聖獣ピクシードラゴン【リリ】
おいおい!エルフ国への訪問とか面倒くせぇ~!なんでだよ!
それにフローデル王国から使者?
そんな事より魔王をどうにかしないとだろ!
まったく脳天気な連中だな┅
「ミハエルとセバスに言っとくけど王都へ行くよ」
「王都へ?しかしフローデル王国から使者が来ますよ?」
「そんなの今は放っておくしか無いよ、魔王軍が帝国を攻めてる最中で次はこの国へ来るんだ
なんとかしないと不味い状況なんだ」
「ライト坊は帝国が直ぐに敗れると?そして近々王国へ進軍して来ると読んでるのだな?」
「ああ┅┅帝国がどこまで踏ん張れるかだけど確実に負けるだろう
その後に魔王軍はこの国へ転移で攻め込む算段だろうから王国に勝目はないね」
「転移┅┅では魔王軍や魔王はヒト族を滅ぼすつもりでしょうか?」
「どうかな┅┅でもお構い無しに蹂躙するだろうね
狙いは王族や貴族の根絶やしだろう、そして国を支配して行く腹積もりだと思うよ」
魔王の魂胆と言うより邪神の意思だろう
欠片に込められた復讐の念と邪神が抱いてたこの星の支配
戦争で生き残ったヒト族や亜人種を瘴気で魔人化して配下とするに決まってる
魔人達は魔物を従え大陸を闇の世界と変えこの星は真っ黒となって
瘴気が漂う闇の星となり次第に
大地は腐れ魔人や魔物も死に絶え星も死んで滅び消える
消滅する事を狙ってるんだ┅┅
「王都で何をするのですか?
それに魔族達や魔王軍がこのオーストンへ攻めて来たらどうしたら┅┅」
「王国へ転移するなら広い草原とか┅王都に近くだよね?
ここは攻めて来ないよ、来るとしたら魔物の群れだと思う
アイツ等は魔物を使役して攻めてから進行する
混乱してる中を攻める狡い作戦だよ」
「それなら〖アートン町〗辺りの平原でしょうな┅
王都に1日程の距離で街道も整備され広い道です
軍勢には最適ですな」
「では魔物も転移して来るのでしょうか?」
「多分だけど召還術を使う魔族か魔人が各地に散らばり魔物を操る筈だ、陽動だね
問題は魔王が動くのか?それとも魔国で指示だけなのか?だな┅
確か魔王軍には4人の幹部がいるらしい┅┅
4大魔将と言われ魔王軍を率いてる、帝国を攻めてるのは魔族軍で強さは魔王軍がずば抜けてるってさ
魔王軍は魔人軍団だからね
今のヒト族達では歯が立たないだろうなぁ┅┅」
「そ、その魔王軍がオーストンへ来たら┅┅」
「なぁにライト坊には何か考えが有るようだぞ?ククク」
「ミハエル?結界を張ってるの知らないのか?
オーストンの町とダンジョン街とに結界を張る魔道具を設置してるぞ?」
そう!これは対魔族軍魔王軍用に造ったんだよ!
ガンプ爺に頼んで前から造ってたんだ!
広範囲結界用魔道具は前世の記憶に沢山あったからなんだ
それで動力源となる魔石をワイバーンとかグリフォンとかにして何度も試作して色んなバージョンを造った
結果は町を覆う結界を東西南北の4ヵ所に配置して中央広場にワイバーンの魔石2個を使った主結界魔道具を置いたんだよ
それで超強力な結界がオーストン町とダンジョン街を守ってる
「いつの間にそんな結界を?」
「魔王復活を知って直ぐに用意してたんだ、出来たのはあの召還勇者達を迎えに行く時だね
だから今は何も問題無いよ
それと護衛団の配置した砦は知ってるだろ?
