【秘密は秘密のまま】答える質問は選別してます【だから美しい】
「――という訳で、オーロラは妖精だ。いいね?」
『『『YES!オーロラ様の言う通り!』』』
この質問に関しては、これで終了ということにしておこう。うちの配信に気まずい雰囲気は似合わない。この話題は忘れるに限る。
念のためコメント欄を確認するが話をぶり返そうとするやつらの声は小さい。無視し気を取り直して次の質問にレッツゴーだ。……質問選んだの俺だし、放送終了後にでもオーロラの御機嫌取りに何か作ってあげよう。
【今でも戸中山ダンジョン潜ってんの?】
「おかげ様で頻繁ではないけど潜ってはいるね!!!」
『言葉に圧を感じる』
『ちょっとぉ男子ぃー!』
「本音を言うと、あんまり俺見たさに来てほしくはないなぁ。俺含めて生活のために潜っている人もいるんだからさ」
「メイワク!」
これに関してはオーロラもお怒りだったりする。なんせ彼女にとっての故郷的な存在の隠しエリアに容易に行けなくなってしまったのだから。一番いいのは俺が戸中山ダンジョンに今後一切行かない宣言をすればいいのだろうが、滅茶苦茶気に入ってるんだよなぁ……引っ越す気も無いし、今後も通うようにしたい。
「あまりに酷いようなら多分冒険者組合から注意はいるんじゃないかな。」
『そもそも行くような奴ら配信見るんかな?』
『半分は見て無さそう』
「頼むよ本当に。俺の平穏な山菜狩りとオーロラの里帰りのために」
この注意喚起ですぐに変わるとは思えないが、言わないよりかはよっぽどましだ。俺だけならまだしもオーロラの事もかかっているんだから……ね?今まで少しモヤモヤしていたことを口にできたおかげで少しスッキリは出来た。
【好きなお酒の種類と好きなおツマミは?】
「種類……種類ねぇ。芋焼酎かな。ロックで飲むのが一番好き」
『好きの割に配信の出番少なくない?』
「それは否定しない。でも実は配信終わった後に飲んでたりするんだよね」
配信終了後に、残ったおつまみでちびちび飲むのが楽しみだったりするのだ。今日の配信の後にも嗜むつもりだ。
「で、おつまみなんだけど……ポテチかな。のり塩味が好き」
『今更だけど今日のつまみのしょっぱい枠ほとんどがポテチじゃねぇか!』
『こう言っちゃなんだけど太らない?』
「冒険者やってりゃそうそう太らんて。じゃ、次オーロラね。酒は何が好き?」
「ストゼロレモン!」
『即答で草』
『大丈夫?アル中になったりしない?』
『ワイとしてはこう……少し大きい盃に日本酒いれてごくごく飲んで欲しいです』
『ワイトもそう思います』
『それはもはや鬼なんよ』
オーロラ曰く、ジュースのように飲めるから好きなんだとか。言わんとしていることは分かる。分かるんだけど、俺とんでもない妖精を酒の道に引きずり込んでしまったのではないだろうか。今更歯止めは効かないだろうし、酒に溺れないようには注意してみておこう。
「じゃあおつまみは?」
「オツマミ?ジョージが作ってくれるやつ」
「あれは正確には違うんだよなぁ……何と言うべきか……酒のためのお菓子って感じか?」
『せやなそれが正しい』
『ジョージが作るのは酒の肴が正しいかもな』
「ンー。じゃあジャーキー!硬いの!」
『この妖精、悉く妖精のイメージぶっ壊しそうなもん好きだな』
『そら主が主だし』
『主ポテチ言うてますやん』
俺もこのオーロラの回答は結構意外だったりする。先程甘党を自称したオーロラの事だから甘い系のお菓子を上げるものかと思っていたが、まさかのハードタイプのジャーキー。いや、配信外でもおやつに食べていることは知っているけど、そこまでとは……
「分かったオーロラ。今度ジャーキーを作ってみるか」
「エ!作れるの!?」
「流石に燻製器は持ってないけどAmazonで買えるしな。それにつまみのバリエーションも増えるからな」
「ワーイ!」
『てぇてぇ』
『燻製卵に燻製チーズ、ソーセージいいですねぇ!』
実は買おうかどうか悩んでいたんだよね。オーロラをだしに使うようで申し訳ないが、これを機に買ってしまおう。オーロラも喜んでいるようだし、いい事だ。
【ゴミ出しとかどうしてんの?バレないの?】
「御安心を。マジで誰もいないくらいの早朝に出てゴミ捨て場に捨ててるよ。うちの近くの捨て場のカゴは立派なやつ使ってるからカラスも来ないんだよね」
『朝もはよからゴミ捨てするエルフ』
『勿論ラフな格好ですよね?』
「そりゃ、ごみ捨てに行くだけだし……?」
『格好についてkwsk』
「HAHAHA、ご想像にお任せします」
元々田舎だし、そうそう人に会うことないからなぁ。会っても巣守さん達だからダメージは無いから大丈夫だ。当然、余裕をもってごみを出しているのでごみ収集の人たちに会うことも無い。
【他にもマジカルマッシュルーム食べてエルフなろうとしてる人いるけどそこんとこどう?】
「え?好きになれば?別に俺はエルフが増えようがドワーフが増えようが別に困らないというか……むしろ増えてくれた方が、注目度分散されるなら願っても無いことだね」
『あ、いいんだ』
『そもそもなれるかどうか。ジョージのおかげかマジカルマッシュルーム値上げしとるしな』
『この前10連ガチャだ言うて10本食ってる奴いたなぁ』
「えぇ……それ絶対費用ヤバいでしょ。結果は?」
『有用なスキル1つ手に入ったくらい』
『エルフになりゃ一発逆転できると思ってるんじゃない?ジョージみたいに』
いや、確かに人生は一変したが、それを俺が望んだか望んでないかは、また別の話じゃないか……?オーロラと出会えた事実はエルフになってよかったとは思えるが。いやしかし、そんなにマジカルマッシュルームを食っている奴がいるなら本当に近い将来、エルフじゃないにしてもドワーフとか獣人が出てきてもおかしくないのかもな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます