラゴンを模した兜を被っているため、その表情は窺い知ることはできない。


 その姿を視界に収めると、陽太はクロに指示を出す。

 

「走れクロ!」

「ヴォ!」

 

 陽太の言葉を待っていたかのように、クロは弾丸のように飛び出す。

 

――攻撃は得策では無い。

 

 陽太は瞬時にそう考え、逃げの選択を躊躇なく選んだ。

 相手は“ナナシ”の英雄。甘く見てかかるなどもっての外だ。本気の本気で対応せねばなるまい。

 

 陽太を乗せるほど大きくなったクロは、その巨体でありながら、さらにスピードも上がっていた。

 小回りや機敏さはなくなったものの、そのトップスピードは進化前とは比較にならないスピードを出すことを、陽太は知っている。

 

 全速力で霧島の周囲から離脱を試みる。

 

「シロ!フォロー頼んだ!!」

「ほう!」

 

 陽太に付き添うように飛んでいたシロは、霧島のいる方向に飛び立った。

 シロの背を追いながら見ると、霧島が翼を大きく広げて駆け出すような姿勢をとって呟く。

 

「“JET”」

 

ゴゥン!!

 

 爆音と共に、霧島はあっという間に陽太の後ろまで迫る。

 その翼からは炎が推進エンジンの如く火を放出し、霧島のスピードはクロのスピードを容易に上回った。

 

 ロケットかよ……!

 

 陽太は苦々しげに思う。

 

――さっきドラゴンに対して大人気ないとか言っといて、自分はそれ以上に大人気ないじゃないか!さっきの怒っていた時間は何だったんだ!!ていうか殺す気かよ!そんな攻撃食らったら怪我じゃ済まないぞ!!

 

 心底文句を言いたい陽太だったが、霧島は本気だ。

 しかも本当に手加減も手心を加える気はないようで、鋭いその爪を突き刺すように陽太に向かってくる。

 

 クロも驚異的な速度で走っていたが、霧島の追うスピードはその一歩先を行く。

 

――それならば

「緩急をつけろクロ!!」

「ウォン!」

 

 陽太がそう言った途端に、クロはスピードを一気に緩めながら、右前方にジャンプする。

 

 急な減速で陽太にも尋常じゃない重力がかかり、両手両足でクロにしがみついた。

 

 霧島はまだクロを追いきれていない。なら緩急をつけてで時間を稼ぎつつ、シロの支援を待つ。

 

 クロは霧島がスピードを上げれば、スピードを緩め、スピード緩めれば上げる。

 

 その作戦は功を奏し、霧島はクロの動きを追い切れていない。霧島の直線的な動きでは、クロの柔軟な動きには対応しきれない。

 

 クロは見事に霧島を翻弄していた。

 しかし、それも時間の問題だ。徐々に確実に霧島は距離を詰めていく。

 

が、霧島が陽太に近付くと

 

「ホッ!」

 

 シロがピンポイントで氷の玉を死角から打ち出し、その出鼻を挫く。

 

 その攻撃はたいした威力はない。嫌がらせのようなものだ。

 しかし狙いはピンポイントに頭であり、伸ばした腕である攻撃においての急所を狙う。

 

 クロはそのほんの少しの間を絶妙に活用して逃げに徹する。

 

 クロは陽太の言ったことを最大限に応えてくれる。

 シロは陽太が何か言わずとも、陽太の思考を読み取り陽太のして欲しいことを汲んでくれる行動をしてくれる。

 

 どちらかが良いと言うわけではなく、どちらも個性。

 2体とも最高の右腕であり、左腕だ。

 右腕は自分の思った通りの動きをしてくれ、左腕は命令をしなくても勝手に動きを合わせてくれる。

 

 最高のパートナーを持ったと、陽太は心から言える。

 

「後ろに飛べ!」

 

 グッと体を伏せてから、クロは大きく後ろに飛び上がる。

 現状上手いこと翻弄しているが、実際追い詰められているのは陽太達だ。

 

 まだほんの少ししか経っていないが、多彩な動きを要求されたクロの身体は確実に疲労を積み重ねている。

 陽太も暴れ馬に乗っているようなもので、端的に言えば酔う。しがみつくのにも限界がいずれ来る。

 

「ホヒャア!?」

 

 しがみつくのにに没頭していると、シロの驚き焦る声が聞こえる。シロが攻撃を受けたか?しかし確認している余裕がない。

 

