第3話 53歳 レクサス男
彼はレクサスに乗っている。「趣味は旅行、温泉好きの彼女募集中」と自信満々に言い放つ。53歳、頭髪はまだ保っているが、歳相応の風貌だ。体育会系で、一流企業勤めをアピールするが、その割に何かしら胡散臭い。初デートは高めの回転寿司でさくっと済ませ、その後は「面倒だから」とベッドへ直行。お手軽な関係のはずが、やたらと「彼女になってくれ」としつこく迫ってくる。
彼の自慢話には裏がある。デートを重ねるごとに、彼の「金持ち」アピールが次第に薄れていく。むしろ、キャリアウーマンの私の財布を当てにしているのが見え見えだ。彼の態度に苛立ち、こちらが少し距離を置くと、彼は仕事を理由にして会う回数が減っていった。
そんなある日、2ヶ月ぶりに連絡が来た。「久しぶりに会おうよ」と。車に乗り込むと、突然こう切り出された。「俺と一緒にならないか?」
「は?」と驚く私に彼は続ける。「で、返事は?」
「…あ、はい」と曖昧に返事をする私。彼はすかさず「俺、今日誕生日なんだよ。プレゼント買いに行こうよ」と嬉しそうに言い出す。渋々ついていき、結局1万円ほどのプレゼントを購入。
それから彼は、音信不通に。
「あいつ、やりやがったな…」と怒りがこみ上げる。あの時、私を見下していた彼の顔が脳裏に浮かぶ。次に会ったら、しばいてやる。
携帯を握りしめ、心の中でリベンジを誓う私が、次の展開をどうやって動かすか――。
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