第8話 騒がしい日常
俺はいつも通り学校に登校して教室のドアを開けたのだが……予想通り視線を集める事になった。
「おはよう!新堂君!!!」
「昨日見たぞ!!!」
「何でゼロって事隠してたんだ?」
「きゃー、カッコイイ」
まぁ、こうなるよね……それにしてもあからさまにこんなに変わるんだな……
俺は助けてもらおうと哲夫の方をみるがニヤニヤしてこちらを見るだけだった。
……楽しんでるなあいつ。
因みに哲夫が騒いでいない理由は昨日の夜電話で長々と質問責めに会ったためだ。
――俺はそれから数分間クラスメイトと会話をしてから哲夫の元に向かった。
「おい……助けろよ……」
「隠してた罰だよ」
「謝っただろうが……」
「まぁ、冗談はさておきSランクバレしたんだから当然だよ、ニュースでもやってるしSNSでもトレンドを独占してるぞ」
「うわっマジかよ……」
哲夫がそう言ってスマホを見せて来るのだがマジだった。
「なんだよこのゼロ天使って……」
「そのまんまだろゼロが天使の羽を生やしたからだろ?プ……」
「おい……笑いながら言うなよ……」
そう言ったは良いが実際にゼロ天使は恥ずかし過ぎるだろ……
ゼロだけでも恥ずかしかったので天使も付きやがったよ。
「まぁ、暫くはこれが続くと思うけど我慢するしかないぞ」
「我慢もなにもそこまで気にして無いけどな、めんどくさいとは思うけど」
「お前らしいな……にしてもお前といると視線が凄いな……」
哲夫が言うようにクラスメイトは勿論他のクラスの人も廊下から見ている。
「すまんな」
「まぁ、気にすんな、俺は別にいいからさ」
「ありがとう」
俺達がそんな会話をしていたら穂乃花が教室に入って来た。
「おはよう!龍星!それと眞壁君」
「おはよう穂乃花」
「お、おはよう笹木さん……」
「どうした哲夫?」
「いや二人が名前呼びしてるから……」
言わんとする事は分かるがまぁ、気にされても困るから慣れてくれ。
「私からお願いしたの!」
「え?笹木さんから?」
「そうだよ……仲良くなりたいから……」
「……なる程」
「まぁ、俺と穂乃花は同じクラスで同じギルド同士なんだしな」
「それもそうだな……うん」
哲夫はどこか納得していないようだったがそう言っていた。
◇
――学校が終わり俺と穂乃花で光龍ギルドに向かっていた。
「龍星はこれからどうするの?」
「ん?どういう意味だ?」
「ゼロって周知された訳じゃん?だったら配信とかするのかなって思ってね」
配信か……別にやりたくないわけでは無いんだよな。
確かに俺がゼロってバレたらやってみてもいいかなって思ってたしな。
「正直やってみてもいいかなって思うけど、どうしようかなって感じだな配信は」
「ダンジョンには潜るの?」
「ダンジョンは行くと思うぞ、俺って結構戦うの好きだしね」
「そうなんだね、SNSでは龍星に配信して欲しいって人いっぱいいるんだよ」
「そうなのか?」
「うん、龍星はSNSとか見ないの?」
「全然見ないな、やっぱ見た方が良いのかな?母さんには見ろって言われてるし」
ダンジョン配信者は多少見るようになったけどSNSは全然見ないんだよな……
「んー情報が欲しいなら見た方が良いけど、難しいね……いらない情報も多い訳だからね」
「そうか……まぁ、やるとしても少しずつだな」
「うん!その時は私を頼ってね!!!私はネットには強いから」
「うん、その時はお願いな」
「それにしても何だろうね、光さんから私達呼ばれた訳だけど?」
「んー分からないな、昨日の事が関係してるんだろうけどな。詳しい事は何も聞いて無いからな」
「だよね、何か問題が起きた訳じゃなければ良いんだけど……」
「大丈夫だと思うけどね、電話で話した感じは元気だったし」
「うん、そうだね」
◇
――ギルドに着いた俺達は母さんの所に向かった。
「母さん来たよー」
「こんにちは光さん」
「こんにちは穂乃花ちゃん」
「それでどうしたの?」
「えっと、実はね今日の朝から事務所の電話が凄いの」
「電話?」
「そう、それでその9割が龍星に配信させろって内容なの」
マジか、世間の人はそこまでして配信して欲しいのか?
「それで俺に配信してくれって話?」
「それはどっちでも良いんだけどね、もししないならきちんと声明を出した方が良いなって事」
「んー、まぁした方が良いんだろうな、一応光龍ギルドの訳だし、俺だけ配信しないのも良く無いから」
「龍星は光龍ギルドの設立メンバーでその時はそのルール無かったからそれは一応大丈夫なんだけどね」
それは前も聞いたけど、やっぱり俺だけ特別ってのも違和感あるんだよな……今更感はあるけど正体が割れた分尚更感じるんだよな。
「所で私は何で呼ばれたんでしょうか……」
「穂乃花ちゃんにはちょっとお願いがあるんだよね」
「それだったら何でもやりますよ!!!」
「一つはもし龍星が配信するなら手伝って貰いたいって事、もう一つは龍星には配信しなくてもtbitterを使って最低限の活動をしてもらうつもりだからそのお手伝いをお願いしたくてね」
tbitterか、まぁ、その位はしないと世間の風が収まんないよな。
「tbitterですか?」
「そう、私達が教えれば良いんだけど若い子の方が詳しいと思ってね」
「大丈夫ですよ!任せてください!!!」
なんか凄い嬉しそうだな穂乃花は……まぁ、楽しそうだから良いけどね。
「それで配信はどうする?」
「まぁ、やってみようかな」
「ほんとに?」
「俺って基本暇だしね」
「それならサポートをお願いしてもいい?穂乃花ちゃん」
「勿論です!」
「それじゃあ、ドローンとかは私が用意しておくから龍星はどんな事をするか穂乃花ちゃんと考えておいてね」
「うん」
――母さんと話し終えた後、個室に移動して穂乃花と話していた。
「どうしたらいいと思う?」
「そうだね……まずはtbitterを使って配信告知をする事かな?」
「tbitterか、アカウントは作ってあるけどいじって無いな」
「なんて名前でやってるの?」
「え、普通に龍星だよ」
「龍星はどっちの名前で配信しようとしてる?ゼロ?龍星?」
んー、ゼロはちょっと恥ずかし気持ちもあるけどダンジョン配信者的にはゼロだよな……
世間ではゼロが有名だし最近ではゼロ天使とか言われてるしな……
「やっぱりゼロの方が分かりやすいよね?」
「そうだね、龍星よりゼロの方が分かりやすいかな世間的には」
「ならやっぱりゼロで行こうかな」
「それならtbitterもゼロに変えてよう……んーそうだな【光龍ギルド】ゼロって感じかな」
「なるほど」
――それから時間が経ちtbitterで配信告知をした。
「よし、これで明後日配信すれば良いんだな」
「うん、あとは何をするかだね」
何をするかか……
普通にモンスターを倒しても良いんだろうけど……
「じゃあ、あれにしようかな」
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