TSエルフさんの酒飲み配信～たくさん飲むからってドワーフじゃないからな！？～

【揺れます】プルプル【ジョージも揺れます】

「卵あんかけは……美味しいっちゃ美味しいけど単品よかスライムを細かくしてご飯にかけた方が美味いな」

「ドン！確かにオイシイ！」

『丼……なのか？』

『まぁ天津丼ってメニュー名のお店もあるし』

　このファイヤースライムにはごま油を足した中華スープで戻しているから卵あんかけと相性はいい。スライムが元々持つ食感と相まって非常に箸が――もといレンゲが進む。が、それよりも美味しい方法を見つけてしまった。それはスライム部分を細切れにして卵あんかけと絡めたそれをホカホカのご飯にかけると言うものだ。

　有体に言えば天津飯なのだが、スライムの食感が加わったことで別の料理にも思える。此方の方が美味しいのならあんかけを作る時にカニカマとか入れた方が良かったな……

「次はビッグスライムの核のサイコロステーキにするか」

『味付けは？』

「とりあえず素材の味を楽しむための塩コショウ。では、いただきます」

　箸で掴み、持ち上げた感覚としては、他のスライム料理に比べて重みを感じる。ビッグスライムの核だからか？匂いはどうだ？嗅いでみると、嗅いだことのあるような……意を決して口に入れ咀嚼する。ム、核の刺身では簡単に歯が通ったが、この核は嚙み切れないな。ぐにゅぐにゅと抵抗感がある。なるほど、ビッグスライムの核は――

「ホルモンだわ」

「ングング……アブラの無いホルモン」

『練り物、生レバーと来てホルモンか』

『ゼリーの部分ならよく耳にするけど核も核でちゃんと食えるし美味いんだな』

　オーロラの言う通り、ビッグスライムの核は脂身が全くないホルモンと表現した方が適切かもしれない。しっかり噛むと、味付けに使用した塩コショウだけではない肉汁ならぬスライム汁……聞こえが悪いものが溢れてくるが不味い物ではない。あっさりした風味の汁が滲み出て悪くない。

「牛ホルモンと並べられたら間違いなく牛ホルモンを選ぶが、これはこれでいい。ビールも合うし、油が無い分しつこさもないから、こっちの方が好きって人はいるかも」

『問題はスライム食いに焼肉屋行くかって話だな』

「それはそう」

「ワタシこれ好きー」

　スライムの核も広義的に言えば肉っちゃ肉だからもしかしたら取り扱っている焼肉屋は探せばあるのかもね。それにしてもオーロラはサイコロステーキ食べ過ぎでは？ジャーキーもそうだが、オーロラは肉の中でも噛み応えのあるものが好きなんだな。でも、俺にも分けなさいよ。

「デザートは最後として、残るは肉圓だが、ここでお知らせです。俺、本物の肉圓食べたことないんだよな」

『えぇ……（困惑）』

『肉圓美味いぞ。スライム使ったのは食べたことないけど』

『見た目だけ知ってるって人は多いかも』

　スライム肉圓の作り方は、ひき肉にした突進猛猪の肉にしいたけ・パクチー・たけのこ・大葉・マンドラゴラをみじん切りしたものを混ぜて肉だねにする。そしてその肉だねを天日干しをして薄く伸ばしたファイヤースライムで包み、蒸し器で蒸して醬油をベースにしたタレをかけて完成。

　今日作った中で一番時間がかかったが、その分美味しい物が出来たと思う。ファイヤースライムを使った影響でいまだホカホカと湯気の立つ肉圓を箸で切り分け、俺とオーロラそれぞれのレンゲで掬って口にする。

「んんっ！？」

「アチュイ！」

　口内で爆発する熱さに目を白黒とさせるが今日は既にスープ漬けで耐性が付いてるから軽微で済んだ。オーロラは知らないが、俺の驚きはどちらかというとそのうまさに驚いた。ひき肉とたけのこの食感に、肉汁・パクチー・大葉・しいたけ・マンドラゴラの味が生み出すハーモニーって言うのか、それをファイヤースライムの皮がまとめている。なんなら皮自体も汁を吸ってる。今日食べたスライム料理の中で一番の驚きの味だ。

「これもキンキンに冷えたビールが合うなぁ……！すげぇよスライム」

『美味そう……食いたい……』

『ジョージ、もしこれ売るとしたらどれくらいの値段付きそう？』

「何その質問。本場とかならどうなのよ」

『日本円にしたら500～800円くらいかな？』

「ふぅん。でもこの肉圓、突進猛猪使っているからなぁ。それを加味したら最低でも2000円はかかるかも？」

『あっ……』

『普通の豚肉なら？』

「それなら1000円くらいじゃない？」

『皮がファイヤースライムだしそんなもんか』

　まぁ本当はマンドラゴラ入れているから2000円ではなくもっと……なんなら0が1つ増えるかもしれないけど、これは視聴者たちは知らなくてもいい情報だ。しかし、料理を売るか。考えたことも無かったな。もし、時が経って冒険者を引退する時、屋台をしてみるのも……いや、無いわ。料理を振舞うだけなら百歩譲ってまだいいとして接客もしなきゃいけないし、許可とか設備とか俺馬鹿だからよく分かんない。

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「スライムゼリーのバニラのせは……想像の範疇だな」

「ブナン」

『オーロラちゃんが無難って言葉使うの違和感』

『なんでや！オーロラちゃん賢いんやぞ！』

　スライムゼリーのバニラのせ、今回はスーパーで買える市販の抹茶粉を使用したが、もっといいところの抹茶を使えば相応に美味くなるんだろうなという味。でもバニラと合わせて食べると美味い。作り方も簡単だし、子供と作る分にはいいかも知れない。

　さて、もう一口と、ゼリーを掬ったところで、不意に空の皿がカタンと鳴った。続けざまにガタガタと一斉に他の皿も鳴り始める。そして足元に感じるこの揺れ……

「おっと」

「ワ、お皿震えてる」

『おわ、地震だ』

『震度3、4か？』

『福岡大丈夫？』

『え？ワイ和歌山だけど揺れてるぞ？』

『東京揺れてます。3くらい？』

『そもそも緊急地震速報は？』

『沖縄揺れてる！』

『北海道も』

　んん？日本各地域で同時刻で地震？どうなってんの？