あそこにも結界を設置してるぞ
前線基地は強固じゃないと町を守れないからね」
「う~行政ばかり私に押し付けたのはそんな事でしたか┅
私を軍備の事に全く関わらせなかったのは好き放題する為でしたか┅ライト様!アナタは!
もう何をやってるんだか┅┅」
「アハハ♪だってミハエルが知ったら色々とうるさいと思ってねぇ~♪
やりすぎだ!とかお金は!なんてね?」
「ククク!お前はまだまだじゃな?領地を任されるとは行政に防衛、それと軍備じゃぞ?
あのドワーフ村では優れた剣や武具に魔道具を造っておる
これもライト坊とガンプの企みじゃがな?
ダンジョン街の冒険者達もこぞって買いに行ってるぞ?
領地を全て把握する事が大事だと肝に命じよ!」
「┅┅そんな事になってるなんて┅では酒もですね?
オーストンの町は色んな酒が有ると問い合わせが多くて┅」
「ドワーフ村産の酒を販売に回したんだよ
やたら造るからなぁ~まぁ俺も知ってる酒を教えるからだけど┅」
はぁ~困ったもんだ┅
ブランデーから始まって蒸留酒の生産が増えちまった┅
「親方!次は!ウィスキーは飽きてきたんだ!新しい酒を教えてくれよ!なぁ!」
「あれ?ガンプ爺に清酒を作って貰ってるが?┅┅じゃあバーボンとかは?他は焼酎かな?」
「ムムム!ガンプ様に!清酒!しかし!バーボンとな!そして!焼酎!なんて良い響きだ!」
ってな事でトウモロコシでのバーボン製造にサツマイモで芋焼酎とか寝ないで騒いでる┅清酒は?
【ドワーフ殺し】はエールの蒸留酒でウィスキーの元になる
それを樽で寝かせると言ったら凄く反対されたりして困ったが【空間ルーム】で時間を進めて寝かせたのを飲ませたら納得してくれた┅┅はぁ~
そうしたら酒もオーストン名産品になってしまったと言う訳だ
町ではそんなに飲めないのにねぇ~だからダンジョン街では酒盛りが増え問題も増えた┅┅仕方ない
「しばらく王都で問題を片付けるから何かあったらリアナとビアンカと話し合って欲しい
それで脅威と感じたら直ぐに知らせて欲しい
その時は何がなんでも帰って来るから」
「そうですね、無いとは言えませんがもし魔族や魔王が攻めて来たら直ぐに連絡しますので
それとフローデル王国へは事の次第を連絡しておきますね」
「それは悪いが頼むよ
エルフ国にも書簡で魔王討伐とか今は難しいって、落ち着いてから訪問すると知らせて欲しいんだ
なぁに思ったより早く戻るからね、任せたよ」
「ええ!それとソラン嬢は町で保護してますので┅奥方を守るのも私の務めですよね?」
「うっ┅ああ┅頼んだよ」
そうして俺はアカネ達を王都へ送る為にサンドム町へと転移したんだ┅┅┅┅
「なにしてるの?」
「あっ!ヒカル君!良かった!あのね!あのね!」
「どうどう!マナミちゃん落ち着いて!まったく!」
「ヒカル君!卵が孵りそうなのよ
それでずっとあんな調子で┅」
なるほど!卵にヒビが入ってるね
マナミちゃんの目が異様に光ってるのはそう言う訳か┅
「ヒカル君!これは!良いの!このままで良いの!」
「そうだね┅何か柔らかいタオルとか┅┅そうだ!このバスタオルを下に敷いて置く方が良いかな」
厚手のバスタオルを2つに折ってその上に卵を乗せる
転がらない様にタオルに窪みを付けソッと俺は卵を┅┅
カッガッ!パリン パリパリッ!
『キュゥ?』
「おっ!顔が!」
「キャアー!変なの!怖い!」
「アハハ♪ドラゴンだよ♪カワイイねぇ~」
『キュキュウ?誰?パパ?』
「イヤイヤ!俺はライト、君はピクシードラゴンだね?」
『う?パパ!なにこの匂い!う~ん!気持ち良い~♪』
そう言うとパタパタと俺の顔に飛び付きペタッ!と張り付いた!
