第6話 Cavalier's daily life 〜ギルドの日常〜

 鯖味噌弁当を食べながらファンスタにログインする。

 今日もギルドのチャットは他愛のない話題で盛り上がっていた。私はそれを読みながらゲーム内でやるべき日課をこなしていく。


 チャットを見て思うことが、とにかくみんな若い。本当に高校生とか、大学生が多い。主婦もいるが、彼女らも若いママな感じである。そんな中にまぎれこんでいる43歳の私。自分がキモい変態のように思えてきた。でもそれを知っているのは私だけである。そして一応女性だからセーフということにする。


 しかし、イケメンアメリカ人 Patrickはヤングな28歳の設定である。そこそこ若いイケメンなのに、高校生やヤングなママたちをナンパしたりなど絶対しない紳士なのである。とりあえず誰にも年を聞かれないのでこちらからも言わないが、もし聞かれた場合はそう答える設定でいる。生まれは1993年、、、これも覚えた。干支はアメリカ人だから知らなくて良し。


ERIKA「また変な人にギルドに誘われた、、、。」

プリまゆ「またぁ!?ERIKAちんモテモテやなぁ!」


うーぱー「また?この前のやつ?」


ERIKA「ううん、違う。ソードマスターだった。名前も違った。」


プリまゆ「ええなあ!私なんかイケメンキャラの周りぐるぐるしてアピっても丸無視やで!」


うーぱー「アピらんでもろてwwww」


ringogo「なんて奴?私他の子からもナンパしまくるソードマスターいて困ってるって聞いてんねん。」


エマニュエル「え!私じゃないよ!イケメンソードマスターだけど!」


ringogo「ほんとエマ子?ナンパしてんちゃうか?」


エマニュエル「かわいいウィザードの子とたまにいちゃいちゃするけど、みんな本気だからセーフ!」


ringogo「エマ子ナンパ師説キタ。」


ERIKA「やだぁおもしろい! エマちゃんじゃないよー。なんか英語の名前だった。」


ringogo「なんや。Patrickか。大人しい顔してやるな。」


ERIKA「違う違う!Patrickはナンパとかしない!ジェントルマンだもん。オシャンティーギルドの人だった!そういえば。」


ringogo「オシャンティーか、、、あいつら PKもするしタチ悪いよな」


海斗「昨日もオシャンティーの連中に AI中に PKされてた。」

海斗(しょんぼり)


ringogo「海斗氏は強いからええねん。 PKされるぐらいでちょうどええ。」


海斗(びっくり)


うーぱー「 りんごっち辛辣でワロwww」


 AI中に PKというのは、このゲームは、というか多くの MMORPGにあると思うのだが、フィールドで狩りをしながらレベル上げや必要なアイテムを得るのはかかせない要素である。そしてこのゲームは1日5時間 AIの時間が配られ(もちろん課金するとAI時間は増える)、 AIにするとゲームを閉じた状態でも自分のキャラが勝手に狩りをしてくれる、というわけだ。 よって学校や仕事に行っている間は AIをつかうのが基本だ。私の場合はパクパクEatsをしているときにAIを回している。


 PKというのは「 Player Killer」という意味で、文字通り他のプレーヤーを殺すという行為である。このゲームでは、殺されても、ペナルティーがつくとかいうこともなく、すぐに生き返る事ができるのでなんという事はないのだが、 AI中にやられると、そこで狩りが止まってしまい、再度ログインするまで虚無の時間になるので、やっかいなのである。



 PKはゲームのシステム上存在する行為なので、やってはダメという事はないのだが、自分は必要がない限りやらないようにしている。それでも時々、 PKをされる事がありそれが起こった時はやはり嫌な気持ちになるのは否めない。自分がやられるのも嫌だけど、それよりも同じギルドのメンバーがやられたりすると頭に血が昇る。


 PKしてきた相手に「仕返し」をすることも出来るので、ギルドの子が PKされたら、他のメンバーが怒ってやり返したりすることもある。

Cavaliersのメンバーは、できるだけ PKはしないと決めている。ほかのキングダムにはPKを生きがいにしてるプレーヤーもいるので、そういうプレーヤーとはあまり関わりたくないものである。



うーぱー「海斗氏だれにやられたん?私から向こうのギルドのマスターに話しておくよ!」


海斗「いや、もうやり返したから大丈夫。」


うーぱー「wwwww」


ringogo「わら」


アヤネ「私この前目の前で momoちゃんやられたから、カッとなってすぐやり返しちゃった。誰だったか覚えてないけど」


うーぱー「 アヤネっちはお上品だけど血の気が多いよねw」


プリまゆ「あ!ボスダンジョンの時間だよ!行こう!」


 みんなパーティーを組みだして、ボスダンジョンへ向かう。Patrickも、ERIKAからパーティーに招待されたので、参加して向かう。


 ボスダンジョンとは、毎日決まった時間に行われるダンジョンで、昼の1時、夕方7時、夜中の0時、朝の6時と、普通の社会人をしていたら到底参加できない時間ばかりに行われる。Patrickも参加出来るのは週に2、3回である。昼の1時と夜の7時は完全にパクパクEatsのピークタイムにダダ被りだし、夜0時はもうおねむだし、ゲームのために朝6時起きとか中年には無理な話である。


 ダンジョンに現れるボスは毎回ランダムで、レベルにあわせてどのダンジョンにいくか選べるので、同じようなレベルの人と適正のダンジョンに行くもよし、ものすごい強い人に自分では到底勝てないダンジョンに連れて行ってもらって勝ってもらって豪華報酬を得るもよし、いろんな遊び方が出来る。


 今日は土曜日ということもあり、お昼のダンジョンにしては人が多い。


エマニュエル「うわ!このボス苦手なやつ!あのビリビリで動けなくなって死んじゃう」


ERIKA「あれね、ビリビリの前にボスがゆらゆら揺れるから、そのときダークバリアはると防げるよ!」


エマニュエル「え、ほんと!?やってみる!」


Patrick「わたしも、ビリビリ、いつもしぬ」


ERIKA「Patrickもやってみて!バリア! わかる? バリア。バリアって英語でなんだっけ、、、」


ringogo「use dark barrier after boss sways」


Patrick「oh, okay! will do! thanks!」


ERIKA「ringoさんすごい〜〜!!ペラペラ!」


ringogo「google翻訳や」


ringogoは英語が達者である。google翻訳を使っている時もあるが、英語だけでなくゲームのシステムもよく理解していて、多分頭がいい女性なのだろうと思っている。

 何度か死にながら、やっとみんなでボスを倒した。



ringogo「おつ〜」


エマニュエル「おつかれ!!ダークバリア効いた!!ありがとう〜〜!!」


ERIKA「でしょでしょ? おつかれ〜!」


Patrick「Thank you and おつかれさまでした!」


ringogo, エマニュエルが次々とパーティーを抜け、PatrickとERIKAだけが残った。

 自分もすぐパーティーをぬけようと思ったが、ERIKAが抜けないのでなんとなくそのままでいた。


雪の中、二人で向かい合ってたち尽くす。

 え、これ、なにか気の効いた事言うべきかな、、、それとも、ERIKAは何か他の事してて中身いないのかな、、、?と考えていると


ERIKA「、、、、ずっとここでこうしてたい」


!!! 


こ、これは、、、、!!!

〜to be continued~

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