第6話最終回 トヨちゃんとヒジちゃん

「皆さん、おはようございます。今日は皆んなに報告がある」  

と、朝の朝礼で久保田が営業二課の演説をする。

「何と、肘原君が社長賞をもらいました。営業二課のサウスウッド海運の担当は肘原君になっています。これから、二課はサウスウッド海運の仕事も担当なので気を引き締めて頑張るように。肘原君、皆んなにあいさつを。肘原……」


「おはようございます。エブリバディ」

肘原は遅刻して出勤してきた。

「肘原、また、遅刻か?」

「いいえ、社長と話しをしてまして」

「そ、そうかそれならしょうが無い」 

「皆んな、この肘原君を見習い頑張ってくれ」


「ヒジちゃんを見倣うと会社潰れますよ!」

「そうですよ!課長、将棋バカが多くなりますよ!」

と、久保田課長はめちゃくちゃ言われた。


課長のデスクの電話が鳴る。

「はい、営業二課の久保田です。……は、あい、出勤しております。……はい。直ちに」 


「課長どうしたんですか?」

と、美樹が尋ねた。

「肘原、今日は社長と話ししてたと言ったが、社長がお前をお呼びだ!お前、単に遅刻だろ?」

「ふん、久保田ちゃん。僕のお陰で料亭行けたんだから、文句言わないの!」

「キィー!さっさと社長室に行ってこい」

「はぁ〜い」 


コンコン

社長を肘原はノックした。

秘書課の佐々木が豊浜社長に、

「営業二課の肘原利行さんがお越しです」

「通しなさい」 

「失礼します」

「今日はね、君のお手柄に社長賞の賞状と金一封の授与がある」

「社長!金一封はいりません」

「何故だ?」 

「それは……」

肘原は、豊浜社長に耳打ちした。

「理由は、夜うちで話すから、仕事帰りに寄ってよ」

「しかしだね〜」

「いいのいいの」


ゴホン

米満専務が咳払いした。

「では、賞状だけ」

と、豊浜社長は賞状を読み上げ、肘原に渡した。

肘原は、賞状を受け取るとソファーに座った。

「肘原君、ちょっと早いがどうだい?昼メシでも」 

「いいっすね」

「何食べたい?」

「この前行きそびれた、中華が良いな」

「中華」

「また、汚え店でね。でも、料理は最高なの。そこで良い?」

「宜しい。準備が終わったらエントランスホールで」

「はいよ」


肘原は社長室を出て行った。

「社長、誰がお供しましょうか?」

「いや、いらない。社長賞はポケットマネーだからね。出来るだけ少人数にしたいんだ」

「社長、大丈夫ですか?」

「あぁ」 


肘原はデスクに戻ると、帰り仕度をし始めた。

「なんだ!肘原君。帰る準備して?まだ、10時だぞ!」

肘原は賞状を久保田に見せた!

「げ!賞状」

「ま、そうい事です。今から社長と打ち合わせなので、ちょっと出るよ」

「わ、分かった。頑張れよ」

「ありがとう、久保田ちゃん」

「私も、応援してます」

と、美樹も言った。


中華料理屋にて。

「何で、100万円を受け取らないのヒジちゃん」

「だってさ、会社の為に働くのは当たり前じゃん」

「でも、サウスウッド海運との仕事は億を超えるんですよ」 

「何億?」

「約2億5千万の利益だよ」

「良かったじゃない」

「ホントにいらないの?」

「うん、代わりにビール飲んでから、紹興酒飲ませて」

「分かった。好きなだけ飲んで下さよ」

「ありがとう」 


トヨちゃんは会社にこのまま帰ると伝えて、2人して紹興酒を飲んだ。


「ヒジちゃん、この後1局どうですか?」

「うん。良いよ」

と、2人して店を出た。

ほろ酔いの2人は肘原の家に向かってタクシーを走らせた。


この関係の出会いから1年の出来事であった


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将棋バカ日誌 羽弦トリス @September-0919

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