待て!ヤメロォ!
『う~ん♪好き好き♪パパ!』
「良いから!顔から放れ┉な┅さい!って┅┅はぁはぁ┅すげぇ力だな?」
『パパ?嫌い?私の事嫌いなの?┅┅そうなの?┅』
「嫌いじゃ無い!いきなり顔にくっ付くからだよ!
はぁ~しかし┅ドラゴンにしては毛がフサフサなんだな?
それに顔が┅┅カワイイ!本当にドラゴンなのか?」
「ううっ┅まさかトカゲだったとは┅┅」
「アハハ♪トカゲじゃ無いよ!カワイイだろ?」
「ひぇー!イヤですよぉ~私はヘビとかカエルとか駄目なんですっって!トカゲもですぅ!」
「そうね、マナミは爬虫類がトント駄目なのよ、あのサーペントとかおっきいでしょ?
直ぐにアカネの後ろに隠れて震えてるのよ、リザードマンとかにも放れて魔法をぶっ込んでこっちが良い迷惑よ」
「マナミちゃんはもう少し爬虫類に耐性を付けないとね?
怖がってばかりだと真の実力を出せないわよ」
「うう┅あの長い舌とか鱗が気持ち悪くて┅┅」
「この子には鱗は無いよ、ホラ♪羽毛がフサフサだよ?
この目もクリクリして可愛いなぁ~♪」
「はぁ?カワイイ?この子が?┅うう┅でも手が┅」
そりゃドラゴンだからねぇ、手と足には鱗はあるさ
でも鱗と言うより紋様のようだな?この子には鱗は無いぞ┅
ピクシードラゴンって本当にドラゴンなのかな?
口ばしも尖って無いしなぁ?
まぁ姿形はドラゴンなんだが?
〖ピクシードラゴンは妖精や精霊の仲間とされてる亜種
羽毛の下はマナで構成された体となってる
魔法も風属性 水属性 闇属性で回復魔法も使う 飛ぶスピードは最高速度マッハ4 滑らかな口ばしだが硬くオリハルコンと同等 物理攻撃は爪〗
┅┅┅何時から鑑定がこんな風になったのやら?
たまに俺を弄ったりふざけてる説明とかしてるよね?
進化してるのか?それとも自我が目覚めた?
〖はぁ~回答不能┅┅〗
「ねぇねぇ?この子ヒカルちゃんをパパって呼んでるって事はテイムしたの?」
「いや?多分だけど刷り込みじゃ無いかな?」
「ああ!あれね?雛鳥が最初に見たのを親と認識するのよね?
だからヒカル君を親と思ってるのね」
「その子はヒカル君にお願いしますよぉ!私には無理ですから!
とても面倒見きれませんよぉ~」
そうなるの?俺?はぁ~
『パパ!お腹空いた┅』
「おお!そうだったな┅┅って何を食べるんだ?う~ん?」
「食事もだけど名前はどうするの?なんて呼ぶのかな?」
「名前ねぇ┅┅ピクシーだろ?
┅┅┅ピクとか?」
「はぁぁあ?なによそれ!安易すぎる!真面目に考えなさい!」
「アハハごめん┅┅そうだな┅┅
女の子だからなぁ┅リリかリリィってのは?」
「リリちゃんが良くない?ピクちゃんよりも呼び易いし可愛らしいよ?」
リコが言う通りリリと決まった
面白い事に【リリ】と告げたら俺の体から魔力なのかマナなのかゴッソリ持っていかれた
聖獣と言っても魔物種だからか?
リリの体が銀色に光りふた回りも大きくなってる?