 このまま続ければいつか追いつかれる。もしくはこちらの体力切れだ。

 何か手を打たなければならない。

 そんなことを考えていると、ボオッとクロの進行方向に火柱が上がる。

 思考に没頭していた陽太は、目の前のことへの対処が遅れてしまう。慌ててクロがそれを大きくジャンプすることで回避する。

 

 その瞬間を霧島は待っていた。

 

 空中で自由に走り回る事が出来なくなる状態を、霧島は待っていた。

 陽太は霧島が真っ直ぐクロではなく、自分に向かってきていることを己の目で視認した。

 

 ほぼ反射的に盾を構える。

 が、そこでアラートが鳴り響く。AIから受けるな、避けろとの通告が来る。

 

 その意味することは、そのまま盾を構えて受ければ確実に怪我を負うことを残酷に告げていた。

 

 陽太の身体を目掛けて真っ直ぐ突っ込んで来る攻撃は、空中の最中では上手くいなすこともできない。

 弾くこともできない。

 そしてまともに受ければ吹き飛ばされる。

 

 この空中で、躱しきるのは不可能、仮に避けれたとしてもすぐに反転し陽太を追撃するだろう。

 

 刻一刻と、霧島は陽太に近付いてくる。

 アラートが鳴り響いている。

 もう時間はない。

 

 シロの援護が仮にあったとしても、ここまで近づかれては間に合わないだろう。

 どうするどうする――!?

 

 頭の中では迷いながらも、陽太の身体は反射的にある行動を取る。

 クロから手を離し、無理な体勢ながら起き上がる。

 

 そう。

 逃げられないのであれば。

 避けきれないのであれば。

 受け切れないのであれば。

 

 立ち向かうしか選択肢はない。

 あと必要なのは、それを実行する勇気だけだ。

 

「あぁぁぁぁああ!!」

 

 叫び声を上げながら、己を奮い立たせ、陽太はクロの背中を飛び蹴り霧島に立ち向かう。

 

 赤い絶望はもう目の前だ。

 アラートは今もなお鳴り響いている。

 

 あの爪に真っ直ぐ――

 両手で両腕で、体全体で――

 恐るな、真っ直ぐ、真っ直ぐ――!!

 


 陽太は目を見開き、目の前の絶望に立ち向かった。


 

――真っ直ぐ振り下ろせ!!


 ガキィィン!!


 甲高い音が鳴り響いた。・



 完璧なタイミングで盾を振り下ろした結果、陽太は打ち損じたボールのように上空に投げ出された。

 

 激突を防ぐにはこの策しかないと、瞬時にその決断を下した陽太は、予定通り宙を舞っていた。

 

 クルクルと回りながら上空に投げ出された陽太は、重力の掟に従い落下を始める。

 

 しかし、陽太の顔に焦りはなかった。

 

――クロとシロがなんとかしてくれる。

 

 そう確信していたからである。

 自由落下を始める陽太に、生徒達から悲鳴が上がるが心配は要らない。

 陽太はどんどんスピードを上げながら地面に吸い込まれていく。

 

ジャプン!!

 

 が、実際に落ちたのはだった。

 

「ほー」

 

 その正体は、緩衝材の代わりにシロが創り出した水球である。水球の中でしっかりスピードを落とし、その中から飛び落ちた先は頼もしいクロの背中だった。

 ホッと一息をついて目の前を確認して、陽太は両腕を上げて言う。

 

「参りました」

 

 目の前には、霧島がその鋭い爪を突きつけるように立っていた。

 叶わない。

 足掻きようもない。

 ここまで完封されると、いそっそ清々しい気分だ。

 ふと、陽太は時間を確認して驚愕する。

 陽太が抗えた時間は28,7秒。

 たかが1分どころか30秒も耐えられなかった。

 

 その事実に、衝撃を覚えた。

 あんなにも濃密な時間だったのに、30秒も経っていない?

