第5話 sometime(5)
「・・は?」
志藤は呆けた顔でひなたを見てしまった。
「ねえ、パパ。 行ってもいいと思う?」
ひなたは真剣だった。
・・こんなこと
普通父親に相談するか???
志藤はまたしてもひなたの精神的な幼さが心配になってしまった。
「二人でって・・」
「いつもは。 みんなと一緒なの。 でもさあ、裕香はカレシができちゃって。 ここのところ一緒に行ったりしなかったの。 そしたらさあ、さっき電話があって浩斗が・・」
いろんなことを
ぐるぐると考えた。
え? 浩斗ってひなたのことそんなん思ってたの????
いつまでも小さい時と同じような感じだった二人だっただけに
けっこうな衝撃だった。
浩斗は今も普通にウチに遊びに来るし
ななみたちとも一緒に遊ぶし。
二人で出かけたいなんて
立派なデートやん!!
だんだんと顔が険しくなってきた。
「二人ででかけるのは・・ちょっと早いんちゃうか?」
やっと出た言葉は
もう時代錯誤も甚だしい父親としてのもので。
今までの自分の人生を思うと
どの口が言うんだ
と突っ込まれても何も言えないが
ホントにそんなありきたりな言葉しか出てこなかった。
「え~~、やっぱりそうかなあ。 てゆーか。 それって・・浩斗はあたしとそういう風につきあいたいってことだよね?」
それをおれに聞いてどないすんねん・・
志藤は勘弁してほしかったが、本当に素直に相談してくれる娘が
愛おしい。
「うん・・そうやろな。 浩斗はひなたと『そういうふうに』つきあいたいと思ってるんやろな、」
「えー・・やっぱそうかあ。 どうしたらいいと思う?」
中2にもなってそんなこと親に相談しないで
自分で考えろって!
志藤はまた無邪気なひなたに心でつっこんだ。
ひなたが父親にこんなことを相談しているなんて知ったら
浩斗、めっちゃガックリくるんやろなあ・・
しまいには
浩斗に同情する志藤であった。
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