祠壊し文学考察4 まとめとミームについて
一連の祠壊し文学の分析を見て、わかったことはこんなところです。
・祠はバットやバールなどで殴って壊すものが多い
・壊す理由はうっかり、またはホラー展開に繋がりやすいものが多い
・祠を壊すのは男性が多い
ここからわかったことを踏まえて、「祠壊し」のブームが急に終わる原因になった「本当の祠壊し」の話もしていきます。
さて、この短評記事が掲載される頃にはもう誰も「祠壊し」の話をしていませんね。それはブームが自然と過ぎ去ったというより、ブームに水を差す「あるできごと」が発生したことが大きな理由となっています。
それは「本当に祠を壊してみた」として段ボールで作った祠を蹴って壊すという動画がアップされた件についてです。主催者も動画は確認しましたが、「段ボールで組み立てた祠のようなものを蹴って壊す」以外のことは一切行われていませんでした。
この動画が冷や水を浴びせることとなり「本当に実在する祠を壊す奴が出てくるかもしれない」「面白くない人が面白くないことをやりだした」などとブームは一気に沈静化、一気に高まったブームはわずか1週間ほどで終わってしまいました。この記事書きながら「何故私は未だに祠を壊しているのか」と思うくらい、本当にさーっと終わってしまいました。なんだか悔しい。
さて動画の件なのですが、何が良くなかったかといえば「絵的に全く面白くない」というのが大きな理由なのですが、それ以上に「動画作成者がミームを理解して動画に盛り込んでいなかった」ことが要因だと主催者は考えています。
祠壊し文学のキモは要項に書いたとおり「祠を壊して、かつ不都合が発生する」が条件です。ただ祠を壊せばいいというものではなく、壊す理由やその背景が大変重要になってくるわけです。つまり動画に「壊したんか爺」や「君死ぬよおじさん」のような存在を出せばまだ「祠壊しのミームを理解している、けど面白くないね」と突き放された反応をされたと思います。「ただ壊す」だけじゃダメなのです。「壊して祟られる」までがセットです。
ただ、これはミームを理解しない層にまでミームが届いたという証拠でもあると思います。実際、祠壊し文学の企画内でも「流行っているらしいからよくわからないけど書いてみた」という方が何人もいました。
主催者はミームを理解して書いてほしいというところもありますが、それと同じくらい「新たな解釈のミームを生み出してほしい」という気持ちもあります。これから「不精髭黒髪長髪喫煙おじさん」がこの度怪異とセットになるというミームが生まれ、また新たなおじさん像が作られていくのだろうとわくわくしています。
企画を見渡しても、「壊したんか爺」についてはかなり熟成したミームだと感じました。しかし前回解説したように「おじさん」の使われ方は自由度が高く、まだこのおじさんのミームが固まっていないことが伺えました。
それではミームを知らずに書けばいいのかというとそうでもなく、段ボール祠のように何も面白くないものを生み出す可能性のほうが非常に高いです。つまり、知っているミームを崩して書いている人の方が断然有利です。ある程度ミームの知識はあったうえで、それで自分らしいものを書くことができればいいのではないかと思います。
次はいよいよ主催者ピックアップです。まだまだ楽しんでいってください!
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