【閲覧注意】スライムが好きな方はお控えください【閲覧注意】
「ハァイ、皆さん。ジョージの酒飲みチャンネルの時間だぁ……」
「ハァイ……」
『2人してゲンドウポーズしてるのは草』
『部屋暗いよ明るくして』
「アッハイ、すみません。今点けます」
今日も今日とて始まったいつもの酒飲み配信。今回のテーマがスライムだけあって少しマッドな雰囲気にしようと思っていつもは照明全開なところを天井の常夜灯のみにして俺達の下からスマホのライトを当ててみたんだけど不評だったのですぐに点けました。
「早速今日の料理を出そうと思うのだが……今回の料理は一部の人にはキツイものかもしれない」
『え?虫?G?』
『解体されていないモンスターとか?』
『それなら今更とは思うけど』
「言ってしまえば人気モンスター。間違いなくこの配信見に来ている人の中にも好きな人はいる」
『スライム?』
「正解」
そう、スライムは食材や素材としてだけではなく、ペットとしても人気があるモンスターなのだ。モンスターという性質上、冒険者しか飼うことは出来ないが、愛玩用として飼っている人も少なくは無い。加えて冒険者じゃないが故に飼えなくても、動画や配信を見てその欲求を解消している人もいる。
『今日は視聴止めます』
『スライム料理楽しみやわ』
『深夜の番組とかでたまに見るよな』
『ジョージはスライム可愛くない人?』
「襲ってこなかったら可愛いんじゃない?」
これは本心だし、俺自身スライムの飼育動画を見ていたりする。けどそれはそれ、これはこれ。ダンジョンに出てくるスライムは漏れなく冒険者を餌とみなして襲ってくるのだから、襲い返すだけだ。まぁ、情が湧くような行動をするスライム1匹くらいなら見逃すかもしれないが、狩るつもりでダンジョンに入った以上基本狩る。
よし、今日の料理がスライムと発表して5分は経ったことだし、スライム料理が嫌な人は既に退出した後だろう。文句は受け付けないからな。オーロラに配信の場繋ぎを任せてキッチンに用意していたスライム料理を取りに行く。スライム料理が楽しくていっぱい作ってしまったから何度も往復した。
『作り過ぎでは?』
『でもこの2人なら食いきれるんやろなぁ』
「ジョージ、こんなに作ってたの?」
「興が乗っちゃってな。えーっと、今日のメニューはこの端っこの奴から――」
ビッグスライムの核のサイコロステーキ
ちぎりスライムのラー油漬け+梅だれ漬け
ファイヤースライムのコンソメスープ漬け
昆布出汁で戻したスライム乾麵の冷やし中華
スライムとファイヤースライムの核の刺身
スライム
ファイヤースライムの卵あんかけ
抹茶で戻したスライムゼリーのバニラのせ
「――となります」
「オイシソウ!」
『あー、まんまスライムの料理あるな。こりゃ愛好家は見ないわ』
『バーワンってなんぞ。どこかで見たことある気がするんじゃが』
『神隠しの映画で豚になったパッパが食べてた奴や』
『あれかよ』
『料理名初めて知った』
「俺もレシピ見て初めて知った」
スライム乾麺の冷やし中華とかちぎりスライムの漬けならまだスライムに見えなかったかもしえれないが、コンソメスープ漬けとか卵あんかけ、肉圓はほとんどスライムの形保ったままだからスライム好きの人にはキツいだろうな。あれだけ注意喚起したからいないとは思うけど。
『これだけ作れれば料理系配信者を名乗れるのでは……?』
「いや、俺はどこまでいっても酒飲み配信者だよ。さて、今日のお酒は――スーパードライ!」
『その心は?』
「コンソメスープとか味の決め手となるものについては味見をしたけどスライムそのものは食べてないから合うの分かんないから安牌で選びました」
困ったら生ビール間違いないね。そもそも食べて飲んでみて合うものが分かったらそれこそ酒持ってくりゃいいだけなんだから。
んじゃ料理の紹介もしたことだし、食べるとしましょうかね。今回の料理は最初から俺とオーロラ分で小分けにした物ではなく皿に載せた料理をそれぞれ自分の皿にとって食べるという形式にしている。
「ネェ、ジョージ?この小さいツブツブはこのまま食べるの?」
そう言ってオーロラが指さすのはちぎりスライムのラー油漬けと梅だれ漬けだ。その名の通り日干ししたスライムをちぎってイクラほどのサイズの球体に丸めてラー油と梅だれに小一時間漬けたものだ。見た目的には赤とピンク色のイクラだな。
「そのままでもいいが――おすすめはラー油の方は温かいご飯の上に海苔を散りばめてその上に載せて食べた方が美味いかも知れん。梅だれの方は冷やし茶漬けにいいな」
「ヘェ、じゃあラー油の方食ベヨ!」
「おう、ご飯と海苔はここな。んじゃ俺は冷やし中華からにするかな」
スライム乾麵は一度天日干しをすることで水分が抜けて無色透明になるが、昆布だしで戻したことでその姿は少し琥珀がかった色に変わっていた。具として麺の上に盛られている錦糸卵と千切りきゅうりを一緒に小皿に取り勢いよくその麺をすする。――これはっ!?
「なるほど……プルプルしているくせに思った以上に歯応えがある。しかも噛んだ先から昆布だしが飛び出してくる。あ、すげぇ。面白いわこれ!」
昆布だしと食感を楽しんだ後にそれを洗い流すかのようにビールをグイっと……!食べたことは無いがこんにゃく麵に近いのかもしれないな。何にせよ、美味い!
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