第2話 魔法が使えない鯨
あれから時間が経って僕は14歳になった
僕が魔法が使えないという噂はすぐに広まり
街を歩けば好機の目と嘲笑の目で見られ
家族もその被害を受けて
僕に八つ当たりをするようになっていった。
学校にも行けなくなったが、ギフト様の手配で
先生が僕の家まで教えに来てくれていた
そして忌々しい僕の誕生日が近づいて来た時に
不意に僕に大量のお金と目立たないバッグをくれた
そしてそっと僕に耳打ちしたんだ
「誕生日の日、家族にバレないようにそのバッグを
持って家を出て、ペガサスの泉へと向かえ、
ギフト様がクジラくんと話したいらしい」
そういい終わると、また問題の解説を始めた。
誕生日が近づく連れて、家族からの暴行は酷くなる
無視から暴言へ、暴言から暴力へ
暴力から殺人未遂へ、そして誕生日前日の夜に僕は
家を出た。
母さんが泣きながら包丁を研いでいたからだ
夜明けの頃に大きなホウキで人が飛んできた
フードを着ていてわかりづらかったが白い髪が
朝日に照らされ輝いて見えたので確信した
ギフト様直々に迎えに来てくれたのだ
ギフト様はなにも言わずに僕を抱きしめてくれた
そこでこらえていた涙が溢れてこぼれ落ちた
僕はそれからギフト様が住む
魔法大樹のツリーハウスへと招待された
魔法大樹から出てくる強大な魔力で魔物はこの国へ
寄り付かないらしい
ツリーハウスの中で僕をふかふかのソファーに
座らせて、ギフト様が口を開いた
「ふぅ、ごめんね。あの日の後の君の生活はずっと街に住んでいる従者から聞いていたんだ、もっと
はやくに君を連れ出したかったけれど、こっちの
準備が終わってなくって」
そして白い肌の手で僕の体をギフト様が触ると
今までの傷が癒えていって、包帯を外しても傷跡は
見えなかった
そして、ギフト様は泣いていた
「ごめん、ごめんねぇ、師匠ならもっと上手く
やれてたと思うけど、私にはこれが限界で」
ギフト様は僕が生まれたくらいで代替わりをした
前代の人の死因は公表されていないらしい
「いえ、大丈夫ですよ僕は、というか本当に
ありがとうございます、
ギフト様の助けが無ければ、死んでいたところ
でした。」
ギフトさまは僕様子を見て
涙を拭うと、そっと僕の肩に手を置いた
「本当に、ごめんなさい、ずっとここにあなたを
保護してあげたいけど、国民にバレたら示しが
つかないから、」
ギフト様の顔また曇る
「でも、しばらくは全然ここに居ていいから!あとね
あなたが、魔法を使える方法見つけたの。」
ギフト様はそっとこちらの様子をみると
ふぅ、と息をついた
「あなたはおそらく、魔力が抜ける体質で私一人の魔力じゃきっと治せない、だから他国の魔法使い様全員にお手紙を書いたわ、あなたの治療に関してはどこの魔法使い様も好意的な返答が返ってきた。」
ギフト様は奥の部屋へ行って、ドシャガシャ音を
たてながら戻って来ると、小さな箱を持っていて
僕の手へと渡してくださった
「もし、あなたが魔法使い様達のところまで謁見
しようと思うなら、この箱を持っていって、きっと
役に立つはずだから」
そういい終えると、僕を部屋へと案内してくれた
部屋には暖かいベッドと毛布と、立派な本棚が
備えられていた
「即席でごめんね、夜ご飯の時間なったら呼ぶから
全然寝てていいし、好きなことしてていいからね」
そういい終わると優しくドアを閉めた
あまり情報の多さに若干の気持ち悪さを感じ
ベッドに横になると、すぐに眠気が襲ってきた
空白の鯨 アサツユ @asatuyu-namida
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。空白の鯨の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます