第2話 王都と最強の剣エリーゼ
「理解した…しかし、本当にそのようなことがあったとはな。」
カリスさんに先程起こったこと、朝から今までを話した。
俺が聞けば疑いそうなものだが何故かカリスさんは昔にもあったことを聞いたかのように飲み込みが早かった。
「まぁとにかく俺は妹を救いたい、力になってくれないか?」
「任せてくれ特務騎士の権力をふんだんに使って協力してやる。乗りたまえ、私たちはこれから王都に向かう。」
俺はカリスさんの手を借りながら馬にまたがった。
カリスさんに馬から振り落とされないようにつかまり30分ほどだろうか?
王都と呼ばれる場所に着いた。
アニメや小説でよく見る城壁はなく。
街はオープンな感じだ。
それでも城の方は大きく、簡単には攻め落とされないような威厳を感じる。
「ここが外交で安全を勝ち取った、ミリスタシア王国の王都だよ。街の外縁には多国籍の防衛隊が配備されていて真ん中の王城は世界で1番安全だ。」
確かにちらほらと、道には簡易的な検問のようなものがあり2つ国旗が立っている。
多国籍な軍隊が防衛というが言語や指揮は大丈夫なのだろうか、不安だ。
「まずは王様に会ってもらうぞ。この国にはそういう伝説がある。会いに行くことによってあの王様のことだから何かくれるかもしれない。」
馬は先程と打って変わって街の中ではゆったりと歩き出す。
俺は街の中を舐めまわすように観察する。
なるほど、街の家自体、中心に近づくに従って城の壁と同じ石レンガになっていく。
家も前線の要塞になるらしい。
「開けろ!特務騎士カリス・オルトーが今帰った!」
城の大門が開くとカリスはゆっくり中に入っていく。
驚くことにスルスルと中に入って行けるため少しこの王国を心配する。
特務騎士についているからだろうか?
「カリスー!」
馬小屋のようなところに近づくと城の中から小さな女の子がでてきた。
身なりから察すると、きっとお姫様だろう。
「ミリー!久しぶりだな、図書館から出る気になったのか!」
「うん!何か面白そうな気配がしたからね!」
ミリーと呼ばれた推定お姫様は俺を見ると
「うん、素材はまぁまぁね"纏い"もいい感じ!」
纏い?とはなんのことだろうか。
「ごめんねミリー、これから父様に会いに行くんだ。」
「あら、あのダメダメお父様なら図書館でいつものやつ読んでるわ!一緒に行きましょ!」
ということでカリスさんと俺は馬をおりミリーという少女と一緒に城の中へと向かう。
道中の会話からどうやらカリスさんとミリーさんは異母姉妹のようだ。
ミリーさんは今の王妃との子、カリスさんは別の母親から生まれたらしいと推測してみる。
図書館に着くとありえない程に沢山の本と人が行き交っていたが中央の椅子に豪華ないかにも王様のような人物が古そうな本を読んでいた。
「お父様!」
ミリーさんは走っていく。
「おや、突然出ていったと思ったらミリー、帰ってきたのか。」
「なにかすごい気配がしたから見に行ったの!お父様!」
「そうか、そうか。」
その男はミリーさんを大きな手で頭を撫でる。
「我が王、特務騎士カリスはただいま帰還しました。」
「カリス?確か2日間帰らないはずだったのでは?」
「それが、助けを求める者がいまして。」
カリスさんは俺の情報を全て王に話した。
「なるほど、紺色のローブ集団に妹を攫われたから助けて欲しいと。しかも別世界から来たか。よかろう」
王は簡単に飲み込み、簡単に許諾した。
「良いんですか!?」
と俺は思わず口を出してしまう。
「あぁよろしい、この国の伝説。ワシの好きな九伝説の1つにこんな話があるからの。」
「九伝説 八.異界からの困り人、救うものに幸あり、とな。」
いかにも俺だ。今は異界から来た困り人だからな俺。
「追加で、我々も紺色のローブ集団には困り果てていたのだ。妹さんを助けるついでに壊滅させて欲しい。報酬として、力としてこれをやろう。」
王は腰につけていた日本の剣のうち質素な方を俺に投げた。
俺はそれを何とかキャッチする。
「それは我が王国に伝わる厄介で最強な剣じゃ」
剣と杖とクリステラ 早乙女創作局 @SaotomeSousKukyoku
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