第7話与えられたアメ
私は帰宅して、シャワーで身体の汚れを洗い落とし、自室に籠る。
薄い掛け布団を頭まで被り、身体を丸め、瞼を綴じる。
不破が来ても無視をしようと、決意を固めた私だった。
無視という抵抗が、彼女の怒りを買い、朝よりも酷いことをされる可能性はあるが、もう辛くて辛くて彼女から逃げたい一心だ。
私が何故不破の魔の手に苛まれなければならないの?
私は犯罪を、罪を、犯してない。
不破の怒りを今までに買った覚えはない。
身体の震えがおさまらない。
お姉ちゃんっ……助けぇ……てよぉっ……お願いぃ……!
私の自室の扉がノックされる物音でいつの間にか寝ていた私は起き、不破の姿が脳内を過り、身体が硬直する。
「穂乃実ちゃん、不破だけど……入っていい?」
「ひぃっ……はぁっ!」
扉の向こうに居るのが不破だと分かり、部屋の外に漏れそうな声量の悲鳴をあげそうになり、咄嗟に片手で口を押さえた。
「あのぅ……いい?」
「……」
「……入るね」
彼女は私が無言でいると、一分程様子を窺うように無言で物音を立てずにいた。
彼女が一言発して、扉を開けて脚を踏み入れ、近付いてくる。
私は彼女が腕を伸ばし触れられそうな距離まで近付くのを察して、拒絶の意思を示した。
「こっないでッ……くださ、い……」
「穂乃実ちゃん……朝のことは、ごめんね。ああいういき過ぎたことはやらないって……言い切れないことは自分で解ってて。えっと、その……だから……あぁーっと、朝は穂乃実ちゃんに酷いことしたって反省してて……ごめんな、さい……穂乃実ちゃん」
彼女がベッドの傍に近付き床に膝を付け、ベッドに腕を載せ、謝罪した。
「……」
「穂乃実ちゃん……お願いだから、顔を……見せてくれない?」
私は不破の震える声を背中越しに聞き、中々決心がつかずに、5分程経って、彼女に向かい合い被っていた掛け布団から恐る恐る顔をだした。
「……っ!んん〜」
私が顔を出すと、彼女が涙を流し頬を濡らした顔を近付け、唇を私の唇に押し当て、重ねてきた。
私は不破に10分程キスをされ、その後は彼女がベッドに載り、彼女に膝枕をされ、頭を撫でられた。
「私って穂乃実ちゃんが可愛くてついああなっちゃうんだ。これからも、付き合ってくれると嬉しいな穂乃実ちゃん」
「学校ではああいうのは止めてください……せめて。行けなくなる……ので」
「それは難しいよぅ、穂乃実ちゃん……どうしても抑えられなくなったら、ヤらしてくれると嬉しいなぁ?」
「その……えっと、私って……聞くのが怖いですけど、不破さんはその……恋愛対象としてではない……ですよね?」
「え?うーん、そうじゃな、いかな……?好きではあるけど……ライク寄りだね。それってそんな重要なコト?」
「どうかは……知っておかないと。もやもやするので」
私は全裸にされずに済み、キスの際も舌を挿れられるかどきどきしたが彼女の舌が口内に侵入はされなかった。
不破は一時間も入り浸ることなく、姉のもとへ戻ってそのまま私に挨拶もせずに帰宅した。
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