第3話 干しそば
それは僕が小学4年生の時だった
昼休みに同級生たちがお蕎麦の話をしていた
僕は人見知りな性格だったんで、話の輪に中々入っていけないのだが
その日は思い切って話の中に入っていった
「そばの話、実は僕のお父さんは、お蕎麦工場に勤めているんだよ。細い棒みたいなやつを茹でて食べるんだよね」と僕
「Aくん(俺)お蕎麦って外で食べるもんじゃない?」とBさん
「Bさん、うちでは時々家でつくるよ。でも棒じゃなくて紐みたいなもんじゃない」とCさん
「ああ、Bさん、うちは大晦日にそれ茹でて食べてる、Aさんの言ってるの別のもんじゃない?」
「Aさんってもしかしてお蕎麦食べたことないのかな」
「そういえばAさん、先生が給食費まだって聞いてたよ(察し」
僕は居たたまれなくてその場を駆け足で逃げ出した
家に帰って母親に問いただした
「今日学校でそばの話をしたらうちで食べてるそばはそばじゃないって言われた」
「何言ってんだい、うちのは『乾麺のそば』だよ。そばの乾麺は押し並べて長めに茹でたほうが美味しくなるんだよ 」
「そうだよね。みんなが間違っているんだよね」
翌日、学校の昼休みに僕は思い切っていった
「やっぱりうちで食べているのは蕎麦だよ。乾麺っていう蕎麦なんだよ。そばの乾麺は押し並べて長めに茹でたほうが美味しくなるんだよ」
「乾麺のそば?」
「そんなの見たことないよ」
そう言われると思って僕は懐に乾麺のそばをしのばせていたのでした。
それは「新・信州田舎そば小諸七兵衛」でした
「ジャーン、見てよ!これが乾麺のそばでーす。これはマツコの知らない世界でも絶賛されて今話題沸騰なんだよ」
「それいつの話だよ」とAさん
「どれどれ、ふーん」僕が持っていた乾麺のそばの袋をとって見るBさん
「あ、品名に干しそばって書いてある」
干しそば?
ほ し そ ぱ ?
ワハハハハハハハハハハ
皆がいっせいに笑い出した
ほしそば、干しそばだってwwww
ほしそばとかちんけな名前だねえwwww
ほしそばとか本当に貧乏くさいねえwwww
ほしそばとか腹いてええええwww
もちろんそれ以来僕のあだ名は「干しそばくん」になったことはいうまでもない
その日を境にだんだんと僕は小学校に行かなくなった
中学にも入学したがほとんど通っていない
ずっとずっとひきこもって5ちゃんばっかやってる
5ちゃんでやっていること
それは、乾麺のそばと言わないやつにいやがらせをすること
今日も干しそばとか言ってるを
空白改行して
煽ってやった
乾麺の蕎麦と言わないやつはキチガイだ
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