と言っても肩に乗れる程の小さな体だったけどね
「なぁリリ?体のサイズとか変えられるのか?」
『まだ産まれたばかりだから無理┅┅でも本当はサイズを変えられるよ♪』
「へぇ~じゃああのドラゴンみたいに大きくなれるの?どうなの?」
「それも怖いけど┅┅」
『大きくなれるの┅能力次第なの┅レベルが一定に達したら出来るみたい┅』
「なる程ね、レベル次第で大きさを自由に出来るって事だな
でも今のままが俺は良いけどね
モフモフで可愛い顔がドラゴンみたいな顔になるのはなぁ┅」
『パパ!私はあんなトカゲとかの顔にはならないよ!フン!』
「アハハ!そうだよねぇ~♪リリは可愛いままだよねぇ~♪」
「うっ!こいつ親バカ丸出し!しまいに幼稚言葉とか言い出すかも!キモ!」
「ウフフ♪ヒカル君前から動物が好きだったからね
ワンちゃんとかと話したりしてたよ、なんか面白かったわぁ~」
そうです!犬や猫とか好きで良く話しかけてたなぁ┅
なんと無く意思の疎通と言うか解り和えてたんだよねぇ
卵孵化の一騒動があって遅くなったがアカネ、リコ、マナミちゃんを王都へと転移する事にした
目標座標点は王都近くに千里眼マップで表示して決めた
3人とリリを空間ルームに収納してからの転移
座標転移での複数人は無理だからだ
それにルームだと向こうに着いてから騒動は起きないしね
いきなり4人も現れたらビックリされる
隠密を掛けて転移すると何事もなく転移できた
「あの部屋は凄いわね!日本と同じ部屋だったわ」
「普通に3LDKにしたんだ、あの中は空間だから自由に設定できるんだ」
「それにしても┅なんで冷蔵庫とかレンジとか普通なのよ!
電気とか無いし!」
「ああ┅電気は造ったぞ」
「「「はぁぁぁああ!電気!」」」
「アハハ┅太陽光発電だよ、でも魔法って便利だよねぇ~♪
液晶パネルの代わりを魔法陣で出来るなんてなぁ
最初に水力発電とか考えたけど規模がね┅
風力発電は簡単だったよ」
「はぁ~あのね?簡単って事は無いの!そもそもこの世界に電気の概念なんて無いのよ!
やりたい放題ね!」
「でもスマホとか充電したいだろ?」
「えっ!スマホの充電!そ、それは可能なの?それよりなんでスマホを持ってるのよ!」
「それね?実はこのスマホはカイトのだよ、王都のオークションに出てたのを商会のボルドが競り落としたんだ
魔道具として出品されたけど誰も競らなくて、もしかしたら俺ならどうにかって思ったらしいんだ
金貨50枚って安いのか?
それで電気を考えたのさ」
「カイトの?お金に困って売ったんだ?へぇ~考えたわね」
「じゃあ私のも充電できるのね?」
「いやぁ充電器には手こずったよ
変換器に始まってアダプターだろ?大変だったよ」
「でも出来たのよね?凄い!」
「スマホ起動出来る┅┅父さんや母さんが見れる┅┅グスッ」
「落ち着いたら充電すると良いよ
オーストンに戻らないと駄目だから、流石に持ち運びは無理だよ」
「そりゃそうだね、でも良かった┅うん!良かった!」
「でもインターネットは無理だよ
それと電話も、カメラにムービーと保存した物は大丈夫みたい
カイトに会ったら返そうと思ってる、保存してるのを見ちゃったからなぁ┅」
「別に消去したら?カメラと録画は使えるよ?
アイツは売ったの!もう要らないってね!返す必要は無いわよ!」
「私もそう思いますぅ、だってヒカル君は使える様に電気とか造ったんだから、それに買った物ですよぉ?それはもうヒカル君のです!」
「それはカイトに会ってから決めようかな┅なんか変わってしまった様だからね」
そう!リョウとカイトはすっかり変わったようだ
この世界に来て本当の姿になったのかも知れない┅┅
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