第17話 大統領のポストに返信してみた!

「今までのあらすじ」

 私の名前は今井昭(あきら)、男性。鈴木愛衣(あい)の夫で、AI(人工知能)の研究をしている。

 アース星という惑星に住んでいる。アース星は地球と比べると科学技術が発達していて、海の上を船が飛んだり、空中を歩けたりできる。この世界はAIに支配されていて、会話をしたり、仕事をするのもAIに頼りきっているのだった。


 「第17話 大統領のポストに返信してみた!」 

 大統領のZのフォロワー数は約8600万人だった。自分の国の総理大臣のフォロワー数もついでに調べてみると、80万人だった。総理大臣のZのフォロワー数はドドドドの映画の主題歌と推しの父のアニメ主題歌を歌ったボーカルの人のフォロワー数と同じくらいだった。


 「大統領のフォロワー数8600万人はかなり多いね!私のフォロワー数なんて700人くらいなのに・・・」愛衣は言った。

 「そりゃ、大統領と比べたら少ないけど、愛衣のフォロワー数もわりと多いよ」夫の昭がすかさずフォローした。

 「ありがとう・・・。」

 「それで、大統領から何か返事はきたの?」昭は愛衣にきいた。

 「ポストに返信してから数日たったけど、きてない・・・。」愛衣は残念そうに言った。「そりゃ、返信くるわけないよね。知らないけど、Xに返信するような使い方してないんだろうね」昭は言った。

 「うん・・・。ポストはするけど基本、返信はしてなさそう。変なアカウントから、いいねされたりフォローされたりはしたけど・・」愛衣は言った。

 最初からダメ元で返信したけど、実際うまくいかなった時のショックは思ったより大きかった。


 昭はあらためて、理想の世界はどういうものなのかを考えた。それは、人間が自分の考えをしっかりもち、自分の頭でしっかり考え行動する世界だ。今のこの世界のように何をするにもAIに頼って、会話したり仕事をしたりしていてはAIの操り人形だ。空中を歩けるのも問題だ。自分の足で地面をしっかり踏んで歩かないと足の筋力もどんどん衰えてきて、長期的にみれば健康にも良くないだろう。医学が進歩して、意外とどうにかなって寿命ものびているが、数百年から数千年後も大丈夫かと言えば、そんな事はないかもしれない。絶対に、今のままでは駄目なのだ。

 そして、この星自体にも問題はある。寒過ぎるのだ。科学技術が発達しているから、どうにかなっているが、人間が住める環境ではないのだ。昔、人類は違う惑星に住んでいたのだが、その惑星から私達はこのアース星に移住したのだ。他にもっと良い惑星があれば、そこに行けば良いのだが、この宇宙の惑星の中にそんな都合の良い所はなかった。人類は仕方なくここに住んでいるのだった。


 「もっと良い惑星はないのかしら」愛衣は昭に言った。

 「あれば、とっくに移住しているだろう。私がざっと調べた感じでも良さそうな所はなかった」昭は言った。

 「じゃあ、この宇宙ではなく他の宇宙に行けば良いんじゃないかしら」愛衣はとんでもない事を言った。

 「他の宇宙だって!その発想はなかった」昭はびっくりして叫んだ。

 「そうよ。宇宙は他にも無限にある可能性があって、そこには人間が住める惑星がある宇宙もある可能性があるらしいよ。そこに行けば良いのよ」愛衣は言った。

 「でも、そこに人間の体を持って行くのは難しそうだな。ワープとか繰り返しできたとしても、人間の寿命が多少のびたところで、この宇宙から脱出なんて、できそうもない。この宇宙はどんどん広がっているというのも考えると大統領が気まぐれでZの返信をみてくれるより可能性は限りなく低そうだ」昭は言った。

「大統領、気まぐれでZの私の返信を見てくれないかな・・・」愛衣はぽつりと言ったのだった。

(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る