 体感では余裕で1分以上に感じていたのだが、現実ではほんの少ししか経っていなかったらしい。

 

「いや、誇っていいよ陽太くん」

 

 霧島がマスク越しにこもった声で言う。

 

「僕は10秒も持たないと思っていた」

 

 そこから出た言葉は陽太を舐めているかのような発言だった。蔑むような言葉だった。

 しかし、陽太は知っている。

 彼が本物の英雄であることを。

 

 何十ものエリアを踏破した、正真正銘の実力者の台詞であることを。

 そこから来る圧倒的な自信を持っているからこその発言だということを。

 あの殺されるかと感じた攻撃も、しっかり寸止め出来る自信があるからこその攻撃だったのだろう。

 それならば、それは賞賛だ。

 素直に受け入れよう。

 

 鎧化した霧島に、勝てると思い上がっていたわけではない。結果を見ればむしろ、陽太の方が霧島を舐めていた。

 

 それならば、霧島の想定を上回った自分と、クロとシロの力を褒めるべきである。認めるべきである。

 

「ありがとうございました!」

 

 陽太は霧島に頭を深く下げた。

 

「いや、こちらこそありがとう。そして突然済まなかったね」

「そうですね、先生らしくはないと思いました」


 らしい、らしくないで語れるほど霧島と長い時を過ごしてきたわけではないが、それでもやっぱりらしくなかった。

 霧島が急にプランを変えてあんな攻撃をしてきたこと。

 流石に説明くらいはしてくれるようだった。

 

「んー単純に君たち三人の連携が見たかったこともある。それに他の生徒諸君に、陽太くんの実力をしっかり見てもらいたかったというのもある。さっきも言ったけど、僕は毎回の最後の授業でその授業で一番優秀な子に同じことをする。中途半端な気持ちでできる職業ではないからね。僕なりのふるいだよ。ここで挫折するようなら挫折したほうがいい。命を失うくらいなら」

 

 優しさの間違いだろうと思ったが、陽太は訂正はしなかった。

 

「あと、レグをムキにさせたところを鑑みての結果だね。この子がムキになるくらいに陽太くんは強かった。だから僕も見たかったんだ。君たち三人の実力を」

 

――あと、見せたい人がいたからね。

 

 心の中で霧島はそう呟いた。

 それを陽太にあえていう必要はない。心の中で留めておくべきことだ。

 

「そして君たちは僕の想像を超えた。クロくんの反応の速さや俊敏さ、シロくんの能力の高さや機転、そして陽太くんの勇気と判断力。だから陽太くん」

 

 霧島の身体が赤く光り、その変身を解いた。

 

「ありがとう。君を特待生として招待して良かったと心から思うよ」

「……はい!」

 

 その言葉で陽太の胸がいっぱいになった。

 長い間、辛く険しい道を歩いてきたと陽太は過去を振り返って思う。

 

 しかし、その結果は実った。腐らずに、諦めずに歩いて来たことは間違いではなかった。

 だから胸を張ろう。笑顔で。

 確かな実力者であり、恩師でもある人の前で勝利こそは掴めなかったが、それでも認めてくれたことを誇りに思おう。

 

「ありがとうございました!!」

 

 爽やかな、晴れやかな笑顔で陽太がそう言うと、霧島もニッコリと笑って

 

「プベバァ!!」

 

 血を吐き出して倒れた。

 

「先生!?お、お、お医者さーん!!この中に治癒系のパートナーの方はいませんかぁ!?」


 その後、担架で運ばれる霧島を見届けた後、アーマー姿の淡墨が現れ

 

「えーと、その……。か、解散」

 

 とだけ呟いた。

 なんとも締らない幕引きだった。


_________________________________


魔石2』


魔石は普段固い石でしかない。

しかし魔石生物が食べる際それは脆くなる。

普段固い魔石が、魔石生物が食べる際硬めのポテトチップスのようにバリバリと食べるのを見ると不思議でしかない。

当初の研究では魔石生物の体液には魔石を脆くする何らかの成分が含まれているのではないか、と考えられていた。

実際に魔石生物のヨダレを採取し、魔石にかけてみたが変化はなかった。

体外から離れた場合効力を失うか、もしくは関係はないか。

それは現在解明されていない。

現在の研究では魔石生物が魔石を食す際、何らかの電波、もしくは波動のようなものを魔石に対して発しているのではないかと言われている。

しかしこれもおそらく否定されて終わるだろう。

大型のものなら口に複数もの魔石を含め、バリバリ食べる。

しかし、鳥型や、小型の魔石生物はそんな事が出来ない。なのに何回かつつくと崩れ、それを崩しながらバリバリと食べる。

蝶型に至っては魔石を液体化しているのか、口で魔石に吸い付くとストローで吸うように魔石がなくなっていくのだから、呆れてしまう。

つまり現状、我々人類は魔石に関しては匙を投げている。

魔石の食糧として以外の価値が現時点では美術品程度しかないので、研究する価値があまりない。

人類はそこまで暇ではない。


参考文献

魔石生物が魔石を食す際の魔石の反応及び変化

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