【変幻自在】スライムの可能性【代用品?】

「ふぅむ、スライムのプルプル部分はこんにゃく麺みたく食感を楽しむものだな。乾燥状態から戻すときの味によってアレンジは出来そうだ。少なくともこの昆布だしのスライム乾麵は美味い」

『こんにゃく麵ってことは低カロリー?』

「どうなんだろ。カロリーは意識したことないからな。有識者おる?」

『スライムのプルプル部分はこんにゃくよかカロリーはあるが、他の栄養素もこんにゃくと比べると結構あるので、こんにゃくばかり食うよりかは健康面でダイエットにいいかも』


 冗談めかして言ってみたら、本当に有識者おったんかい。で、スライムのプルプルってそれなりに栄養あったんだ。それこそゼリーや寒天よろしく低めかと思っていた。まぁ一般の人が手に入れようと思うと、こんにゃくよりも値段が張ることが問題か。比較的簡単に斃せるスライムでもゼリーを手に入れるには手間がかかるからね。


「ジョージ、このツブツブ……イクラだね」

「あ、やっぱりそうだったか」


 ちぎりスライムのラー油漬けを乗っけたお茶碗丸々一杯のご飯を食べきったオーロラ。頬に付いた米粒を摘まんで食べながら感想を教えてくれた。俺も作りながら幾度となくイクラと幻視しちゃったからな。オーロラの言葉通りなら食感もイクラそのままなのだろう。ただ、中から出てくるものがラー油なだけであって。


『ちなみにそのイクラっぽさを生かして"スライムイクラ"っての売ってるやで。これが魚卵アレルギーの人に大好評』

「なるほど、アレルギーか。それは需要有りそうだな」


 スライムの食材としての可能性に感心しながら俺は次の料理、スライムとファイヤースライムの核の刺身に箸を伸ばす。まずは普通のスライム。刺身ということでわさび醤油をちょちょいと付けて一口。ふむふむ……これは


「味的にはちくわ?いや、蒲鉾か?どちらにせよ、わさび醬油に合うな。そして日本酒に合う味してる」

『練り物なのか(困惑)』

『ファイヤースライムのはごま油で食ってみな、飛ぶぞ』

「ごま油?まぁ用意しているから構わんけど」


 そう、一々調味料を取りにキッチンに戻る事をついに面倒くさくなった俺は、調味料ラックを導入することにしたのだ。これにより快適気軽に調味料を足して味変を楽しめるようになったのだ。勿論、ごちゃごちゃしないように画面外に置くようにしている。

 閑話休題それはさておき。ごま油を小皿に注いでファイヤースライムの核を付けてパクリ。こ、これは……!?


「おぉ、こりゃ生レバーか。なるほどなるほど、少々のこんにゃく感はあるがあれよりもずっと肉って感じがするのはスライムの唯一のお肉的な部分の核だからか」

「これスゴい!スープ食べてる!」


 ん?あぁ、オーロラは今度はファイヤースライムのコンソメスープ漬けを食べているのか。あれは固形のコンソメスープを鍋に入れて溶かして俺とオーロラ好みの味に調整したものスープの中に核を抜いてカラカラに乾燥させたファイヤースライムをぶち込んだだけの結構お手軽な一品だ。

 どれ、俺も一口。この料理を食べるのに使うのは箸ではなくれんげだ。箸で掴めないことは無いが、見た目のままツルンと逃げられそうだし、れんげならいい具合に掬えるだろう。プリンのように掬ったスープ漬けを口に運ぶ。いや熱っ!


「あふ、はふ」

『助かる』

『何が助かったんだ……?』


 口の中で暴れる熱気を何とか逃したり冷たい空気を吸ったりで温度調整を図り咀嚼する。温かいゼリーと言えばいいのか?噛めば温かい(を通り越して少し熱い)コンソメスープの味が広がる。

 鍋から熱い状態で皿に盛ってから小一時間経っているから丁度いい温度かと思ったのだが、熱いままなのはファイヤースライムの特性なのだろうか。


「これは、スープを咀嚼できるようになっただけと言ってしまえばそれだけだが美味い」

『煮凝り的な?』

「近からずも遠からずだな。今回は具無しのコンソメスープだったけど味の濃いスープのが向いているかもしれない。もしくは鍋料理そのものをファイヤースライムの中にぶち込むとか」


 うむ。このスープ漬けに合わせるなら赤ワインかな。刺身は芋焼酎で間違いない。そして冷やし中華は暑い日に縁側で風を感じながらビールと一緒に食べたいな。オーロラ、ラー油漬けは何に合いそう?単体で摘まみながら飲むなら日本酒?オッケ。

 さて、残る料理は3つ。肉圓と卵あんかけとサイコロステーキ……どんな味がするのか。楽しみである。

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