恋愛異能戦 陰陽師ギャルVS異世界陰きゃくん!!

流石ユユシタ

第1話

──異世界で勇者をしていた



高校入学を目前にした、中学3年生の時。



俺、黒堂勇雄こくどういさおされた。



 

まさか、ネット小説やライトノベル、漫画やゲーム、アニメなどでありがちな異世界召喚をされるとは思っても見なかった。



俺は俗に言うオタクで異世界物語などを読みあさっていた。だからこそ、最初はテンションが上がった。




『貴方こそ、勇者様!!!』




俺を召喚したのはエルフと言われる耳が尖っており、魔法が得意な種族だった。最初は自分が勇者と言われて嬉しかった。



ほら、今までオタク陰キャで輝くことなど一度もなかった俺からすると……自分が選ばれし存在だと言われることは憧れであり、最高な気分なのである。




──まぁ、そんなの最初だけだったけどな




勇者……この称号は異世界では特別らしい。




──それ故に何度も暗殺をされた




ポットでの異世界人が勇者となると面倒だと思う連中が多かった。勇者を信仰する教会、普通に勇者の座を狙う者、魔王の手下、普通に俺を殺そうとする存在、異世界人に対するアンチ現地人。




はい、異世界は……地獄です




そんな地獄な異世界だったが、なんとか三年で帰ってくることができた。



俺を召喚した魔法は特別な魔法であったようで、召喚をした際に日本側の時間が止まっていたようだった。


だからこそ、なんとか高校入学に間に合う形で俺はここに存在している。




「暗殺、暗殺……毎日が殺されかける日常。そこから日本に帰って来れた……」




 周りには沢山の同じような制服を着ている同年代が歩いている。よくみると同じ中学の面々もいるな。あぁ、久しぶりに見た。



 あっちからしたら、数週間振りだろうがこっちからすると3年振りだ。しかも、既に3年こっちは多く歳をとっているからな。


 中学時代より身長が高くなってしまっているが……あっちは気づかないだろう。なぜなら、大した関わりがないからだ。


 そもそも中学で3年間友達が1人も居なかったからさ。問題ない。


 陰キャぼっちなのがこんな形で生きるとはな。



──日本では、友達1人も出来なくてもいいから平穏に生きたい




 よく、平穏に生きたいって言う物語の主人公が居るけど気持ちが真の意味でわかった。馬鹿みたいに気を張っていた異世界よりも、平穏に生きれる治安がいい日本は素晴らしい。



「なぁ、あそこに居る女の子可愛くね」

「あ、俺知ってる土御門清子つちみかどきよこだよ。ちょいギャルっぽいけど、めっちゃ可愛いって有名だったぞ」




 入学式はテンション上がっている新入生が多いようだ。それと同時に在学している生徒達も新たなる出会いを求めているのが多いようで、テンション上がっているようだ。



「新入生可愛い子いるかな」

「おい、あのギャルめっちゃ可愛い」

「最高だ、今年の1年!!!」




 周りではそんな声や新たなる出会いに期待感を寄せている生徒が多いようだ。俺は特に何事もないように、入学式に出よう。



 まずは、教室に行くんだったな。教室に行った後、入学式を行う体育館に移動する。



 1年生は9クラスあるようだ。俺は1年1組、席は2列目の1番後ろだそうだ。



 なるほど、これはありがたい。基本的に人が周りにいる状況は落ち着かないのだ。

なぜなら、異世界だと基本的に暗殺されるので、人がいない場所で眠ることが多かった。


 1番後ろの席なら、自身の後ろのスペースは気を遣わなくて済む。こんなありがたいことは他にあるだろうか。



 我儘の言うなら、窓際の1番後ろが警戒する面正規が減っていいのだが、それは言い出してもキリがない。席替えの時にそこに座ればいいだけだ。




「……アンタ」

「……なにか?」

「い、いや……な、なんでもねぇーすけど」




 ふむ、席の隣は先ほど少し話題になっていたギャルのようだ。何か言いたげな目線だったが。


 カツアゲしようとでも思ったか。まぁ、地味な黒髪黒目なんでな。無理も無い。異世界だと黒髪は魔族と同じ不吉の象徴であるとされ、メチャクチャ狙われていた。


 魔族と勘違いして襲ってくる人間もいたな。



 さて、先生が教室に来るまで時間を潰すとしよう。






◾️◾️






 んだよ……こいつ……




