第3話 Little bit about me 〜少し自己紹介〜

 昔からなりたがりだった。

 物心ついた時から、自分はいつも何かになりたがっていたような気がする。その時々によってなりたいものは色々変わるのだが、毎回真剣勝負だった。


 小学校1〜3年の頃は「聖闘士星矢」のドラゴン紫龍にゾッコン(ゾッコン分からない人はググってね💖)で、とにかくグッズを集め、漫画を読み漁りアニメを見まくった。今でも聖闘士星矢の中での一番のイケメンは紫龍だと思っている。


 その次には「らんま1/2」 に夢中になり、特に男らんまに惚れた。らんまは登場人物がなぜかみんな格闘ができるので、「私もらんまみたいに格闘したい!」となって、よく男子と格闘ごっこをしたものである。(だが、けっこうコテンパンにされた。小学校男子って容赦ないよね。昭和だったからかな?)しかしコテンパンになりながらも、完全にらんまになりきっていた。


 小6の時には、 UNICORNというバンドに夢中になり、中でもベーシストのEBIにこれまたゾッコンだった。


 ここで述べておきたいのが、私は生まれてから今まで、何かを好きになって、たとえそれが自分と反対の性別でも、「XXXのお嫁さんになりたい!」とか「XXXの彼女になりたい!!」といった願望を持った事が全くなく、いつも「それ」そのものになりたいと思った。


 女だったけど、普通にその EBI になるべく私はベースを始め、髪型もうっすら真似して(でも剛毛のモジャ毛だから、サラサラヘアーのEBIのヘアスタイルを真似るのはほぼ不可能だった。)、 PVを何度も何度も見ながら動きを真似して、一人でなりきってコンサートを毎晩自分の部屋で行っていた。


 それと同時進行だったのがジブリ映画の、「魔女の宅急便」である。リリースされた当時キキとほぼ同い年だった私は、もう魔女宅の世界の虜になり、自分はいつかコリコの街に住むんだ!と固く誓ったものである。キキになりたくて、空を飛びたくて、空を飛ぶには、自分で箒を作らないと!!となり、映画の中でキキがやっていたように、木を削り、自作のきったねえ箒で、近くの畑に「飛ぶ練習」をよくしにいっていた。これについては、いまだに家族からネタにされる。


 魔女宅熱はほぼ治ることなく、映画も何度も何度も見すぎて、43歳になった今でも冒頭から最後まで全員のセリフを間違えずにアフレコできる。

 将来自分がボケた時に、朝何を食べたか忘れても、キキのセリフだけはきっと死ぬまでそらで言えるんだろうなと思っている。


 その次に短大の時に夢中になったのが、 THE BEATLESである。衝撃だった。なんだこいつらは、と。最初一見そんなカッコ良く見えなかったが、曲とヒストリーを知れば知るほどどんどん夢中になった。

 そしてもちろんビートルズ、中でもジョンレノンになりたいと思った。ジョンの見た目や、作る曲や、声が好きだった。ギターを引く時にガニ股になるのも好きだった。


 そしてもちろんジョンレノンになりたいと思った私は、バイトしてアコースティックギターを買い、下手くそながらビートルズの曲を練習した。

 そして下手くそながらいろいろ適当に弾けるようになった私は、音楽好きの高校の友達にビートルズの事を教えて洗脳し、彼女はポールが大好きになったので、そこからはもっぱら一緒にビートルズの曲を練習し、私がジョンのパート、彼女がポールのパートを歌い、ハモリにハモリまくって、歌う喜びを覚えたものである。


 そして自分達のハーモニーに満足した私たちは、街に繰り出し、いわゆる路上ライブをやりまくった。その時ちょうど「ゆず」が出てきたということもあり、地元山口県山口市の街にもポツポツと路上ライブをするものが現れたが、女の子二人組で、しかも英語で歌ってる!ということで、私たちはいろいろな人に声をかけてもらい、地元の祭りやイベントに呼ばれたりして、下手くそなギターで下手くそ英語のビートルズをいろんな場所で披露した。 


 それからもいろいろな縁があって、地元の割と大きなビートルズのイベントに出場させてもらうことになり(楽屋というものを初めて体験!!)、会場はかなり大きなホールで、緊張したが、そこで披露した長さ1時間のビートルズメドレーの音源を録っていなかったのは今だに悔やまれる。多分ビートルズ30曲くらいのいいとこどりで、いい感じに繋げて歌ってみたら1時間近くあって、それを何百人の前で披露したのは今思えば若さゆえだな、と思った。 今なら40超えた BBAのwwww 1時間メドレーとかwwwww 拷問っすよねフヒヒサーセンwwww などと思ってしまい、とても出来ないと思う。


 

 話がかなりずれてしまって申し訳ない。伝えたかった事は、昔からなりたがり、という事である。

 今回イケメン外国人(多分アメリカ人という設定にする)になろうと思ったのも、彼らはこんな顔にシミや肝斑だらけのアジア人のおばちゃんの私(不細工)と正に正反対の立ち位置にいるような気がしたからである。


 その起きてからそのままベッドから転がりでて化粧なんて当然しなくても眩しいくらいのグッドルッキングってどんな気分なんだろう、吸い込まれるような青い眼を持っているというのはどんな気分なんだろう、どんだけテキトーに写真に取られてもイケメンってどんな気分なんだろう、女の子にキャーキャー言われるのって、どんな気分なんだろう、、、と割と本気で興味があった。


 自分の経歴を小出しで申し訳ないのだが、私は20代前半から40手前まで、アメリカに住んでいたので英語には不自由しない。プラス、Patrickは日本語勉強中という設定なので、なんだかいろいろややこしそうなこのゲームのシステムを理解してなくても許されるかもしれない、という甘えもあった。


 と言うことで、Patrickのアカウントで、ファンスタのツイートをしている人に次々と「いいね!」をしていった。まずは存在を知ってもらわないと。

 もちろん自分のツイートも忘れない。ゲーム内で出来るだけイケメンにとれた写真を「ファンスタはじめました!よろしくお願いします!」みたいなツイートと共に載せた。


 すると、すぐに「◯◯さんにフォローされました」と通知が来た。その人のページに行ってみると、ゲーム内の綺麗な写真をたくさんあげてる人だった。見る感じ女性らしかった。私はすぐにフォローバックした。

 それからもいろんな人にいいね!としていくと、どんどんフォローされ、その人がBOTなどではなくちゃんとゲームをしてる人と分かると、私はどんどんフォロバしていった。


 すると、その中の一人が DMを送ってきた。

 「フォロバありがとうございます!ファンスタ楽しいですよね!よろしくお願いします!」といったメッセージだった。

 私は、「こちらこそ、よろしく おねがいします!」と簡単な日本語で返信した。

 

 すごいな、、、と思った。自分の本垢の Twitterではまずない現象だった。

 これはゲーム内という特別なコミュニティーだからなのか、それとも私がイケメンだからなのか。どちらにしよ、私はこの状況を思いっきり楽しむつもりだった。

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