付箋とクリップ【掌編】
パズル部は、とある高校にある、ただのパズルからルービックキューブ、論理パズル、果ては推理までも受け持ってしまうという変わった部活。ゲームばかりやっている僕にとっては、居心地の悪い部室だった。
数日前までは。
僅か数日前の事件によって、単純にも僕はパズルに興味を持ってしまった。
そして今、高梨さんに論理パズルを出してもらうことにしたのだ。
「付箋とクリップの値段は合わせて110円。付箋はクリップより100円高いとするわ。その時クリップはいくら?」
これくらいなら、僕だって解ける筈だ。
「10円だね」
「不正解。正解は5円よ」
直感で答えると間違えるの、と高梨さんはパッチリとしたアーモンド型の目を細める。
「これは論理パズル。よく考えれば当たり前でしょ」
僕は、全くわからないパズルに疲れて、顔を上げた。
「どうやったら、解けるようになるんだ」
「慣れよ」
高梨さんから短い答えが返ってくる。
「この程度で外すなんてまだまだね」
高梨さんは言いながら、部室内のルービックキューブの最後の一つを揃え終えて机に置くのだった。
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