 あーし、土御門清子は帝月高校みかどつきこうこうに入学した。そこでとんでもないやつを見つけてしまった。



 1年1組、その隣席に座る黒髪黒目、180センチを超える身長を持っている男子生徒。



 彼に驚愕をする……




──保有しているが半端じゃ無い




 あーしは、国家陰陽師で特殊な巫女の一族。特殊な一族で特異な瞳を持っている。



龍瞳りゅうがん、相手の霊力を見ることができる。痕跡を辿ったり、相手の力量を測るなどなど沢山できる。



その瞳に映る情報は正しい。間違いは会ったことがない。伝説陰陽師【安倍晴明】も持っていたと言われる伝説的な瞳。


その瞳が訴えてくる……こいつはやばいとッ!!!!



単純な霊力、あーしの数十、いや、数百倍の量を持っている……な、なんだこいつ??



ま、まじやばい、虎ヤバ!? いや、鬼ヤバ!? いやいや、龍ヤバ!? いやいやいやいや神ヤバ!??




な、なーんでこんな化け物みたいなのが隣に座ってるんだ。



あ、あーし陰陽師界隈では安倍晴明の生まれ変わりじゃないかって言われてて……超天才で通ってきて怖いものなんてほぼなかった。



あーし、天才で最高だし?



みたいなノリだったのに、自分より凄い人間なんて見たことなどなかったのに!? 



ガチでぱ、ぱねぇ……





「あ、あのさ」

「……なんですか?」

「あー、いや、な、なんでもねぇーすわー」





 う、うーむ。こんな霊力見たことがない。ガチでやばいわ。まぁ、あーしじゃないと気づかないだろうけども。



 はぁ……前途多難だわぁ





 恋占いだと、この学園に居るって出てるんだよねぇ。あーしって生まれた時から土御門家の天才だった。


 だからこそ、自分より強い男なんていなかったし、そもそも妖魔退治ばっかりで恋愛なんて無理だったし。



 あーしは自分より強い男が好きだからなぁ? まぁ、今まで1人もいなかったけど。



 はー、ガチ恋してぇ。チョコパフェくらい甘々のゲロ甘な恋してぇ。ちゅーか、世界で1番幸せな恋しテェ。



 と思ったら、隣の席謎の化け物だし……。



 でもまぁ、あーしより強そう。こんな男初めて見たし……。





「あの、俺、鈴木拓郎! よろしく!」

「俺は月中正!」

「シクヨロー」



 ふーん、このクラスの男子はぁ。霊力が多いやつが結構居るみたい……つーか。妙に多いのが居るのが気になる。



 まぁ、隣のちょーばけものに比べたら月とスッポン、竜とトカゲだけど。





 あーしは超絶美少女だからかなり男子が寄ってくる。ふっ、まぁ、一族全員顔がいいんだけど?


 弟も妹も、兄もね。



「よーし、皆んな席についてー。初めてのホームルームだぞー」



 教室には女性教師が入ってきた。そのタイミングで全員があーしの席の前から人だかりが消えていく。



「よーしよしよし、新入生の諸君。今日は入学式と明日からの授業の話になるぞー。先ずは隣の席の人と挨拶してみよー」




 隣の席に挨拶かぁ。


 ちょりーす! とか言ったら吹っ飛ばされたりしない……



「あー、その、あーし土御門清子って言うんだけど」

「国堂勇雄です。よろしく」

「ぱ、ぱねぇ」

「……何かありますか」

「い、いやぁ、なんでもねぇーわ。まぶすぎただけ」




 こりゃ、とんでもないわ。眼があっただけで心臓が掴まれたような錯覚を受ける。これ、超強いわ。


 特級妖魔でもここまでの居ないでしょ……


 

 やばい、ドキドキしてきた……心臓が異様に脈打ってる。一瞬であーしを倒せるだろう強さを持ってる……。こんなの初エンカウントなんすけど……




「やっばい、心臓の脈が……」




 ど、ドキドキするわ。異性と会ってここまでのは初めてなんすけど。




 こ、これって恋!? 



 いや、流石に違うか!? 吊り橋効果……



 いや、いや、ないか……




「ほれ、入学式行くぞー!」




先生がそう言った。あーしは教室を出た。異様に男子生徒を気にしながらだけど













─────────


面白ければ感想、星などで応援してもらえると嬉しいです! 他にも連載がありますので要望等が多ければ続きを書いていきたいと思います!!




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