第3話 sometime(3)
「え、水族館?」
ひなたの声に机に向かって勉強をしていたななみは思わず振り返ってしまった。
「水族館かあ。 んじゃあ、みんなにも連絡してみるよ、」
あっさりとそう言われてしまい。
「・・だから。 みんなと一緒じゃなくて。 二人で行こうよ、」
浩斗は恥ずかしそうにボソっと言った。
「・・えっ、」
鈍いひなたはそう言われて初めて彼の思いに気付いた。
空気が固まったことがななみにもわかった。
「あーっと・・ええっと・・」
ひなたは困ってしまって言葉に詰まってしまう。
「たまには。 いいじゃん。」
もう半ばヤケになり浩斗は押した。
「あ~~~、」
どうしよう・・
ひなたはもう色んなことを考えてしまいあたふたした。
ふたりきりで出かけるなんて
初めてだったから。
「いいよな? な?? んじゃ、今度の日曜! スカイツリーのとこの水族館!」
浩斗は恥ずかしくて無理やり話を収めて電話を切ってしまった。
プー、プーと相手が電話を切ったことがわかる音が聞こえ
ひなたは思わず
「げー・・どーしよ・・」
とひとり言を言ってしまい
ななみが視線を送っていることに初めて気づきハッとした。
ななみも慌ててまた背を向けて勉強を始めた。
ななみは浩斗が好き・・
その事実をひなたは思い出していた。
浩斗からコクられて
どうしようかと思わなくもなかったのだが、
まあ結局今までとおんなじだからいいやと深く考えたりしなかった。
なんか
気付かれた?
ひなたはななみの背中を凝視した。
「お・・お風呂入ってこようかな・・」
誰に言うでもなくそう言ってそーっと部屋を出た。
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