第9話
私は慌てて彼らに連絡をと、
ズボンのポケットを探す。
しかしながらあいにく彼らとは
連絡先を交換していない。
「どうしてこんなことを」
彼女は声を荒げる様に
「これが本番なのよ」と言った。
どうすることもできずその場を
あたふたと動き回る。
これでも策を練っているのだ。しかしながら
これといったものは出ず、頭を抱える。
「もう一つ、言っておくわ」
と彼女はその場を打開する様にこう言った。
何だ、と問いかけると、
間髪入れずに彼女は言う。
「目的、とかじゃない」
「ではどうして」
少しの沈黙の後にふふっ、と笑いながら、
「あのアパート、
あなた以外みんな死にたがりなのよ」
「あなた以外?」
「皆如何にしてどう死ぬか、
夜な夜な考えてたの。皆それぞれ、
リストラされたり、いじめを受けたり」
続けて彼女はこう言った。
「あなたの部屋にも来なかった?
名刺サイズの紙」
「名刺サイズの紙?」
「そこに全てが書いてあった」
思えば確かに、自殺と書かれた紙、公共団体が作成している様な紙が入っていたのを思い出した。しかしそれほど思い悩むたちではないのでそのまま捨ててしまった。
「その紙の住所が」
「そう、岩本さんの部屋」
ようやく合致がついた。
自殺幇助をしているのであろう。
「まずは手始めにこの
アパートの住人を誘った。
そしたら運よくあなたが
以外の皆が集まったのよ」
その背景に驚きを隠せない。
「そこで週2くらいかしら、
どうやって死のうかって」
「そこで亡くなった清瀬さんが、どうせなら復讐をしてから死にたいとそれでゲームが始まった。人狼ゲームはたまたま。
何かゲームをって思っていたら思いついたの」
何がゲームだと思ってしまった。しかしながら同情はできる。皆死にたがりのアパートなんて思ってもいなかった。皆が皆隠して生きていたのであろう。
「ただの実験で、アパート内でやったのよ、
そしたら彼は運悪く死んでしまった。
彼は少し前に無実の罪を押し付けられていた」
またひとつ事実を知ってしまった。
私は疑問になったことをすぐに伝えた。
「彼、清瀬さんの恨んでいる人は誰?」
彼女は目を見開いて言った。
「あの刑事よ、稲田っていう刑事」
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