【背徳感】キャンプ配信・昼の部【そもそもない】

「ぃよし、出来た!」

「――!」


 タープにテントに焚き火台。テーブルとチェアにバーベキューコンロ。滞りなく設置が行えた。ふふふ、久しぶりの割には俺もなかなかやるじゃないか。後、俺の隣で一仕事終えたみたいに汗を拭う仕草をするオーロラさんや、あなた元気に飛び回って遊んでましたよね?まぁ、オーロラ小さいからソロキャンの設営で十分だから楽でいいんだけども。

 ……ふむ、スマホを起動させて時間を確認すると7時か。早朝にダンジョンに入ったんだから当然と言えば当然だからしょうがないか。……そうだ。折角家から出ての配信なんだし、今日は昼と夜2部に分けて配信をしよう!そうと決まれば、Twitterで


「『今日は以前から企画していたキャンプ配信するぞ!しかも昼と夜で配信するから来てな!』……っと。うわ、リツイートいいね早」


 宣伝のつもりでツイートしたら数秒で反応が返ってきた。監視されてない?大丈夫?いや、監視されてもしょうがない状態だとは思うけれども。あぁ、そうこうしているうちにRTいいねが1000を超え……あーあー、返信もバンバン来てらぁ

 まぁ昼からとツイートしたんだし、朝である今、俺がやることと言えば――設営したてのテントに入って用意していた寝袋の中に入って準備OK!


「オーロラ、俺寝るから!遊ぶのはいいけど、隠しエリアから出るなよー!」

「――!?」


 眠いのよ!そりゃ普段なら危険なダンジョンの中だから眠気は吹っ飛ぶんだけど、この空間は安全だからね。自然と瞼も重くなると言うもの。だからこそ、昼の配信に向けて仮眠を取ろうとするので、オーロラにそう伝えると、凄いスピードでテントに入ってきてそのまま俺の寝袋に侵入してきた。


「オーロラさん?君の寝袋用意してるよね?」

「――!」


 あ、はい。一緒に寝たいのね。……俺の寝相がいい方で良かったな?漫画みたいな寝相だったら君ぺちゃんこになっていたぞ?なんてしているうちにもう寝てるし。相変わらず寝付きいいなこの妖精。ま、俺も寝るかね。スマホのアラームを11時にセットさせてっとお休み……



「あ゛ーっ!ビールうめぇ!」

「――ッ!」

『珍しく昼配信するからと聞いて来てみたら初っ端からビールかよ』

『平日の真っ昼間から飲むビールは美味いか?』

「悪い、やっぱうめぇよ」

『言えたじゃねぇか』

『聞けてよかった』

『草』

『草』

『そのゲームやったことあるん?』

「悪い、ねぇわ」


 思っていた以上の人が配信に来てビックリしました、ジョージです。キンキンにオーロラの魔法で冷やされたビールグラスに銀色の奴を注いでオーロラと一緒にグビッと飲んで配信スタート。オーロラも口に着いた泡をワイルドに腕で拭って満足そうだ。


『オーロラちゃんのグラスがキャップじゃない!』

『あら可愛い、お人形サイズのグラスなのね』

「――!」

『オーロラちゃん、分かったから!見えてるから!』

『あぁ^~グラスしか見えないんじゃあ~』


 そう、先日オーロラ用の日用品が届いたからね。配信でもバンバン使っていくのだ。早速ビールグラスを褒められたオーロラは嬉しそうに「見て見て」と言わんばかりにグラスをカメラのレンズにぐいぐい押し付けている。

 さて、昼での配信の酒のお供はバーベキューコンロで焼いたフランクフルトとかお野菜だ。焼き野菜はともかく、オーロラにフランクフルトは太すぎるから切ってあげようとしたんだが、オーロラはこれを拒否。チーズを食べるネズミのように端からガジガジ食べ始めたではないか。本人がそれでいいなら俺は止めんけど……まぁ食べるか。


「んー!やっぱり炭火で焼いたフランクフルト美味いわ」

「――!」

『分かる。妙に美味いよな』

『あぁ、そんな無情にガブガブしないで……ヒュンてしちゃう』

『すまん、そのポークビッツ炭火の中に落としちゃった』

『新手の地獄』

「無くなった俺が言うのもなんだが、恐ろしいな……」


 だがセクハラはNGだからな??俺はともかくオーロラはモンスターとはいえ純正の女の子だからな?気を付けろよ?


「さて今回の昼放送ではな、夜にやる本放送の企画を説明しようと思う」

『その口ぶりだと長いの?』

「ふふ、今日は19時から0時までやるぞ?」

『mjk』

『祭りじゃあああああああああああ!!』

「で、まずその夜配信で初のスーパーチャットを解禁します」

『投げ銭キター!』

『ようやく投げれるのか……この日を待っていたぞ』

『すごいお金飛びそう』


 そう、兼ねてから配信やTwitterで言われていたスーパーチャットを今回解禁することにした。正直、しなくてもとは思っているのだが、コメントで投げさせろ投げさせろうるさいのでガス抜きもかねてやってみることにしたのだ。勿論、スーパーチャットで得た収入は配信に役立てることは決定事項だ。イコール酒やら食べ物に消えるかもということなんだけど。


『ていうか、ここどこのキャンプ場なの?』

『特定班急げ』

「一応言うけど、俺から言わんからな?精々探してみるがいいさ」


 いくら調べられたところで特定されない自信はある。なんてったって山ダンジョンの中の隠しエリアだからね。百歩譲ってダンジョンがバレたとしても隠しエリアはそうそう見つからないだろう。そんな安心感がここにはある。

 まぁそんな訳で、スパチャの導入によって会場もといコメント欄が温まってきたところで、もう一つの情報を解禁しよう。


「そして、夜配信ではー!オーロラのファッションショーを行いたいと思います!」


 その瞬間、コメントがそれはそれは激流のように流れるどころかロケットが撃ちあがるかのように流れていった。みんな正直者ね……

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