第11話

「あっ、朝倉…」


「脱走、うまくいったのか」



はっと振り返ると、5人の黒服ーー私をさらってきた人たちがいた。


上体を起こし、後ずさる。

けれどすぐに木にぶつかり、逃げ道は無くなった。



「さて。行こうか」




手が伸びてくる。



無数の手が。



私は天を仰いだ。



日が沈んだ空。

星のない、新月の夜。




私の夜は、始まった。

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曇天が隠す 下 露輝 @odio_pueri

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