第18話 突発コラボ その4

『今の私の仕事はTUMUGI先生かルナちゃんが復活するまで場を蒼井ちゃんと繋ぐことなわけだけど……何かやる予定だったこととかあるの?』


「元々の予定は声変えて先輩とリスナーをからかいつつ質問に答えつつ絵しりとりしつつみたいな感じだね。」


『う〜ん……声はちょっと今やったら死んじゃうし……。いや、死んで聞いてない今しか出来ないのでは!?よし、やるか。』


「え?何を?」


『配信部屋のPCデスクの蒼井ちゃんから見て斜め右前にでっぱり押して。』


「な、なんだかよくわかんないけど押すね。えいっ!あれ?特に何も変化が……ってきゃっ!あ、頭が地面から生えてきたよ凛お姉ちゃん!」


[頭が生えてくる?]

[声、頭……はっ!もしかして……自律的感覚絶頂反応用マイクロフォン!?]

[なんで正式名称言えんねん]

[ASMRって普通に言えよ!]

[ASMRとか普通に死ねるのでは?]

[あ……]

[あ……]

[あ……]

[あ……]

[オワタ]


「ふふっ面白そうだね!」"にちゃあ"


『だよねだよね!楽しそうだよね!一緒に蒼井ちゃんのボイスに耐え抜いた精鋭たちの性癖をねじ曲げよう』"にんまり"


[いや、死んででも聞く価値がある!]

[それはそう]

[やっぱこいつらドSだろ]

[何を今更]

[凛ちゃんも元々配信者の中でも鬼畜ボイストレーナーって有名だしな。]

[自明の理ってやつだな]

[よし!俺遺書書いてくるわ]

[遺書になんて書くん?]

[蒼井ちゃんのASMR配信で萌え死んだから遺産は妻と娘たちで分けてくれって書く]

[このロリコン妻子持ちなんか……]

[配信にいるだけでロリコンとか酷すぎ]

[カワイソス]


「ボクが酷いことしてるみたいに言うなんてみんな酷いにゃん!ね、凛師匠?」


『そうにゃんね!私たちはただ喜んでもらえるように君たちが好きそうな声を出してるだけだっていうのに酷いにゃんね!』


「そうにゃそうにゃー!」


『そうにゃそうにゃー!』


「にゃー!」


『にゃー!』


[猫かこいつら……]


「凛お従姉ちゃんはともかくボクは元々猫にゃん……。やれやれ、この猫耳が目に入いらないのかにゃ?」


[そういや蒼井ちゃんは猫じゃん]

[他の設定というか個性が強すぎて忘れてたわ]

[蒼井ちゃんが悪い]

[蒼井ちゃんはともかく凛ちゃんはちょっと痛い……]

[公式スタッフもやってるだけで基本は会社員だしな]

[配信者としてのそういうキャラ作りはともかくな……]

[中の人何歳なんだろう……]


『おいそこ!女性に年齢の話は失礼って習わなかったの?』


「凛お従姉ちゃんは若々しくて綺麗でしたよ?」


[蒼井ちゃんはいい子だなぁ]

[それに引き換え凛ちゃんは……]

[凛ちゃんは心の狭い大人だぜ]

[凛ちゃんちっちゃーい!]

 

『ほらほら〜!私は若いんだ!ピッチピチなんだ!』


「でも母さんのお姉さんの娘さんってことはつまり……。あとピチピチは死後ですよ。」


[ピチピチって死後なの!?]

[蒼井ちゃん最低!]

[まぁ、たしかに最近使ってる人見ないな]

[蒼井ちゃんないわぁ〜]

[こいつら手のひらくるっくるで草]

[でも今その事実を突きつける蒼井ちゃんおもろい]

[蒼井ちゃん酷い!この発言で多くの人間が傷付いたんだぞ!]

 

『ピチピチは……死後!?ピチピチ死後、ピチピチは死後、ピチピチは死後、ピチピチは死後……ていうかおいコラてめぇ!私が若くないって言いたいのか?あぁん?』


「はい、すんませんした。」


[パワハラだ……]

[これが社会人が四歳児……しかも自分の従姉に対してすることか……]

[ほんまこいつ……]

[さすが社会人、やることが汚い]

[おいコラ他の社会人を巻き込むな!]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る