第8話 花野井くんと恋の病
美男子な上にルックスもおまけに偏差値も良く、日頃から小説を嗜む大人しい雰囲気で、女性からもモテていた
色んな女性の愛する心を知ってきた彼だったが、優しいようで、時折見せる違和感のある重たく冷めた態度に、次から次へと付き合っていた恋人は去っていた。
そして今回も同じ理由で一方的に振られ、好きな人に一途な彼は今回も報われなかった自身の恋を蔑んでいた。
僕に人を愛する資格はないのかと……。
──寒空の中、公園のベンチに座り、雪を肩に積もせながら、その好きだった女性の想い出を振り返る花野井くん。
すると不意に雪の落ちる気配が無くなり、突如伸びてきた日陰の中で差し出される、開かれた傘。
──傘を出した相手は
特に美人や可愛いとも言えず、どこにでもいそうな普通の女の子。
ほたるは困ってる人を助けたいという世話焼きな性格で救いの手を差し伸べたのだったが、それが花野井くんの冷めていた心に触れ……後日、再会し『僕と付き合って下さい』とほたるに告白する。
ほたるは戸惑いながら、いきなりで急だから、まずはおためしでお願いしますと花野井くんに説明することに……。
初めての恋人、しかもイケメンで観賞植物とも言われている花野井くん。
それに比べ、何の特長もなく、地味な私なんかで本当にいいんだろうかと悩むたびに、花野井くんが愛を持って接してくる、好きな想いに段々と惹かれていく──。
──オープニング曲『君のせい』は満開の桜の下、花びらの敷き詰めた地面で繰り広げる二人のワルツ。
花野井くんとほたるの恋模様がジャニーズのSexy Zoneによるバスドラがメインなシンプルなサウンド。
メンバーのハモりに合わせ、4つ打ちのダンスミュージックで大胆に二人の恋を描いていく。
デンマーク出身のシンガーソングライター、ミイナ・オカベによるエンディング曲『エヴリーセカンド』は日本語ヴァージョンとなっており、しっとりとしたジャズ風なバラードナンバー。
宙に浮かんだ水玉で過去の出来事を振り返るシーンとなり、最後は花野井くんの優しい笑顔に続き、ほたるの屈託のない笑顔で終わる。
──この物語は少女漫画が題材なアニメだが、少女漫画だけに物語構成の基盤や流れがしっかりしており、一話ずつ観ながら進めていくと、ついつい夢中になってしまう。
よくある恋愛漫画での性描写もなく、キスもおでこであり、恋人通しだからとイチャイチャするのも控えめである。
二人の恋の進展もスローで流れていくが、前に説明したように内容がしっかり纏まっているため、観ていてひがんだり、苦にもならない。
むしろ観る楽しさが増していき、二人の恋を応援したくなるだろう。
──だが、女性と上手くいかない理由でもあり、花野井くんの言動に問題があるのも事実だ。
──他の誰のものにもしたくない。
君をずっと手放したくない。
僕のことを君の一番の好きにしてほしい。
例え、何があっても、永遠に僕だけのものだから……など。
このように花野井くんが、ほたるを思い過ぎる好きの形が重すぎて、リアルに考えたら、この人独占欲が強くて、正直怖いな……と思われがちでもある。
でもそれは勝手な偏見であり、ストーリーを追うごとに花野井くんの魅力が際立ってきて、凄くいい人だなと思えてくるだろう。
イケメンだからと、女に軽い感じでチャラいというイメージを見事に払拭した真面目な好青年でもある。
──イケメンが普通の女の子と恋をする。
恋愛ドラマなどではよくありがちな題材だが、この物語はそこを遊び心で強調してなく、恋をするのに理由がいらないというありがちな内容を見事に打ち砕いた作品だ。
二人の好きな関係にも、きちんとした好きという理由があり、二人ともなあなあで付き合っているのではないということを親身に伝えてくる。
時に二人の純粋さに涙が溢れるシーンもあり、世代、性別を問わず、誰にでも愛される名作とはこのような作品なんだなと思わせるだろう。
──恋をするなら、遊びではなく、その人を大切にして、お互いに思い合う心が大事なことを教えてくれる王道ものの、教科書のような作風。
まさに児童文学の分野に並べたくなるようなピュアラブストーリーでもある。
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