【着ません】キャンプ配信・昼の部2【断じて着ません】
『俺、オーロラちゃんのファッションショー見たら結婚するんだ』
『露骨なフラグを立てんな』
「結婚に踏み切るハードルが低すぎる件について」
ファッションショー配信見るだけで結婚を決意するならそれはもう結婚しようとすることは確定なんよ。そもそもお相手が了承するとは限らんけど。
とは言え、ファッションショーの反応がなかなか好意的で良かったよ。まぁ、可愛いオーロラがやるんだから否定的な意見は上がるわけもないんだけれども。おっとそうだ。恐らく視聴者はファッションショーに関してあることを期待しているはずだ。無駄に期待させても申し訳ない、否定するべきところは否定しておかなければな。
「言っておくけど、ファッションショーはオーロラだけであって俺はやらないからね?」
『は?』
『許されざるよ』
『お前もやれ』
『そうはいかんざき』
こういう反応は想定範囲内だ。俺だって男のままだったら美人エルフのファッションショーは見たい、男の子だもん。だが、見たい=やりたいという訳ではない。やってしまえば一生モノの黒歴史間違いなしだからね。
だから必殺の一言で片づけさせて貰おう。
「それじゃあオーロラのファッションショーは無しということに」
『強要は良くないよね、うん』
『ちょっと男子ぃー!』
『すまんて』
「一応言っておくけど、オーロラの方は乗り気だからね。別に無理やりさせるわけじゃないから」
「――!」
『それは分かる』
『めっちゃがんばるぞいしてる』
やはりこの手に限る。――まぁ、あまり多用も宜しくないけれど。これに合わせてついでに釘もさしておこう。
「後、俺宛にメイド服とかスク水とか送ってきた人!着ないからな!好みに合う普段着的なやつは着るかもしれんが……コスプレ物はやめてくれ!」
『やっぱりおったんかw』
『スク水贈られるとか恐怖以外の何物でもないな』
「そう!怖いからやめてね!」
とは言っても贈られてくるんだろうなぁ……こういうのは言うのが大事とは言うが果たして効果があるのかどうか。視聴者の良心を信じる外ない。
そうこうしているうちにピーマンが焼き上がってた。あとはトウモロコシ……あぁ、オーロラが既に確保してた。
「――♪」
「待ってオーロラ、焼きとうもろこしどうやって取った?」
『器用に両手に割りばしもって掴み上げてたよ』
『すんごいバランス感覚だった』
「そんでそのまま噛り付くのね。火傷とかしないの……?」
「――?」
火傷?何それ美味しいの?と言わんばかりに醤油の香ばしい匂いが漂う焼きトウモロコシをハムスター宜しくオーロラ。トウモロコシは美味しいようで何より。
「しないんかよ」
『妖精は火傷耐性持ちだった……?』
『そもそも妖精は水以外飲まない定期』
『じゃあオーロラちゃんは何者……?』
『その議論はTwitterとか5ちゃんでやってな!ここはオーロラちゃんを愛でるだけの配信だからな!』
「ちげーよ、俺とオーロラが酒飲む配信だよ!」
・
・
・
時刻は15:30頃。夜配信の前哨戦だったはずの今の配信で既に俺とオーロラはビールと酎ハイの500mlを2人合わせて4本飲んでいた。ちょくちょくコメントで「夜大丈夫なのか?」的なものも流れてくるが、全く問題ない。
「とは言え、このまま飲んでたら夜の分まで無くなってしまいそうだな?そろそろ配信一旦切るか」
「――?」
「そうそう。マンガ肉の仕込みとかしなきゃならんからね。オーロラはファッションショーの着る順番とか考えてな?」
「――♪」
『オアーッ!終わりかーっ!』
『夜配信は何時予定?』
「18時くらいを予定してる」
『おっしゃそれまでに仕事終わらせよ』
『夜勤ワイ無事死亡』
『夜勤ニキ仕事に備えて寝てろ』
『楽しみ』
『全裸待機で待ってるぜ!』
「パンツは履いとけな?じゃ、またねー」
『そこってダンジョン?』
……ハイ、配信終了しました。俺笑顔保てたかな?まさか最後の最後に火の玉ストレート投げられるとは思わんかった。コメントした奴、何を根拠に俺がダンジョンにいるって思いついたんだよ。ただの偶然かも知れんが……考えても仕方ないか。
それじゃ、ちょっと仮眠取ってから仕込みするかね!
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